授業紹介

授業紹介

英語で読む大統領演説('20)

主任講師宮本 陽一郎(放送大学教授)

この授業では、20世紀の合衆国大統領の演説を、映像資料を豊富に用いて切迫した臨場感を再現しつつとりあげ、そこで用いられている英語表現をアメリカの歴史と文化に対する理解と結びつけつつ学びます。それぞれの演説に関して、平明な英語で書かれた解説・論評を速読し、パラグラフ・リーディングの訓練を行い、さらに暗唱、エッセー執筆、ヴォキャブラリー・チェックなど多様な学習課題を用意し、個々の履修者のニーズに合わせた学習をサポートします。

歴史のなかの人間('22)

主任講師近藤 成一(放送大学教授)、杉森 哲也(放送大学教授)

本科目は、歴史のなかの人間に焦点を絞り、人物を通してその人物がいきた時代と社会についての理解を深めることを目的とする。取り上げることのできる人物の数には限りがあるが、古今東西を通じてできるだけ多様な人物を取り上げ、歴史の多様性を示すように心がける。人物とその背景となる歴史を調べるための史料や方法について考え、その人物の生きた社会や時代像について講義する。

世界文学への招待('22)

主任講師野崎 歓(放送大学教授)、阿部 公彦(東京大学教授)

いま世界の文学ではどのような試みがなされ、いかなる刺激的な作品が生まれているのか。グローバリズム以降の社会の変化のただなかにあって、文学が切り拓く新しい地平を探索し、多様な作家たちとの出会いへと導く講義。作品成立の背景をわかりやすく解説しながら、個々の作品の魅力を紹介し、同時代と切り結ぶ世界文学のダイナミズムを分析する。

日本語学入門('20)

主任講師滝浦 真人(放送大学教授)

日本語という言語を客観的に捉え、「日本語学」とはどんな学問なのかを理解するための枠組みと素材を提供します。文字と表記、音声と音韻、文法、語彙と文章、対人関係と言葉といった領域にわたって、日本語の特徴と言えそうなものの成り立ちや背景を探ります。また、"1つの日本語"ではなく、時間的・空間的な"バリエーション(変異)"の総体が「日本語」であるとの観点から、"ありのままの日本語"を捉えていきます。第一線で活躍する講師たちとの掛け合いをぜひ聞いてください。

文学・芸術・武道に見る日本文化('19)

主任講師魚住 孝至(放送大学教授)

文学・芸術・武道を中心として、原始から現代まで続く日本文化の独自性と今日的な意味を考えてみたい。日本列島の自然の中で縄文時代から狩猟・漁撈・採集生活が長く続く内に、自然に神的なものを見て崇拝し、祖霊を尊重する精神が培われ、それは稲作文化が伝わって国家が形成されても底流に流れている。古代に大陸から漢字、仏教、律令制度などを取り入れるが日本的に変容させ、日本古来の神話や歌の古典も成立した。平安期に漢字の崩し字を基にして仮名が作られ、仮名を使った王朝文学が開花した。中世には貴族と武士の文化が融合する中で、能楽や茶の湯などが展開した。近世には武芸の道や庶民が楽しむ俳諧、浄瑠璃、歌舞伎、浮世絵なども生まれた。明治維新、戦後と、伝統文化は2度否定されたが、再編成されて今日に至る。縄文にまで遡って日本文化を見直して、近代文明を超える新たな可能性を探ってみたい。

西洋芸術の歴史と理論('16)

主任講師青山 昌文(放送大学教授)

芸術は、単に好き嫌いで話が済むような趣味の世界のものではありません。芸術は、世界の様々な素晴らしいものが沢山詰まったものであり、世界の奥深いものが凝集しているものなのです。この講義は、芸術のこのような本質を、古代ギリシアから現代までの多くの傑作を現地に訪ねて現場で語りながら、分かりやすく語ります。文学や演劇についても言及しますが、テレビの長所を生かして、講義の主軸は建築を含む美術とし、芸術のもっている深い意味を明らかにしてゆきます。

日本の古代中世('17)

主任講師佐藤 信(東京大学名誉教授)、近藤 成一(放送大学教授)

日本の古代と中世の歴史を、基本となる史料や史跡のあり方や国際的な交流との関わりから探る。時代としては、日本列島のはじまりから16世紀までの、国家が形成・整備され、やがてその仕組みが衰退し、地域社会が表面化するなか、再び統一政権が登場するまでを扱う。とくに列島の古代中世史像は、発掘調査の成果や様々な新史料の発見によって変貌しつつあり、活発に越境した国際関係や各地域の歴史の実像が掘り起こされて、多元的に見直されている。こうした最新の動向をふまえて、東アジアの国際関係のもと、史料や史跡に焦点をあてながら、日本列島のあたらしい古代中世史をたどる。

『方丈記』と『徒然草』('18)

主任講師島内 裕子(放送大学教授)

『方丈記』と『徒然草』は、日本の古典文学の中でも、とりわけよく知られているだけでなく、後世の文学や美術に及ぼした影響力が大きかった作品である。両作品とも、明晰な論理性と気韻に富む文体で、人間認識と社会認識などの多様な思索を展開しており、圧倒的な写実力と説得力を特徴としている。本科目では、両作品の本文を味読することに加えて、その先蹤としての『枕草子』も取り上げる。テレビの長所を利用し、美術化された作品や、数々の注釈書の挿絵や、ゆかりの場所を映像として提供する。これによって、この二つの名作は現代社会に身近で切実な作品となり、「よりよく生きる」意味を受講者が考える契機となることが期待される。

「人新世」時代の文化人類学('20)

主任講師大村 敬一(放送大学教授)、湖中 真哉(静岡県立大学教授)

人類がもつ文化に焦点をあてながら、専門科目としての文化人類学の基本的知識を講義する。社会に閉塞感や生きづらさが漂う今日の世界は様々な限界に直面しており、様々な領域で根源的な転換を構想することが求められている。この講義では、グローバル化とともに、人類と地球をはじめとする様々な二元論が地球規模で揺らぎつつある時代を「人新世」時代としてとらえ、自然と文化、自文化と他文化、心と身体、人間と非人間、真実と虚構等の様々な二元論が融解しつつある地球社会の現状に応じたトピックを取り上げる。とりわけ人類が直面する地球規模の現代的課題に対して人類学の視点から考察することの意義を解き明かすことに重点を置く。