教員の指導方針と方法等
生活健康科学プログラム
1.指導方針
修士論文の執筆は修士課程カリキュラムのすべてといっても過言ではありませんが、その理由についてよく考えておきたいと思います。
論文を執筆するためには、執筆に値する研究を行うことが前提となります。しかし実際のプロセスは、まず研究を行いそれから執筆するというものではありません。研究の立案遂行と並行して、執筆すべき論文のイメージを固め執筆作業を進めていくことが通常です。そしてこのことが、研究自体の推進力ともなるのです。
論文の章立てを考える中で研究の枠組みの不備を悟り、アイデアを言語化しようとして自分自身の理解不足や勘違いに気づき、記載したデータを見直して思いがけない誤りを見いだすといったことが繰り返され、そうした相互作用の中で研究遂行と論文執筆がこもごも進んでいきます。だからこそ、修士論文の執筆が修士課程の中心的課題となるのです。
社会の利益となるユニークな結果が得られるに越したことはありませんが、結果的に新しい知見が得られるかどうかにこだわる必要はありません。むしろ、論理性と言語表現について厳しい自己吟味の姿勢を保ちながら、研究遂行と論文執筆を楽しむこと、その貴重なプロセスの証を残すことを目ざしていきましょう。
2.専門領域
精神科医師としての臨床活動を本務とし、その傍ら精神医学に関わる研究に手を染めてきました。かつては生物学的な研究方法を専門とし、ヒト死後脳の生化学的分析や、動物から採取した組織の光学顕微鏡・電子顕微鏡による形態学的研究などを行っていました。最近はこの種の手法から離れ、精神医学の方法論や歴史に関する問題を文献的に検討するいっぽうで、精神療法や死生学にも関心をもっています。
放送大学で担当する主な科目は、『精神疾患とその治療』『今日のメンタルヘルス』『精神医学特論』(大学院科目)『死生学のフィールド』などです。
3.指導可能領域
専門領域は上述の通りですが、それに完全に合致するものでなくとも、根本において重なる部分があれば指導可能です。「メンタルヘルス」や「死生学」がキーワードに含まれるようなテーマについて、医学や医療の視点に限らず福祉・地域活動・思想・歴史・法制度など、さまざまな切り口のアプローチを歓迎します。
このようにテーマは比較的自由であり、教員は主として論理の筋道が通っているか、表現が適切で説得力があるかといった、手続きや形式の面で指導を行うことになります。
なお、放送大学には附属医療機関や実験設備がありませんので、調査フィールドや研究手段は研究者自身が開拓・調達する必要があります。
4.指導方法
毎月一回程度、千葉本部あるいは東京の学習センターで学習会(ゼミ)を行います。当該年度の状況にもよりますが、卒業研究履修者や博士課程の院生などとできるだけ合同で開催し、メンバー間の相互研鑽と交流を活発に行うことを推奨しています。
コロナ禍の遷延する状況に鑑み、当面はZoom等によるオンライン形式でゼミを開催します。 履修者の主体性と熱意、共に学ぶ仲間との相互作用が研究の原動力です。
5.入学者に求めること(指導教員からのメッセージ)など
修士課程の二年間は決して長いものではありませんので、テーマや研究方法について「入学してから考える」のでは遅すぎます。おのおの関心領域の先行研究を調べてリサーチクエスチョンを明確にし、研究方法についても自分なりに見通しをつけたうえで出願してください。
特定の科目の履修を求めることはしませんので、それぞれの関心に応じて関連科目を広く学習しておいてください。 パソコン環境を整え、電子メールによる通信環境を確立しておくことは必須です。
最後に、日頃からきちんとした日本語を書いたり話したりすることに心がけておかれるよう、強く期待します。
1.指導方針
修士課程での研究は、学生の皆さん自身が積み上げてきた学習や経験をもとに、いま何に興味を持ち、何を知りたいと感じているのかを明確にし、それを「知る」という高みに向かって一歩一歩あゆみを進めていくプロセスなのだと思います。教員は、そうした歩みの道を照らし、背中を押し、歩むべき先の目標を示すという形で共に歩みを進めていく同士でありたいと願っています。学生の皆さんには、主体的、積極的な取り組みとともに、登り始めたら高みからの眺めを見るまで諦めない強い意志を期待します。また、研究方法や統計、論文の書き方などに関しても、ご自身で積極的に学びを深めていく姿勢を期待します。
2.専門領域
専門は老年看護学です。高齢者の健康問題、特に認知機能や物忘れといった記憶にかかわる事柄を中心に測定ツールの開発、介入効果の測定といった量的な研究を行ってきました。また、高齢者のスピリチュアリティといったキーワードのもとに、スピリチュアリティとは何かといった問題や、世代間の捉え方の違いなども研究しています。近年では、認知症高齢者へのケア、予防的なかかわりに関する研究や、認知症の人が安心して暮らせるまちづくりをキーワードとした地域社会におけるサポートシステムの構築なども行っています。
3.指導可能領域
高齢者の、病気、健康、医療、看護、介護、老い、死などをテーマ・キーワードとする研究を指導しますが、基本的に「高齢者の健康」に関する(資する)研究であれば幅広くお受けしたいと思います。
4.指導方法
指導はE-mail によるものが中心となりますが、個別の面接指導を随時実施します。基本的な論文の書き方や研究の進め方に関しては、学生の自主的な学習を期待します。
5.入学者に求めること(指導教員からのメッセージ)など
知りたいこととそれにまつわるキーワードを早い時期に選び出し、関連する基礎的な文献をレビューしていくことをお勧めします。また、コンピュータの使用は必須です。文書作成や表計算などの操作は習得しておいてください。
1.指導方針
大学院では、実践に基づく明確な問題意識を持った社会人院生を対象に、その学問的営みを支援していきたいと思っています。
修士論文は学部の卒業論文より格段に重い、といえます。修士論文に取り組むには、研究に対する強い熱意と覚悟が欠かせませんが、言うまでもなく、気持ちだけで論文が書けるわけではありません。論文執筆を成し遂げられるかどうかは、研究テーマの設定にかかっていると思います。――自身にとって、どうしても解明しなくてはならない切実なる「問い」が立てられるかどうか。 論文完成までの道のりは苦難の連続ですが、自身の立てた「問い」を徹底的に考え抜き、論文を書き終えたときの喜びは、他では得られないものです。
一連の研究活動については、研究者である院生が主体的に、かつ責任をもって、全力であたることが肝要です。教員は論文完成までの、院生の研究活動を支援していきます。
2.専門領域
私の専門は家族社会学です。大きな問題関心は、家族と国家の関係にあり、国家による家族への介入的な支援のあり方について考えています。主な研究対象は、家族に関わる福祉および司法の制度・政策です。研究方法としては、理論研究と質的データに基づく実証研究との統合をめざしています。
3.指導可能領域
家族やジェンダーをめぐる社会問題、および関連する制度・政策に関するテーマを受け入れたいと思います。研究方法は主として質的研究(インタビュー調査や資料分析による研究)です。
4.指導方法
ゼミ形式による集団指導を中心とし、必要に応じて個別指導も取り入れます。具体的には、月1回程度、ウェブ会議システム(Zoom)を利用して、修論指導のためのゼミを行います。ゼミは、報告者が自身の研究成果を発表し、全員で討議する形式で進めていきます。これは、論文完成までのプロセスを、ゼミの仲間と共有するとともに、議論を通して研究を進展させることを目標に行うものです。履修者はできるだけ出席してください。出席できない場合でも、課題等の提出を求めますので、滞りなく着実に研究を進めてください。
5.入学者に求めること(指導教員からのメッセージ)など
入学時までに、「研究テーマ、問題関心と研究目的、研究方法、主要参考文献」について具体的に検討しておいてください。そのために、論文の書き方・研究の仕方に関する本を1冊でもよいので、必ず読んでください(論文作成法や研究法の関する書籍は多数刊行されていますので、ご自身で手にとって自分にフィットする本を読むことが肝心かと思います。)
なお、履修にあたっては、パソコンの利用環境、とくにインターネットの通信環境を整えておいてください。
1.指導方針
大学院の研究では、新しい発見や方法の開発など、新規性があることを重視します。大それたことである必要はありませんが、先行研究で明らかになっていることになにかプラスできる研究課題を設定して欲しいと思います。そのためには、先行研究を十分に調べ、何がわかっていて何がわかっていないのかをしっかりと把握しておく必要があります。先行研究の調査は時間がかかりますので、コツコツと進めることが大切です。
みなさんが取得する学位は学術ですので、専門領域内の閉じた環境だけでなく、専門外の人にも説明できるようになって欲しいと考えています。研究背景が異なる人達に説明することは、専門領域の「常識」や自分の研究課題を見つめ直すことにもつながります。それによりみなさん自身の視野が広がりますし、社会貢献にもつながると考えます。
近頃は研究の専門性が高まっていますので、みなさんの方が専門的な内容には精通していることもあるでしょうが、研究の進め方はどの分野も基本的に同じです。みなさんそれぞれの魅力的な研究課題に対し、研究に取り組むための基本的なポイントを示すことで、一緒に研究を完成させたいと考えています。
2.専門領域
運動生理学、特に筋生理学、筋生化学を専門としています。運動・トレーニングや不活動が健康や身体パフォーマンスにおよぼす影響について、動物やヒトの骨格筋サンプルを採取し、タンパク質や遺伝子の動きを分析しています。現在は特に横隔膜の筋萎縮について取り組んでいます。このほか、運動、発育期、高齢者、生活習慣病などをキーワードとするような研究にも、動物やヒトを対象とした実験的研究に取り組んでいます。
3.指導可能領域
運動生理学、トレーニング科学、スポーツバイオメカニクス、リハビリテーション(特に理学療法)といった運動・健康・スポーツに関わる実験的研究であれば指導可能です。ヒトおよび動物の動きや生体試料を測定・分析するような研究を中心にしていると考えてもらえればと思います。反対に、質的研究や、量的研究であっても質問紙調査を中心とするような研究手法はほとんど扱っていません。
4.指導方法
基本的にゼミは行わず、1.5ヶ月に一度程度行うメールでのレポートのやり取りが指導の中心となります。メールでは難しいと判断した場合は、状況に応じてオンラインや対面による直接指導を行います。このほか、半年に一度中間報告会(オンラインもしくは東京・大阪2カ所(都合の良い方へ参加))を実施します。顔をあわせて複数名でディスカッションできるのは中間報告会しかありませんので、できるだけ直接対面で実施し、遠方であっても基本的に参加を求めます。
5.入学者に求めること(指導教員からのメッセージ)など
入残念ながら放送大学には私の研究領域に関する実験施設がありませんので、被験者や研究を行うフィールドや測定機器などの環境はみなさん自身に用意してもらう必要があります。病院や学校などを研究フィールドとする場合は、データを修士論文に使用することについて、予め関係者の同意を得てください。2年間という短い期間で論文を完成させるには周りの協力が不可欠ですので、同意と理解を得ることは大切です。
指導はメールが中心となりますので、インターネット環境やそれを使用するスキルは必須です。また、文献検索やグラフの作成、統計処理といった、研究に必要な基本的な知識・スキルも、ある程度は身についているものとして対応します。
論理的なものの考え方や、説明文や論文を書くといったことに慣れていない人も多いかもしれませんが、これはある程度練習しなければ身につかないと考えています。大変かもしれませんが、きっとよい経験になるでしょう。
1.指導方針
放送大学大学院の学生さんは、御自身の職業や日々の生活上の課題から、自ら研究テーマを見つけて進学される方がほとんどです。従って、学生さんの関心のある研究テーマを発展することが出来ることを目指します。しかし、基本的に2年間という限られた期間で、修士論文という形にしなければなりません。ライフワークの研究課題と大学院での限られた期間で研究をまとめることの区別を意識するようにお願いしています。また修士課程の場合は、修了した時に、研究者として独り立ちできることを目標にしています。 病院、保健所ほか、健康・医療・介護・福祉領域、行政で働いている各種専門職の方が、在学し、修了しました。ほぼ総ての専門職種の方が在籍されました。
2.専門領域
内科学/公衆衛生/地域医療/医療政策/医療連携/在宅医療/地域包括ケアシステム/まちづくりを、私自身のテーマとしています。
キーワードは、地域医療提供体制、地域包括ケア、医療連携、在宅医療、コミュニティケア、地域再生、中心市街地活性化、健康・医療のまちなかづくりです。
地域における保健・医療・介護・福祉の連携に関する研究など、地域医療提供体制について研究してきました。また保健・医療・介護・福祉の連携とまちづくりについて研究しています。
なお、私自身の学位は、受容体のクローニングと分子構造の解析であり、分子生物学、薬理学を行っていました。また以前は、内科医、消化器内視鏡医として勤務しておりました。産業医の経験もあります。また、国立大学附属病院で、医療連携・退院支援の部門を立ち上げました。この部署は、国立大学附属病院のモデルとなっています。国、自治体、医師会などの委員会の委員を多く経験しており、政策、行政の施策と医療・介護・福祉の連携、合意形成を行っています。
3.指導可能領域
医療一般、社会医学、医療政策、医療・病院管理学、医療マネジメントに関することを基本に、健康医療介護福祉と自治体・コミュニティ、政策、マネジメントに関する事、および病院など臨床現場での研究課題であれば、幅広く対応します。
1 にも書きましたが、今まで、病院、保健所ほか、健康・医療・介護・福祉領域、行政で働いている各種専門職の方が、在学し、修了しました。医療機関や保健所や行政のほぼ総ての専門職種の方が在籍されました。
4.指導方法
屋根瓦方式で、博士課程修了者を含めた大学院の修了生や、先輩や同級生が、お互いに助言して、助け合うことを基本としています。
歴代の修了生や師範代という先輩や助言者も加入しているメーリングリストでの指導と、月に1回程度のゼミで、学生が各自研究経過を発表して、私がアドバイスを行います。またゼミ生やOBOGなどを含めて質疑応答を行います。いろいろな研究テーマや研究方法の学生さんの研究経過を、出席者全員で聞きます。自分自身の研究以外の研究過程を知ることで、多様性を知ることと、『研究』『科学』の普遍的なものに気付くことが出来るように指導しています。課題を、理性的、合理的に考えることを重視しています。
またWeb会議システムを活用した指導も進めつつあります。
5.入学者に求めること(指導教員からのメッセージ)など
医学一般、保健・医療・介護・福祉に関する事項について、これらの課題を、理性的、合理的に考え、自律的に行動できる市民・国民・専門職を、全国津々浦々で育成することに貢献したいと考えております。地域包括ケアと在宅医療を含めて、医療・福祉を中心とした地域づくり、まちづくりを共に研究する人を求めています。
病院、保健所ほか、健康・医療・介護・福祉領域、行政で働いている各種専門職はじめ幅広い人材を求めています。市民の方も大歓迎です。
1.指導方針
一定水準の新規性、有効性、信頼性を有した学術研究論文をもって修士論文として位置づけます。大学院修士課程は、独力でこうした学術研究を遂行し、研究論文を作成する基礎能力を身につけるための場であり、その支援、指導の場として大学院ゼミを設定します。
ただし、入学する修士院生はほぼ全員がはじめて本格的な学術研究を行い、はじめて学術論文を執筆することになります。院生は論文執筆や研究経験が豊富な研究指導教員や大学院教育支援者などの経験者とタッグを組んで、お互いの信頼関係のもと研究を進めていくことになります。自主性は極めて重要ですが、経験者による軌道修正も必須です。そのため、定期的に大学院ゼミに参加し、研究経過を報告し、周囲から様々な指摘を受け、それに基づいて計画や結果、論文を改善するというプロセスを通じて、より良い研究に仕上げていくことになります。周囲からコメントをもらうことと、それを受けて修正・改善することの繰り返しがきわめて重要と考えています。
また、研究を行っていくうえでは研究方法の習得はとても重要です。大学院では、研究方法の習得と、文献を読解できる程度の英語力については独習が前提になっています。しかし、それを助け、弾みをつける意味で、当ゼミでは研究方法論の習得に特化した学習支援の機会も設けています。
2.専門領域
専門の研究テーマ:健康生成論とストレス対処力SOCについての包括的な研究。SOC、レジリエンス(精神的回復力)やストレス関連成長、楽観性など健康につながるポジティブ心理学的概念の測定と効果およびその形成に関する研究。慢性疾患患者におけるQOLと健康への力に関する研究。HIV陽性者のメンタルヘルス、スティグマ、生きる力に関する研究。レクレーショナルドラッグの使用に関する研究。健康の社会経済的不平等とそのメカニズムに関する研究。等。
担当授業科目:健康と社会、市民のための健康情報学入門、健康への力の探求、基礎看護学、看護学概説、ヘルスリサーチの方法論
3.指導可能領域
健康社会学、健康教育学、公衆衛生学、看護教育学、看護情報学、の領域です。質問紙やインタビュー、測定機器等によるデータの収集とその分析に基づく実証研究について、社会調査方法論・疫学方法論の観点で指導します。 病いや健康にかかわる様々な心理・社会的な問題や課題の解決に向けての基礎資料となるような、身体的・心理的・社会的な複合的な視点のもとで進めていく研究を応援しています。
研究方法論としては、疫学、量的研究・計量研究の方法論を専門としています。また、心理測定方法論も活用します。ゼミでの指導を通じ入学時には統計解析についてほとんど知識がない方でも、意欲がある方には量的研究の方法論、統計解析法の習得を支援します。
4.指導方法
指導形式:対面のゼミ形式で指導します。場合によっては個別面談を行います。
指導場所:東京文京学習センターまたは放送大学本部
指導の頻度:1~2か月に1度の頻度でゼミを開催します。個別指導は必要時に行います。
遠方学生への対応:原則として大学院ゼミには直接参加していただきます。個別指導はweb会議システムあるいは最寄りの学習センター等において個別面談形式で行います。
その他:他のゼミと合同でセミナーや勉強会、ゼミ合宿を行うこともあります。
5.入学者に求めること(指導教員からのメッセージ)など
社会人院生は研究の時間が大変に限られています。大学院に入学してからゼロから研究計画を立てている時間はほとんどありません。出願時にはある程度形になった研究計画書を作成しておくことが必要です。また、研究対象者のフィールド(研究実施の場所)もはっきりとさせておくことが必要です。研究計画書をきちんと記載できる程度の文章力、研究方法論(疫学方法論・社会調査方法論等)の事前知識が必要です。
研究計画書は、明確な研究上の問い、学術的背景の整理、明確で構造化された研究目的(研究上の仮説が明確になっているか)、研究対象者(誰を対象に研究をするのか)、調査研究フィールド、測定する内容、等の記載が望まれます。
大学院入学後は、意欲さえあればいくらでもよい研究を作り上げる力をつける機会がありますし、そうした支援は厭いません。ただそれは院生個人や指導教員一人の力だけでなく、支援スタッフや同じゼミ生同士のかかわりを通じて磨かれていくものです。周囲と良い関係を築きつつ、力を借りながら独力でよい研究成果を作りあげる経験が、修士課程では重要と思っています。
1.指導方針
修士論文を完成させるまでの過程において、一貫して研究の主体は学生自身です。研究の過程では、学生自らが目的を設定し、その目的を達成するための方法を検討して実践し、結果をまとめ、考察を行うことになります。教員は、学生の研究の過程を見守り、ディスカッションを通じて研究を活性化させ、研究が脇道に逸れそうなときには軌道修正を行うといった役割を遂行します。
修士論文にはその要件として、論理性、客観性、独創性が求められます。みなさんにも、科学的方法論にもとづいた厳密な手続きを用いながら、新しい知見を導いていただきます。また、研究成果のレベルとしては、学会での口頭発表や学術論文に投稿できるものとなることを目指してほしいと考えています。
2.専門領域
わたし自身は、生活の安全と安心に資することを目指しながら、生活を基点としたリスクマネジメント、リスクコミュニケーションに関する研究を行っています。おもな研究方法は、質問紙調査やインタビュー調査等により一次データを収集し、これを分析・考察することです。またフィールドにてアクションリサーチを行うこともあります。
3.指導可能領域
上記に述べた内容が自らの専門領域すなわち得意分野ではありますが、もとより生活は多様な要素から成り立っています。したがって修士論文の研究では、生活を構成するそのほかの諸資源や諸関係に関するテーマについても、なるべく受け入れたいと思います。研究方法としては、質問紙やインタビュー等による調査研究のほか、文献考察を用いた研究についても指導します。
4.指導方法
月1 回程度、千葉の大学本部においてグループゼミを開催しますので、可能な限り出席して下さい(原則として一年間に4回以上)。ゼミでは、研究の進捗と方向性についてディスカッションを行います。その他、必要に応じて電子メールによる指導も行うこともあります。なお、「やりたいテーマ」が果たして「(在学中に)できるテーマ」であるか、また独創性のある課題設定になっているかの見極めをなるべく早い段階で行う必要があります。そのためにも、とくに1年次の前半のゼミには可能な限り出席することが望ましいと言えます。
5.入学者に求めること(指導教員からのメッセージ)など
入学前に、取り組みたいテーマについての文献資料(とくに先行研究)を早めに収集し目を通しておいて下さい。とくに、論文のまとめ方を学ぶためにも、学術論文は必ず読んでおくこと。また、用いる研究手法に関連する概要書も読んでおいて下さい。コンピュータの基本操作(文書作成、表計算、E-mail、www)を習得していることは大前提です。さらに、量的研究を予定している場合には、一定の統計解析方法を習得しており、統計解析ソフトの使用経験のあることが求められます。
1.指導方針
修士論文は、卒業研究等で取り組んだ研究テーマをさらに深く掘り下げて探究するものです。ですから、卒研を書いて、ある程度テーマを絞っておいていただきたいと思います。論文を書くためには、まず、研究テーマに関する先行研究を精査し、自らのテーマが研究に値するものか、どこを掘り下げる必要があるかを明確にしなければなりません。これまでの膨大な研究蓄積のなかから関連する論文を発掘し精査し、自らの研究テーマの独自性を見出すことはとても大変な作業です。ただ、これがきちんとできれば、必ずよい論文を書くことができます。
社会福祉に関するテーマは広範ですが、テーマを絞込み、あなただけの視点、独創的で社会発信力のある論文を書くことをめざしてください。それはたやすいことではありませんので、それなりの覚悟は必要でしょう。放送大学には社会福祉系の施設機関で働いている人もたくさんいます。そういう仲間と議論し、励ましあい競いあう場が修論ゼミです。ゼミにはできるだけ出席してほしいです。私は教員としてそういう場を提供し、サポートしたいと思います。
2.専門領域
私の専門領域は社会福祉学です。生活調査によって得た結果を分析し、問題を析出、解決のため福祉等の施策をどう再構築するか、を考えています。高齢者福祉の施策と実践、女性と福祉、貧困や生活問題の実態、社会福祉分野で働く人々の労働実態などに興味があります。また、最近は戦前期の東京市方面委員に関する歴史研究も手がけています。個人の生活問題はどのような社会経済的変動、福祉政策の流れのなかで作り出されるのか、社会システムとして社会福祉施策や関連サービスはどのように機能しているのか、していないのか、生活調査をもとにした実証的な研究を手掛けています。また、社会福祉施設などで働く人々の労働環境についても女性労働との関連でWLB などについて直接ヒヤリングを通して研究しています。質的研究法および歴史研究法がおもな研究手法です。
3.指導可能領域
社会福祉に関連するテーマ、とくに高齢者や女性、貧困、生活問題に関するテーマ、地域福祉(地域開発と生活破壊、コミュニティの崩壊と再生)や社会福祉関連分野で働く人々の職場環境の改善等に関するテーマが指導可能範囲です。
4.指導方法
隔月ペースのゼミナールと個別指導をミックスして展開します。M1の前半は研究テーマの絞込み、先行研究、研究方法の妥当性などについて検討し論文の基礎を固め、骨子を決定します。研究レポート1・2・3、研究レポート提出のあとの報告会のプレゼンなど、いくつかハードルを設け、それらを乗り越えることで精度の高い論文作成ができるようにサポートします。指導場所は基本的に東京文京センターですが、何人か集まれば、関西在住の方には京都学習センター、北関東や東北在住の方には埼玉や宮城学習センターなど、居住地に応じてゼミの場所も設定します。指導は基本的にメールです。
5.入学者に求めること(指導教員からのメッセージ)など
社会福祉の研究は、人の暮らしの実態から立ち上げるもので、空理空論はありえません。常にリアリティが要求されます。また、政府の資料を鵜呑みにしたり、単になぞるだけでは論文にはなりません。常に批判精神をもって論文作成に取り組んでほしいです。必ず根拠をしめし、専門用語も無用心に使うことなく、ひとつひとつ概念を既定し、説得力のある論文を目指してください。
時代は激しく変化していて、私たちの生活も大きく変動しています。社会の底に目をむけ、生活困難な人々の暮らしの問題から社会の矛盾をえぐり、世に問う、というソーシャルなスタンスが社会福祉研究の出発点です。社会福祉に関心を持つすべての人、それから、当事者、その家族、社会福祉の施設や団体など現場で働く人も歓迎します。
1.指導方針
短期間での研究遂行となるため、研究に取り組む時点にはすでにテーマのみならず、具体的な研究課題が明確になっていることを望みます。
ゼミ形式による集団指導、または個別指導を行います。大学院生・卒論生による合同セミを毎月一回程度、放送大学幕張本部での対面形式あるいはZoom等によるオンライン形式で行います。他に指導はe-mailによるものが中心となりますが、必要に応じ個別の面接指導を随時実施することもあります。
2.専門領域
医療看護実践場面における状況把握と臨床における推論、すなわちアセスメントを中心に研究を進めています。さらにそれらの成果を広く還元できるような教育研修体制の構築や整備に尽力したいと考えています。
3.指導可能領域
フィジカルアセスメントに関する方法論の構築、検証及びその普及方法の開発等であり、主に開発研究や量的な研究手法を中心とし、質的な研究は指導可能な範疇といたしません。
4.指導方法
短期間での研究遂行となるため、研究に取り組む時点にはすでにテーマのみならず、具体的な研究課題が明確になっていることを望みます。
ゼミ形式による集団指導、または個別指導を行います。大学院生・卒論生による合同セミを毎月一回程度、放送大学幕張本部にて行います(コロナ禍の遷延する状況に鑑み、当面はZoom等によるオンライン形式でのゼミとします)。他に指導はe-mailによるものが中心となりますが、必要に応じ個別の面接指導を随時実施することもあります。
5.入学者に求めること(指導教員からのメッセージ)など
自ら調べ、実施し、まとめていくという、受け身でなく主体的に研究を進めていくこと、すなわち自立した者であるという心構えを前提とします。
パソコン及び基本ソフトの使用方法はもとより、量的研究に際しては、一定の統計解析方法をすでに習得してあり、統計解析ソフトの使用経験も必要です。また論文を解読できる英語力、並びに国内外の学術論文の検索方法、レビュー方法、研究方法論、統計学、論文執筆方法に関する一定の知識を有しているものとして対応します。
1.指導方針
多くの研究は、「背景(既存の研究やその問題点・課題など)」→「目的」→「方法(目的を達成するための手段)」→「その手段を用いた調査・実験の結果」→「結果に基づく考察」という構成で完成されます。関心のある分野で自らテーマを設定し、そのテーマを既存の研究や時代のニーズ(背景)と比較し、その流れの中で、研究の動機や目的(リサーチクエスチョン)を設定し、研究計画を立てるところから始まります。
初めて研究を始める方にとっては、日々問題視していたこと、未知のことを、初めて自らの手で客観的に明らかにしていくことになるので、結果を見る度に気持ちが高揚し、研究終了時は大きな達成感が得られると思います。限られた期間ですが、研究を進めるプロセスを通して、定めたテーマの研究目的を達成するための学術的なアプローチを実践できるように支援したいと考えています。
2.専門領域
日常生活における健康、認知・行動、まちづくりについて、認知科学やヒューマンインタフェースデザインの視点から研究しています。人の行動や生理情報及び環境の変化を記録し、時空間情報として生活に応用する研究をしています。健康、安全、QOL、環境デザインに関わる取り組みに有益な、情報の収集方法や解析方法、メディアの形態、社会実装方法について考えています。
健康工学、医用工学、認知科学、ヒューマンコミュニケーション、環境モニタリング、地理空間情報などが経験のある応用分野です。
3.指導可能領域
生活、健康、医療、文化、環境など、実生活と接点のある領域において、研究の目的に対し客観的な考察を述べられるよう、情報収集の方法、研究デザイン、データの解析・評価の方法などの設定や実施に関して指導が可能です。
モバイルセンシング、リハビリテーション科学、環境認知の生理学的解明、行動認識、医用データ及び医用機器、地理空間情報解析、スマートシティ、ヒューマンコミュニケーション、音楽情報処理、健康増進システム構築、環境モニタリングなどが、指導可能なテーマです。
4.指導方法
ゼミ形式による集団指導、または個別指導を行いますが、原則として1ヶ月に一度、放送大学(文京学習センター等)で、研究会を開いて研究指導をします(Web会議システムを利用した遠隔参加も可能です)。
本部から遠方の方も、遠隔教育用のコミュニケーションツール及び情報共有ツールを積極的に用いて、可能な範囲で対応していますので、希望の指導場所や研究実施形態も含め相談してください。
5.入学者に求めること(指導教員からのメッセージ)など
修士論文の研究において、興味を持って進められるテーマを設定することが第一ですが、何故設定したテーマや方法で研究を行うのか、是非、客観的なデータや知見を参照しながら説明できるよう準備してください。
研究指導においては、インターネットを利用したコミュニケーションツール使用しますので、インターネット、メール、文書作成、表計算について、パソコンで利用可能な環境を整えた上で履修してください。
1.指導方針
大学院で行う研究は、すでに報告されている先行研究の研究成果とは違う新たな知見を得、世の中に示すことである。新しい知見とは、自然科学の新たな真理を見出すような難しいことではなく、身近に起こっている事象について疑問に思ったことや、解決したいと考えたことなどを自分で順序立てて考え、研究課題として作り上げ、約1年半の間に、修士論文として仕上げる事である。研究テーマに関しては、以下、2.3.の項目に含まれる領域の課題について指導が可能であるが、まず自身で研究課題を設定することを基本とする。論文の主な構成は、研究の背景、目的、方法、対象、結果、考察であり、一連の論理に矛盾がなく、且つ自分以外の人を納得させる客観性を持っているかを常に検証しながら、作成をすることが必須である。このような論文作成の過程を通じて、世の中に通用する論理展開の構築を身に付けることを目標とし、それをサポートする。
2.専門領域
私は「食」に関する研究を専門とし、食品学、調理学、栄養学などを基盤とする研究を行ってきた。特に近年は、味覚を中心に、味の伝わる仕組みや味分子の受容に関する生体側の応答と、食品側からの知見(味物質)の双方向からの研究を行っている。また、栄養学分野では、ニュートリゲノミクスを行っている。ニュートリゲノミクスは、文字通り、遺伝子の網羅的発現解析から、生体での栄養学的な変化を見出す手法である。私達は、健康診断でいくつかの血液成分を解析し、その値を、健康状態を判断する指標として用いている。例えば、肝機能のマーカーとしてのGOT(グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ)やGPT(グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ)である。このような特定の分子の値だけでなく、遺伝子の発現を網羅的に解析することによって、これまで気づかなかった生体に生じた変化を見出すことができる。ゲノミクスの手法は、食品の機能性成分の評価や、植物の栽培にも応用でき、幅広い知見をもたらしている。
3.指導可能領域
放送大学には食品学、調理学、栄養学等の実験設備が十分に備えられていないことから、実験データに基づく研究テーマを考えている場合は、データの取得方法・場所を各自で確保し、そのデータが利用可能であるかどうかを、データの帰属機関に確認しておく必要がある。また、ヒトを被検者とする官能評価などでは、信頼できるデータを得るために必要な被験者数を確保でき、研究倫理審査を通過できる内容であれば、実行可能な場合もある。文献研究やアンケートを用いた調査研究などは、ヒアリングにより、受け入れ可能かどうかの判断をする。
4.指導方法
まず、研究テーマについて十分なディスカッションを行う。特に研究目的、方法に関する十分な予備調査を求める。概ね1.5月に1回程度のオンラインゼミでディスカッションを行い、進捗の報告をする。「食」に関する研究領域は広範囲に及ぶので、テーマの異なる学生が集まるゼミになる可能性があるが、テーマごとに研究の内容、アプローチの方法は違っても、研究の進め方には共通点が多い。他の人の研究を知ることによって、幅広い知見を得るだけでなく、自分の論文にそれらの知見をフィードバックすることが出来る。違う分野の研究に対しても、意見を述べられるような力を養うことも必要であり、意見を交換しながら、研究の質を高めることを目標にして進める。
5.入学者に求めること(指導教員からのメッセージ)など
約1年半で完成させる修士論文の作成には、研究課題解決のための基礎知識、情報収集能力、理解力を一定レベル有していることは勿論であるが、最も重要かつ、唯一といっても良いかもしれない必要なものは「やる気」である。私は、研究をするにあたって、「やる気に勝る実力なし」と考えている。知識の豊富さや学力の高さよりも、やる気があること、それを持続し、努力を惜しまず、常に客観的に自分を見つめることが出来る人を求める。
1.指導方針
修士論文は、みなさんの問題関心に沿って執筆される学術論文です。修士論文のレベルは卒業論文のレベルよりもはるかに高く、専門の学会に投稿できる水準が修士論文には求められます。修士論文を執筆するあたっては、膨大な先行研究に向き合って、謙虚さをもって先人(先行研究)から学び、その上に新たな知見を得る必要があります。注の付け方や引用の仕方を含め、適切な作法に厳密に従って書かなければなりません。論理的な考え方、適切な表現も必要です。しかも主体的に取り組まなければ、良いものは出来上がりません。みなさんの主体性の発揮を前提として、教員は修士論文を書き上げるまでに必要なサポートをします。
2.専門領域
障害法、障害学、国際人権法を専門としています。それらの関連政策も研究しています。障害者権利条約、障害者差別解消法などを検討対象としてきました。障害の概念(障害のモデルを含む)、差別の概念(合理的配慮の不提供を含む)、人権の原理なども検討してきました。判決文を読み込んだり当事者や研究者の執筆した文献を検討したりして、解釈論や立法論に向き合ってきました。障害者就労、障害児教育などの分野で実態調査にも関わってきました。経済学、社会学など他の学問分野の研究者との学際的な研究にも従事してきました。
3.指導可能領域
上記のような私の専門領域に限られず、障害者、人権、福祉に関連するテーマは、基本的に指導可能です。
4.指導方法
月1回程度、ゼミで研究発表をしていただきディスカッションをして、みなさんの研究内容を深めていく予定です。できれば本部(千葉)あるいは文京センターでの対面ゼミを考えていますが、みなさんの事情も考慮に入れてオンラインのゼミにする可能性もあります。ゼミの開催形態は柔軟に考えるつもりです。ゼミのほか、zoomやEメール等による個別の指導も必要に応じて行います。
5.入学者に求めること(指導教員からのメッセージ)など
みなさんがご自身の問題関心に照らして主体的に研究をしたいという強い意欲をもつことが必要です。膨大な文献(先行研究)に向き合うことが求められます。最低限のパソコンスキル(ワード、Eメール、インターネット)を身に着けておいてください。日本語表現や注の付け方、文献の書き方なども、一定のレベルに達するまで推敲や再検討を求めます。
人間発達科学プログラム
1.指導方針
修士論文の作成は、「人間発達科学」プログラムにおける研究と学習の集大成としての重要な意味を持っています。というのも、人文科学、社会科学の研究は、単に事物を理解するというだけでなく、理解した結果を正確に記述する、あるいは論理的に説明するという段階まで含んだ総合的なプロセスだからです。その意味で、用意された質問に定型的に答える単位認定試験や、専ら先行研究や文献の学習を基に執筆を進める卒業研究報告書とは違って、質問自体も自ら提示し、それに対する解を導き出す論理を組み立てていく構築型の作業である修士課程での研究と学修は、最も大学らしい学びのプロセスだと言えます。学生の皆さんにはそうした考え方を基礎において参加していただきたいと思います。
2.専門領域
専門領域は、社会移動と階層、逸脱輪、 教育社会学、才能教育論、生涯学習論など、主に教育的事象と経済的事象とに関わる社会の諸問題を対象とする研究です。方法的には、どちらかといえば、理論研究や文献研究ではなく、統計的データに基づく量的分析が主です。
3.指導可能領域
専門の領域内であるか否かにかかわらず、生涯学習論および教育社会学あるいは教育学・社会学一般での指導が可能です。ただし教科教育、教育史研究、教授-学習過程論等に関しては、あまり有効な指導を提供できないと思います。方法的には、自分の専門にかかわらず、量的アプローチ、質的アプローチのどちらでも対応することは可能です。
4.指導方法
4月以降、1ヶ月ないし2ヶ月に一度くらいの頻度で出席していただく対面指導(原則として個別または小グループごと)を行います(現在は大半の回がZoomです)。それ以外でも、必要に応じて個別相談を受け入れます。E-mail、Zoom、電話といった通信手段も積極的に利用していきたいと考えています。
5.入学者に求めること(指導教員からのメッセージ)など
普段から新聞、インターネット等のマスメディアに積極的に接し、そこで報道されるような教育と社会に関する事柄には常に関心を持っていて欲しいと思います。社会への好奇心とある程度の「野次馬根性」は、生きた研究をするために不可欠の要素です。また、放送大学での教育学、社会学および心理学関係の科目は、なるべく多く履修しておいてください。その他のプログラムの科目でも、研究テーマに関わると思われる科目については、観点の違いや研究方法の差異をしっかり認識した上で、広く履修しておくことをお勧めします。
1.指導方針
修士課程では、問題関心に基づく研究の問いを実証するため、適切な研究手法を用いてデータを取得、分析・解釈、その結果を執筆する研究の作法を習得していただきたいと思っています。研究テーマやフィールドによって、どのような研究手法が適切かを一緒に検討し、データの取得を試み、問題の所在、方法、結果、考察といった流れに沿って論文執筆まで伴走します。
2.専門領域
青少年から高齢者に至るキャリア発達や各年齢段階に応じた学習の持つ意義に関する研究が主たる専門領域です。成人学習の特徴・実践・学習プロセス、青少年の体験活動、地域における学習、図書館・公民館・美術館等の社会教育施設、生涯学習や社会教育に関連した制度・政策・実践等のテーマに関しても、これまで、事例調査やインタビュー等の質的研究、質問紙による量的研究など、多角的な研究手法を用いて自身の調査・研究を行ってきました。
3.指導可能領域
学習や教育をめぐる制度・政策・実践や社会的事象に関わる研究テーマで、事例調査やインタビュー調査等の質的研究、また、質問紙による量的研究と簡単な統計技法(クロス集計、カイ二乗検定、t 検定、F 検定、因子分析程度)による分析により、社会のリアリティを追求する研究を指導しています。
4.指導方法
幕張本部、もしくは東京文京学習センターにおいて年に4 回程度ゼミを行います。ゼミ生同士が仲間として議論し、励まし合う学習の場づくりを重視しておりますので、対面が原則ですが、遠隔地の場合は、web会議システムを活用したり、メールによる指導や最寄りの学習センターに出向いて指導することもできます。
5.入学者に求めること(指導教員からのメッセージ)など
忙しくて先に進まない場合でも、ぜひ連絡をしてください。非常に小さな前進でも完成に近づく一歩です。密に連絡していただくことと、できるだけ多くゼミには顔を出し仲間をつくってください。楽しく研究することが、忙しい中で研究する動機付けには不可欠です。
1.指導方針
修士論文の出発点は、学生自身が特定の研究テーマを設定して、これまで学んできた専門知識を用いて情報や資料を収集し、当該研究領域の先行研究のレビューを批判的に行うことです。またさらに学生自身が必要な研究方法の習得、データの収取整理、分析をすることが求められます。ここで取り組む課題について、学問的、政策的、または社会的な意味を自ら吟味し、追求していくものでなければなりません。教員は学生が設定した課題について、専門的な見地から方向付けをし、問題の立て方から、論文の組み立て方、資料の使い方など、研究方法をアドバイスしていきます。論文には記述の正確さと、明確な論理の展開が要求されます。
2.専門領域
私の専門領域は、高等教育論、教育社会学、教育経済学です。高等教育の政策・制度、大学の管理運営、国際化、大学のICT 活用などの課題について、中国・日本・米国などとの比較の視点から研究しています。世界各国の大学は、それぞれ独自の歴史や論理をもっていますが、直面する問題には多くの類似点があります。それに、大学の内部組織のようなミクロの視点から、大学外の政治・経済の変化、グローバル化、情報化、市場化など、マクロの視点まで含めて、統計資料、政策文書、実態調査などを通じてアプローチしています。
3.指導可能領域
高等教育政策・制度、大学組織の研究、国際化、学生の国際移動、遠隔教育の研究について、指導を行います。特に、これらの事象の中国の大学との比較研究に重点を置きたいと思います。 知識社会化、情報化、グローバル化の潮流の中で、高等教育の重要性は生活の中でも感じられてきました。世界的にみても大学教育は確実に英才教育から、大衆化教育、普遍化教育というふうに発展してきており、生涯学習の概念は社会に浸透してきています。大学が拡大するプロセスの中で、構造的矛盾が孕んでおり、社会的にも顕在化してきています。高等教育の実態を把握するためには、実証データをもって、国際比較を行うことは不可欠であります。
4.指導方法
指導方法は、学生の状況に合わせて、学生の要望を伺いながら進めたいと考えています。年4 ~ 5 回のペースで研究セミナーを開催し、対面で指導を行います。またemail やSNSを使ってのテレビ会議システムによる個別指導も行います。
5.入学者に求めること(指導教員からのメッセージ)など
修士課程の学修と研究は、課題の設定は極めて重要です。 高等教育全体は多様化する中で、さまざまな課題と問題を孕んでおります。質的な水準の高度化という国際競争力の強化から生涯学習の推進まで、社会、政府、非政府組織、大学の動き、個人の学習行動などについて、常に注目してください。それらに関連する新聞記事や新書、または論文をいくつか読んでほしいと思います。それを課題設定に繋げて行ってください。
1.指導方針
これまでの学修を含めた様々な経験をもとに、課題意識を大事にしながら研究を進めていきます。興味関心をもとに研究テーマを設定することは当然ですが、総じてテーマは大きくになりがちです。だからこそ研究可能な「問い」を見出すことを大事にします。研究を通じて得られる技術や能力、そして考え方は将来にわたり多様な場面で生かされるもの考えています。
2.専門領域
学校教育における情報通信機器の活用/情報活用能力に関わるカリキュラム研究
3.指導可能領域
学校現場をフィールドとして、教育工学的な視点からの授業開発、授業研究、カリキュラム研究等の教育実践研究に取り組んでいます。
4.指導方法
オンラインミーティング及び必要に応じて対面によるゼミナールによって実施します。学生同士の学び合いを重視すること、研究の進捗を確かなものにするために定期的に開催と原則します。また学生個人の進捗状況に合わせて、オンライン形式、電子メール等によって個別指導を行います。加えて研究成果を社会に還元するために、学会等での発表を積極的に行います。
5.入学者に求めること(指導教員からのメッセージ)など
学び続ける教師(大人)の姿は、子どもたちにとって重要なロールモデルです。また、これからの学校・授業に関わる大人は教師だけに留まりません。学校教育に関心を持ち自らの実践だけに頼らず、多様な意見から学ぶことのできる方を支援できればと思います。
1.指導方針
修士論文を書き終えたときに、「研究するということの本質が分かった」「放送大学の修士課程で学んでよかった」「研究の過程は苦しかったけれど、今思えば楽しかった」「次の研究をしたくなった」などの感想をもってもらえるようになることが、私の指導上の目標です。さらに、「修士論文のテーマに関することなら、他の誰にも負けない自信がある」と言ってもらえるようになったとしたら、指導した者としては望外の喜びです。そしてここに挙げた目標は皆さんにとっても目標になるはずです。 ただし、こうした私の、そして皆さんの目標が達せられるのは、皆さん自身が労を惜しまず手足を動かし、頭をフル動員して頑張ったときです。皆さんが頑張ることができるように、ガイド役の私も頑張りたいと思っています。また、その成果を関連の学会で発表したり、学術雑誌に投稿したりすることも考えてほしいと思っています。
2.専門領域
私自身の研究領域は教育心理学です。教育心理学のなかにも多様な領域がありますが、私の研究の中心は「教授 学習心理学」に分類されるものです。これは主に学校教育で取り上げられる学習内容について、子ども達の理解の実態を解明したり、理解の促進や内発的動機を高めたりする教え方を明らかにしたりする領域です。併せて、どう して子どもはそう考えるのか、こう教えるとなぜ理解が深まるのかといった認知のメカニズムを明らかにしようとします。研究法としては、実験や調査を行うことが多く、量的なデータに基づき研究を進めています。放送大学では「心理学概論」「教育・学校心理学」の授業を担当しています。
3.指導可能領域
上記のように私の専門領域は、教育心理学・認知心理学なので、これらの領域もしくは近接領域のテーマが望ましいですが、教育に関する他の領域でも皆さんと一緒に考えていきたいと思っています。その意味では、私の専門外のテーマを選んだ皆さんの研究を通して、私自身もそのテーマについて勉強する機会にしたいと考えています。なお、参考までに現在の修士課程2年生の研究テーマを以下に挙げておきます。
「実感を伴う数学の教材が学習意欲に与える影響」「看護学生の学習意欲を喚起する授業法」「英文読解を規定する要因」「小中一貫校における児童生徒間の影響力」「社会認識を深める教材の開発」「協同学習による問題解決が問いの生成に及ぼす影響」
4.指導方法
月に1、2回程度、土曜日か日曜日にZOOMを使って卒業研究、修士論文作成のための合同ゼミを開催しています。ゼミは論文の完成に向けて、その都度、進捗状況を発表してもらい、他の参加者や私がコメントをつけるという形で進められます。そして、そのコメントを参考にしてもらい、次回の発表の方向性を定めてもらいます。この合同ゼミは修士論文を進める上で有効なのでできるだけ出席してもらい、自身の研究を進めるとともに、他の方の研究についてもコメントをしてほしいと思います。なお、必要に応じてE-mailによる個別指導も行っていますが、メール上のやりとりには限界もありますので、最低でも2、3ヶ月に1回はゼミに参加してほしいと思っています。
なお、心理学領域では毎年8月の土日の2日間、他のゼミと合同ですべての修士課程の大学院生を対象に中間発表会を、また2月には修士課程の2年生の修士論文の口頭試問をいずれも千葉の大学本部で行っています。口頭試問は公開で行われますので、1年生の参加も奨励しています。
5.入学者に求めること(指導教員からのメッセージ)など
1つの論文を完成するまでには、関連の論文を読んだり、細かなデータ分析をしたりといったことが必要です。それが面倒で途中で投げ出したくなることもあるかもしれません。しかし、研究とはそういうもので、苦しみの反面、 完成したときの喜びや充実感は大きいものです。そうした喜びや充実感を味わってもらえるような充実した修士論文を完成してもらいたいと思います。 なお、一般に心理学の研究は、問題と目的の設定、実験・調査計画の立案、データの収集、結果の分析などのプロセスを踏みます。実験などは一度でうまくいくとは限りません。そう考えると2年間といえどもあまり時間がありません。充実した論文を書くためには、事前に一定の知識が必要です。例えば、実験や調査といった研究法や、基礎的な統計学について習得しておくことが必要です。そのために修士論文で取り上げようと思っているテーマに関連した放送大学の学部の授業を受講したり、関連する学術雑誌の論文をいくつか読んでおいたりしてほしいと思います。
1.指導方針
修士課程では、ご自身のこれまでの学習と経験を相対的・批判的に捉え直すことが、まず必要となります。そのうえで修士論文の作成に当たっては、問題関心を明確にし、適切な課題設定を行い、収集したデータや史資料を実証的なアプローチによって分析する、そしてオリジナルな知見を導き出し、さらに理論的、実践的なフィードバックを行う、といった一連の作業が求められます。また、精確な論述作法、史資料・データの厳密な取り扱い方、高い研究倫理なども必要になります。修士課程での学習や論文作成を通して、自身の研究を学術的な流れの中にしっかりと位置づけ、新しい視点や知見を付け加えられるよう、併走的なアドバイスを行っていきたいと思います。
2.専門領域
広く高等教育全般に関わる諸事象を、主に歴史社会学的なアプローチによって研究してきました。専門職養成、政策分析、学問領域・内容の制度化、学位・資格・教育プログラム、大学の組織アイデンティティなど、研究対象は多岐にわたりますが、高等教育をめぐる制度・組織・政策・言説などを、近代化以降の大きな歴史的な流れの中で問い直す作業を続けています。
3.指導可能領域
高等教育に関わる政策、制度、組織、政治、言説、人材養成などについて、とくに歴史的なアプローチでの解明に関心・興味のある方は適合的かと思います。また、テキストや史資料を丹念に読み解いていくことが必要となりますので、そうした根気ある作業が得意な方に向いているかと思います。
4.指導方法
学生のテーマ、環境に対応して指導を進めます。定期的にゼミ形式での集団指導を開催し、対面指導の他(幕張本部、東京文京学習センター、埼玉学習センターなど)、遠隔地の方にはzoomやe-mailなどでの指導も行います。
5.入学者に求めること(指導教員からのメッセージ)など
高等教育の歴史社会学的な研究は、現代社会の様々な課題や問題が、どのようなメカニズムによって起こり、またいかなるプロセスを経て変容し、今日のあり方を決めているのかについて、深く突き詰めてみようとする姿勢が重要です。そのためには、私たちがいま生きる社会の問題について、広くかつ鋭いアンテナを張っておくことが、是非必要です。日々の生活の中で、多種多様なメディアなどから、積極的に情報や知識を吸収して幅広い視野を持つこととともに、小さな疑問や関心を深く掘り下げてみようとする姿勢が重要です。
1.指導方針
修士論文を執筆するうえで指導教員が果たすことができる役割は次の2 つだと思っています。1 つ目は皆さんの研究が脇道に逸れそうになったときに軌道修正をすることです。研究の主体はあくまで皆さん自身ですので、私から具体的なテーマや目標を与えることは致しません。私ができるのは若干の道案内だけです。リサーチ・クエスチョン(研究設問)と、それに対する自分なりの解答(仮説)を持って、大学院を目指してください。
2 つ目の役割は、敢えて皆さんに反対の意見や考えをぶつけることです。先に書いたことと矛盾するように聞こえるかもしれませんが、自身の思い込みを確証することだけを目的とした研究は歓迎しません。常に「自分の仮説は正しいのか」「正しいといえる根拠は何か」「本当に他の仮説は成り立ち得ないか」と自問する、よい意味での批判的な姿勢を求めます。そうした姿勢を試す意図で私は皆さんの意見にどんどん反論する役目を担います。
2.専門領域
専門は社会的認知と呼ばれる社会心理学と認知心理学の境界領域で、さまざまな社会的現象の背後にある心的な基盤を、主に情報処理アプローチと呼ばれる方略を用いて明らかにすることを目的としています。具体的には、他者の印象形成、偏見・ステレオタイプ、原因の帰属、社会的推論、意思決定などが守備範囲です。また、インターネット、テレビゲームなど、電子メディアが人間に与える影響にも関心を持っています。
3.指導可能領域
上記の専門領域に近いテーマが望ましいですが、人間の心や行動に関することであれば、領域はあまり絞りません。ただし、「興味深い現象を記述する」ということにとどまるのではなく、「その原因は何か」を探究するお手伝いをしたいと考えています。原因を探求するには目に見える事実が必要です。そこで文献研究ではなく、実験、調査、観察、面接などの心理学的な研究手法を用いてデータを収集、分析することを推奨します。
4.指導方法
1カ月に1回程度、東京文京学習センタ-もしくは大学本部で対面のゼミ、もしくはZoomを使ったオンラインのゼミを開いています。研究は、指導教員と学生との1対1の関係の中だけで進むのではなく、むしろテーマは異なるものの、同じように修士論文執筆のための研究を行っている仲間との討議のなかでより良いものになっていきます。研究の動機づけを維持するためにも、ゼミには可能な限り出席してください。またゼミのない期間は、インターネット上のグループウェアでの情報交換が主となりますので、インターネット環境の整備に努め、常に連絡がつく状態にしておいてください。
なお、心理学領域では毎年8月の土日の2日間に中間発表会をオンラインで、また1月には修士論文の口頭試問を大学本部で行っています。口頭試問は公開で行われますので、1年生の参加も奨励しています。
5.入学者に求めること(指導教員からのメッセージ)など
修士論文のゼミでは、先行研究の読み込みを重視します。ゼミの中でも文献収集の仕方などを指導しますが、あらかじめ自身のテーマに関連する図書や、そして何よりも学術論文に触れておいてください。多くの論文に触れることで最新の研究知見に明るくなるだけでなく、学術論文の様式や執筆の作法に慣れることができます。
これまでに長い文章や学術的な文章を執筆した経験があまりないという方は、放送大学の学部科目である「日本語アカデミックライティング('22)」を履修したり、心理学論文の書き方に関する書籍が数多く出版されていますので、それらを購入し、常に参照できるようにしておいてください。大学院入学後は、早い時期に「アカデミックスキルズ('20)」を履修することもお勧めします。また研究のためにデータを収集したり、収集したデータを分析したりするためには、それらの手法に関する知識も必要です。心理学の研究法や統計法に関する概論書にもひととおり目を通しておいてください。
1.指導方針
独自性と論理性とを備えた論文であれば、修士論文と卒業論文との区別はない、あえて言えば、博士論文との区別もない、と言えると思います。論文は研究の成果を公表する一つの手段であると思います。
研究は学生が自ら行うものです。つまり、自ら問題を設定し、方法を選び実践し、結果をまとめ、考察するということです。指導教員としては、学生の研究の進捗を見守り、必要なコメントをお伝えすることしかできません。
2.専門領域
問題解決の過程を記述し、影響要因を分析し、人間にとって望ましい問題解決に導くためのメディアや方法をデザインする、ということをさまざまな事例を対象にして実践しています。実験的な手法ばかりでなく、調査や事例分析やインタビューなど、それぞれの事例に則した方法論を使っています。
3.指導可能領域
問題解決ということを、広い意味で捉えることができます。認知心理学の基本的なテーマから、認知工学や情報工学、メディアや情報の心理学、テレビゲームの心理学、科学コミュニケーションなどの応用的なテーマに対しても指導可能です。
4.指導方法
2カ月に1 毎月1回のゼミを、東京文京学習センターにて開催しています。システムWAKABAのゼミサイト、Web会議システム、電子メール、などインターネット技術を活用したツールも利用しています。個別のご相談にも応じています。
なお、心理学領域では毎年8月の土日の2日間、他のゼミと合同ですべての修士課程の大学院生を対象に中間発表会を、また1月には修士課程の2年生の修士論文の口頭試問をいずれも千葉の大学本部で行っています。口頭試問は公開で行われますので、1年生の参加も奨励しています。
5.入学者に求めること(指導教員からのメッセージ)など
論文スタイルについてはAPAスタイル準拠を標準としていますが、学生が所属している学会の論文スタイルも認めています。 自分なりの問題意識、リサーチクエスチョン、仮説を持って欲しいと希望しています。
何ごとも締切厳守です。
1.指導方針
修士課程に入学される方は、実務を通じて直面している課題や日常のふとした疑問、それらをきっかけとした問題関心をお持ちだと思います。そうした問題関心を言語化し、研究の問いを立て、定性的/定量的データを収集・分析し、答えを示すという一連の研究プロセスをお手伝いしたいと思っています。
2.専門領域
教育政策・教育行財政学を専門としています。これまでは学校統廃合政策、教員人事、教育事務所の再編統合、働き方改革と労働安全衛生、日本及びアメリカの教師教育政策などを対象に研究を行ってきました。ヒアリング調査や文献・資料を用いた分析を多く行ってきましたが、必要に応じて定量的分析も行います。また、最近はテキストマイニングを通じて、教育政策に関わる文書の分析を行っています。
3.指導可能領域
教育政策・教育制度・教育行財政・学校経営に関わる研究テーマについて指導することができます。一方で、学校教育や教育方法に関する指導(教室の中のことや子どもに関わることなど)は難しいと思います。
4.指導方法
幕張本部、またはオンライン等を通じて月1回程度のゼミを予定しています。ゼミは各々の修士論文の執筆計画や研究の進捗について報告いただき、ゼミ生同士での積極的な意見交換を行っていただきたいと思っています。また、毎年1月に修士論文の発表会(口頭試問)を予定しています。
5.入学者に求めること(指導教員からのメッセージ)など
22年度に着任しましたが、ゼミの運営については試行錯誤を続けています。学生の皆様の要望に応じてゼミを作っていきたいと考えています。2年間で修士論文を書き上げることが第一の目標になると思いますので、入学前から関連する書籍や論文をたくさん読んでいただきたいと思います。その上で入学後は放送大学の様々な授業コンテンツを活用していただきたいと思います。自身の研究テーマや専門領域に限らない、周辺・隣接領域に関する知識や研究方法、理論、アイディアが自身の研究に役立つことがあるからです。また、附属図書館や学習センター図書室にも足を運んでいただきたいと思います。OPACで検索しているだけでは見つけることができない、しかしご自身の研究にとって重要な文献と出会えるかもしれません。
1.指導方針
修士論文は、研究者としての第一歩となります。修士課程に進学する方は、既にある分野でのキャリアを積んだ方が多く、それぞれの経歴やフィールドを生かして研究を行うことが多いです。「研究」とは、勉強とは異なり、自ら問いを立て、それを探求することです。ただし、問いの立て方、探求の仕方には、分野ごとにルールがあります。すなわち、それまで蓄積された先行研究に依拠しながら考えていくことが必要になります。教員は主に、そうした学術的な面でのサポートをします。また、ゼミでの院生同士の議論も大事にしています。個人的な問いを、より普遍的な問題意識や知の探求に引き上げていくことにつながると思うからです。
2.専門領域
私自身は、発達と文化との関連に興味をもっています。人の日常的な認識や行動を規定する枠組み(スクリプト)が、文化圏によってどう異なり(あるいは類似し)、発達段階によってどう変化するのか、に関心があります。研究方法としては、作文やインタビュー、既存のテキスト(昔話や絵本、記事など)の内容分析を中心に、質的・量的双方からアプローチを行っています。
3.指導可能領域
広く発達に関するものであれば、どのようなテーマでも構いません。ただし、自分で何らかのデータが取れることが条件です。テーマとしては、子ども・青年の発達と環境(家庭、仲間、学校、習い事、メディア、地域、文化など)との関わり、成人の発達と経験(仕事、結婚、子育て、介護など)との関わり等が挙げられます。方法に関しては、観察や実験、質問紙調査やインタビュー、内容分析など、テーマに応じて決めていきましょう。
4.指導方法
1ヶ月に1回程度、Zoomを使ってゼミを開きます。ゼミでは、その都度、進捗状況を発表していただきます。多少プレッシャーになるかもしれませんが、そのような機会があることで、研究の進展につながると思います。また、仲間と出会い、意見交換する貴重な機会にもなりますので、できるだけ出席してください。その他、必要に応じて E-mail や面談による個別指導も行います。なお、心理学領域では毎年8月の土日の2日間、他のゼミと合同ですべての院生を対象に中間発表会を、また1月には修士課程の2年生の修士論文の口頭試問をいずれも千葉の大学本部で行っています。口頭試問は公開で行われますので、1年生の参加も奨励しています。
5.入学者に求めること(指導教員からのメッセージ)など
限られた時間の中で論文を仕上げるためには、あまり欲張らず、焦点を絞り込むことが大切です。また、研究を具現化していくためには、心理学の基礎知識とともに、研究方法や統計手法について一通り習得しておくことも重要になります。関連する授業を事前に履修しておくことをお勧めします。焦点を絞り込むことができたら、書籍だけでなく、学術論文にも目を通していきましょう。Google Scholarなどの検索サイトを活用してください。論文を読み始めたとき、最初は意味のわからない部分(特に統計に関する記述)があるかもしれませんが、数をこなすことによって、少しずつ慣れてくるものです。そうすると、研究の仕方や論文の書き方なども自ずとわかってきます。ゴールをめざしてともに頑張っていきましょう。
臨床心理学プログラム
1.指導方針
臨床心理学プログラムの研究指導は、いくつかの点で、他のプログラムと異なるところがあります。これは、本プログラムが臨床心理学の研究だけでなく臨床心理士の養成も行っているからです。「臨床心理士資格審査規程」の第11条では、臨床心理士に求められる業務として、① 臨床心理査定、② 臨床心理面接、③ 臨床心理的地域援助、④ ①~③の研究調査の四つを挙げています。研究指導では、主に修士論文の作成を指導しますが、その目的は、修士論文の作成を通して、臨床心理士の業務の一つである④、すなわち①~③の研究調査を実際に行う能力を養うことです。研究調査を行う能力とは、具体的には、臨床心理士としてみずからが深く関与している心理臨床の実践を土台としつつ、その実践に役立つテーマを見つけ、それを様々な臨床心理学的手法を用いて調査研究し、新しい実践を創造していく能力を言います。本プログラムにおける研究指導が目指しているのは、心理臨床の実践に基づいて研究調査を行い、それを再び実践へ還元していけるような能力の涵養です。
では、心理臨床の実践を土台にして研究テーマを見つけるとは、どういうことでしょうか。それは、端的に言えば、人と人との出会い、人と人との交わりの内側に深く関与しながら、同時にそこで生じている間主観的な現象を外側からも見ていくということです。このような眼差しにこそ、臨床心理学という学問の特性があると言えるでしょう。そこでは、言語的コミュニケーションだけでなく、表情や視線、声のトーン、身振り・仕種(しぐさ)、liveの感情伝播といった非言語的コミュニケーションも、実に大切な役割を担っています。心理査定・心理療法という営みがそのような人と人との直接のかかわりを基盤としている以上、心理臨床の調査研究もまた、可能な限りそのような多層的な間主観的現象に深く関与し、かつ、そのような間主観的な諸現象を学問的なレベルで論理的に捉えていく必要があります。
このため、臨床心理学プログラムの場合、研究指導は、大学院の放送授業科目といった座学はもちろん、面接授業(臨床心理基礎実習・臨床心理査定演習)や臨床心理実習といった実習・演習と三位一体を成しています。座学で学んだことを実習や演習で深め、さらに、そこで学んだ眼差しを自己の実践に活用し、実践を深め、そこから研究テーマを発見し、テーマとなった現象に深くコミットしつつ、それを様々な臨床心理学的手法を用いて客観的かつ論理的に調査研究していくのです。研究指導は、この流れの中における「研究テーマの発見」「臨床心理学的手法を用いた調査研究」を鍛えていく営みと言えるでしょう。
2.専門領域
各教員には、それぞれ専門とする領域があります。それについては、臨床心理学プログラムの教員一覧を参照してください。
3.指導可能領域専門領域
指導方針でも示したように、① 臨床心理査定、② 臨床心理面接、③ 臨床心理的地域援助に関する研究が指導可能です。研究指導担当教員は、基本的には大学院生の研究テーマをふまえて適任者が担当します。基本的には、関東に居住する大学院生の場合はプログラムの専任教員が担当し、関東以外に居住する院生の場合は当該地方の客員研究指導担当教員が指導にあたりますが、研究テーマ等をふまえ、それとは異なる場合もあります。
4.指導方法
研究指導は、1年次5月頃に行われる面接授業の「オリエンテーション」後に開始されます。開始時期に関しては、各研究指導教員と相談のうえ決定されます。その後、研究指導担当教員が担当院生の研究計画等をふまえながら、適宜ゼミ形式あるいは個別で研究指導を行います。実施方法は、研究指導担当教員が、教員や院生の諸事情を考慮しつつ適宜決定しますが、主として対面あるいはWeb会議システム等を用いて行います。この他、1年次8月頃と1年次2月頃に行われる面接授業でも、研究指導の時間が設けられています。
さらに、2年次8月頃には、研究指導の一環として、プログラム全体で修士論文の中間報告会が行われます。ここでは、自分の調査研究の途中経過や成果を報告し、研究指導担当教員以外の教員や他の院生とディスカッションを行います。
5.入学生に求めること
臨床心理学プログラムは臨床心理士の養成を目指しています。心理臨床は、人生の困難に悩む人々を援助する営みです。それゆえ、臨床心理士になろうとする人には、人の痛みや苦しみに深く共感する柔らかな心と、人の人生に真摯に関わろうとする強い責任感や倫理観が求められます。自分はどうして臨床心理士になりたいのか、臨床心理士としてどういう活動をしていきたいのか、みずからの動機を深く検討し、目的意識をしっかり持ってください。また、臨床心理士には、柔らかな心や強い責任感だけではなく、人間の心に生じる現象を冷静に見つめ、それを論理的に把握していく力も求められます。そのためには研究の方法をしっかり身につける必要もあります。自分が将来取り組んでいきたい活動領域を見据えつつ、自分はその領域でどういう事柄を深く探求していきたいのか、そして、臨床心理学ではそれらの事柄についてどういう研究がなされているのか、たくさんの文献を渉猟しつつ、自分の研究テーマを絞り込み、できるだけしっかりした研究計画を構想してください。
社会経営科学プログラム
1.指導方針
当然のことですが、修士論文は学術論文の一つです。ですので、研究指導においては、自分自身が関心のあるテーマについて、そのテーマに関連する学問領域の先行研究をふまえて(つまり、そのテーマに関してこれまでにどのような研究がなされどのようなことが明らかにされてきたのかを理解した上で)、研究上の問い(そのテーマについて自分は新たにどのようなことを明らかにするのか)を立て、データの収集・分析や文献検討などを行って結論を導き出し、学術論文の形式に則って修士論文にまとめていただきます。
教員は、学生が進める研究の個々の段階(研究テーマの絞り込みや軌道修正、先行研究の探索・読解、データの収集・分析、論理展開、論文の執筆等)に応じて指導や助言をする役割を担いますが、研究を行う主体は他でもない学生自身ですので、自発的かつ計画的に取り組んでください。
2.専門領域
私自身は都市社会学を専門として、「社会的排除」をめぐる問題の社会学的研究(この社会においてどのような人々がどのようなメカニズムにより社会的に不利な位置におかれているのか)を研究テーマとしてきました。より具体的には、いわゆる「ホームレス」の人たちをはじめとした都市の貧しい人々の実態およびそうした人々への社会的な支援や対応のあり方とその問題・課題について、各種の社会調査(質問紙調査、聴き取り調査等)を実施するなどして実証的に検討しています。
3.指導可能領域
学生の研究テーマに応じてできるだけ柔軟に相談・対応したいと思いますが、現実の社会現象や社会問題などに関して、社会学の視点から、具体的なデータに基づいて(必要であれば自分でも調査を行い)実証的に検討・考察を行う、という研究方法で取り組もうとする方を歓迎します。
4.指導方法
月1回程度開催するゼミで研究の中間報告(毎回・20〜30分程度を予定)をしていただき、それをもとに討議・指導・助言をします。ゼミは基本的に土曜日に、幕張にある放送大学本部での対面とweb会議システムを併用したハイブリッド形式で開催します。ですので、遠隔地の方、幕張までお越しになる余裕がない方でも参加可能です。仕事や家庭の都合などでゼミに参加できない場合は、日時などを調整のうえ、対面あるいはweb会議システムや電子メール等での個別指導を行います。
5.入学者に求めること(指導教員からのメッセージ)など
入学後はもちろんですが、入学前の段階(入学願書の作成から入試に合格して実際に入学するまでの段階)でも、先行研究の探索・読解を積み重ねるなどして自主的に研究を進めてください。また、研究計画を立てる段階から、自分の研究テーマが既存の学術分野の中ではどのような分野に位置づくのかを意識してください(例えば、仮に修士論文の内容を学会で発表したり学術雑誌に投稿したりするとしたらどのような学会で発表するのか/どのような学会誌に投稿するのか、を考えてみてください)。
これまでに論文(例えば学部の卒業論文など)を書いたことがない、という方は、学術論文の書き方の入門書を読む、学部や大学院のアカデミック・ライティングに関する科目を履修するなどの事前学習をしておいてください。PCに関するスキル(電子メール、インターネット閲覧・検索、ワードプロセッサ、表計算等)も一通り身につけておいてください。先行研究の探索方法については、放送大学図書館のwebサイトに掲載されている「リブナビプラス」(https://lib.ouj.ac.jp/libnavi.html)なども参考にしてください。また、自分でなんらかの社会調査を行いたいと考えている場合は、社会調査に関する科目を履修するなどして、社会調査の考え方や技法について一通りの知識をあらかじめ身につけたうえで、現実的な調査計画を研究計画の中に盛り込んでください。
なお、研究を遂行するうえで、先行研究を収集・読解・整理するという「勉強」は必須ですが、そこからさらに一歩踏み出して、自分で問いを立てて探究をしなければ研究にはならず論文も書けません。ですので、純粋に「勉強」を楽しみたいだけの方は修士全科生には向きません。また、放送大学の学部や大学院の印刷教材を読んだだけで満足してしまう方(自分が関心のあるテーマについて自発的に専門書や学術論文を探索して読む、というところまで関心が深まらない方)も修士全科生には向きません。
1.指導方針
大学院における研究は、大学等で幅広く学んできた分析された知識を単に蓄積するだけでなく、ボランティアや実務という実体験も絡めて総合する過程であると思います。放送大学大学院修士課程で研究しようと考えている方は、すでに大学院修士課程入学前から問題意識をもっていると思います。そして、入学された修士全科生の皆さんは、それら問題意識を研究のテーマに結びつけて修論としてまとめ、ライフワークとなるような究明の旅のスタートラインに立ってほしいと思います。
2.専門領域
研究領域は、新領域法学(著作権法、知的財産法、情報法)になり、また科学技術と社会に関連する領域も含みます。テーマは、情報の円滑な流通と利用の促進、そして情報セキュリティの確保とプライバシーの保護に関する問題になります。このテーマは、著作権法、知的財産法、情報法に関する制度デザインの観点から考究しています。そして、その制度デザインと連携するテーマとして、情報資源の創造・保護・活用に関する社会情報システムの形成と整備に関するものがあります。このテーマは、プロトタイプ開発とともにアプローチしています。また、科学技術と社会のテーマとして、科学技術倫理と著作権・知的財産権の法教育に関するものがあります。関心対象は、知的財産法制・情報法制・科学技術法制に関する比較法研究と知的資源の生産・流通・蓄積システムに関する研究、また産業技術の政策・制度・倫理に関する研究になります。
3.指導可能領域
修士論文で指導可能な領域、研究方法などは、上記と同じになります。
4.指導方法
指導方法は個別指導を基本としますが、ゼミ形式も併用して、修士論文の指導をしたいと思います。指導形式は、e-mail、Web 会議システム、学習センター(主として東京文京学習センター)における対面など柔軟に対応したいと思います。
5.入学者に求めること(指導教員からのメッセージ)など
特にありません。
1.指導方針
修士論文を書くことを通じて、学術論文執筆の基礎を体得してほしいと思います。形式面では、先行研究レビューの必要性、正しい引用方法、妥当な構成、理論的な分析、文献リストの書き方などを理解して身につけることが必要です。もちろん最も大切なことは、2年間で修士論文にまとめることが可能で、学問的に探究するに値する研究テーマを適切な方法で研究することです。そのような「問い」は、各自が心から面白いと思うものであることを願います。「問い」をみつけたら、それをどのように研究することができるか、本当に研究に値するかをよく考えてください。そのためには、下欄「5。入学者に求めること」に示したような読書が役立つと思います。
2.専門領域
経営学のなかで「人」に関する問題を研究しています。人的資源管理、人材育成などの分野です。人事管理の制度について例をあげると、賃金制度、女性活用推進に関する制度などになります。個々の組織内の制度や運用が、社会から受ける影響(労働需給、職業教育の水準、グローバル化など)・社会へ及ぼす影響についても関心があります。
3.指導可能領域
前述した専門領域の研究を指導いたします。ただし、職業人の心理に関するテーマ(たとえば、モチベーションを計測して計測結果をまとめる等)は指導できません。
研究方法は先行研究をしっかりと読み込んだうえで、インタビューやアンケート調査の実施を勧めることが多いです。しかし、歴史的なテーマの場合には各種の資料や文献をもとに執筆することになるなど、テーマによってふさわしい研究方法があると思います。
4.指導方法
ゼミナール形式で、月に1回ほど指導を行います。対面の場合は東京または周辺県の学習センターで実施します。オンライン(例 Zoom)によるゼミも行いますので、そちらに出席いただくこともできます。
5.入学者に求めること(指導教員からのメッセージ)など
ビジネス関連の書籍はたくさんありますが、ハウツー本ではなく、学問的な図書を選んで精読することは修士論文に役立つと思います。学部の専攻が経営学や商学系でなかった方々は、本学教養学部の経営学と人的資源管理に関する講義の教科書を読んでみてはいかがでしょうか。また、論文の書き方に関する本もご覧になることをお勧めします。
1.指導方針
大学院修士課程における論文作成は、これまでに学んださまざまな学習の要素を自分なりに研究として具体的に組み上げて、一つの論文に仕上げる創造的な取り組みといえる。大学院における研究を仕上げる過程において、研究課題の具体的な動機の下に、研究および学習の成果を報告する機会を持ち、その報告のために、学習を繰り返し、研究になるような筋道を立てて、その上でレジュメをつくり、それを具体的なロジックを持って説明する。その報告に対して、先生と学生の皆さんで互いにコメントをして、研究課題を深化させて論文として書くプロセスが重要である。そのような過程を通して、研究課題を論文にまとめる経験を学ぶような指導を行いたい。
2.専門領域
私の研究領域は、世界における食料需給及び将来見通しに関する研究や農産物等の国際コモディティ市場の動向について研究を行っている。また、アジア、欧米における地域の農業・食料関連政策についても研究を行っている。食料・農業・農村の現状やその課題と将来見通しについて、農業経済学を軸に、統計分析や文献研究を行い、それらの事象の個性や課題を把握するように努めている。これは地域研究の領域にも通じるともいえる。
3.指導可能領域
指導領域について、①途上国・新興国だけでなく主要先進国の食料需給やその政策、農業や食料あるいは農村開発、さらに農産物等の国際コモディティ市場における課題、②日本における農業・農村や食料等に関する課題、を指導可能な領域とする。
4.指導方法
研究指導は、月1回程度でオンラインまたは学習センター・幕張本部等において対面でゼミナール(勉強会)を行う。参加者は、そのゼミでレジュメを作成して自身の研究の進捗報告を行う。このゼミに参加するため、学習・調査・分析、レジュメ作成、報告、議論を通じて、自身の報告内容の改善等の作業を繰り返し、研究論文として書き、最終的にまとめていく。このゼミにおいて、討議・コメント・指導を行う。1年次は自身の研究課題に関する検討を中心としつつ、関連する既存研究をレビューしてそれぞれの研究課題を具体化していく。2年次に自身の研究課題となる分析に着手して、最終的に修士論文として書き上げてまとめる。
5.入学者に求めること(指導教員からのメッセージ)など
研究課題を論文としてまとめるため、課題を丁寧にかつ具体化して、コミュニケーションを大切にし、意欲的に方途を見つける努力が必要である。身近な農業・食料・農村・地域に興味を持ちつつ、グローバルに思考し、また密度の高い学習・調査・報告を行って、研究を書き綴り、自分なりの確かな成果を期待したい。
1.指導方針
設計を指導法として導入し、近代の建築学を見直す。
2.専門領域
住宅建築の設計および建築理論
3.指導可能領域
近代建築 住宅建築 環境共生住宅 設計
4.指導方法
設計実技を行い、併せてレポートの提出を求める。
5.入学者に求めること(指導教員からのメッセージ)など
建築を知るためには設計技術を磨くことが不可欠です。
同時に設計技術と共に広範囲な分野との連携と理解も大切です。
それら、どちらも手放すことなく両立させることへの関心を抱いている方を求めます。
1.指導方針
修士論文は大学院における研究活動の成果を纏める最初の機会にあたり、それまでに習得してきた理論や方法論を現実の問題解決に向けて総動員し、新しい知見や課題を見出す知的作業である。経営学関係の修士論文では、最初の段階である研究対象の確定とテーマの設定が極めて重要となる。そういった研究がなぜ必要であるのか、構想に至った経緯など研究動機も明確でなければならない。研究課題とその方法論を明確にした上で、それぞれの研究を推進してもらう。この過程で重要な道標に到達できるようにアドバイスを行うが、各自がのめり込める研究テーマと研究課題を見つけ出すことが何よりも重要である。その次の段階として、その研究課題にどうアプローチし、どういった方法論を用いて分析を進めるのか、得られた結果をいかに解釈し、理論的な意義と現実的なインプリケーションにいかに繋げていくのか、そしてそれらを最終的な論文としてどう纏めていくかについて、必要に応じて指導する。
2.専門領域
製造企業やサービス提供事業のオペレーションに関わる諸問題、さらにはこれらの連鎖によって形作られるサプライチェーンに関する諸問題に対して、理論と実証の両面からアプローチしている。特に、製造企業の経営構造や国際比較分析、品質マネジメント、リーン生産、新製品開発、技術開発などについて研究論文を発表してきた。最近は、特に実証研究に主力を置き、サプライチェーン・マネジメントや品質マネジメントが持続可能性に及ぼす影響や e- サービスの品質マネジメント、オンライン・ショッピングの利用動機などのテーマに取り組んでいる。
3.指導可能領域
経営学の中でモノに関する意思決定問題を主たる研究対象とする。いわゆる企業の経営だけでなく、様々な組織や個人の意思決定も対象となる。モノの動きとともにカネも動き、情報が流れるので、これらの関連についても指導可能である。また、モノの生産のマネジメントはその前段階の研究開発、製品設計、生産技術とも深い関わりをもつので、技術マネジメントやイノベーション・マネジメントについても以前から研究を行っており、工作機械をはじめとする一般機械、電気機械、輸送用機械等の分野における技術マネジメントであれば、対応可能である。方法論的には、理論研究でも実証研究とも可能である。
4.指導方法
研究指導はゼミ形式で行い、東京文京学習センターあるいは幕張本部などで月に1回程度実施する。遠方の学生についてはTV会議での参加も可能である。1年次は研究課題に関する検討から始め、それに関わる既存研究のレビューをしながらそれぞれの研究方法を探っていく。
2年次には研究の骨子となる分析を進め、最終的に修士論文としての取り纏めを行う。
5.入学者に求めること(指導教員からのメッセージ)など
自らの発想で新たな研究テーマを開拓していこうという気概をもった学生を希望する。修士論文の執筆には相当の時間がかかるので、できる限り、研究に費やせる時間を確保することが肝要である。また、経営学と統計学、数学の基礎はしっかり確立しておいてもらいたい。
1.指導方針
修士論文は、たんにアイデアが独創的であるだけ、論文としての形式が整っているだけで優秀とされた卒業研究とは異なり、本格的に調査を行ったり、未知の資料収集を行ったりするという意味で本格的な研究の第一歩となるものです。
修士課程の指導としては、年度初めにアカデミック・スキルズを受講していただき、そこで用いる先行文献の選択についてゼミで個々に指導を行います。レポート1までは先行文献を読み進め、テーマ設定を確定します。そこまでは既存文献のレジュメと感想をまとめ、提出し、テーマ設定に無理があると判明したら、テーマを変更する作業を行います。
次いでデータの収集や論理構成のための資料収集を進め、レポート2に進みます。こうした過程は確認のためにゼミで対面授業を行うこともあります。
以下、第二年度には「目次の構成と各章の内容設定、独創性の確認」まで完成したのちに執筆の過程に入る。それまでの確認は随時メールで行うが、月一度程度、オンラインでゼミを開講します。
2.専門領域
社会経済学とは、市場と「人間関係資本」「文化資本」「自然資本」「金融資本」との関係に焦点を当て市場経済を分析する経済学です。私はそれらが必ずしも過去の反復ではない「危機」の状況において、市場のいかなる関係があるのかについて考察しています。
3.指導可能領域
社会経済学、経済政策、もしくは経済思想(学説史)。具体的には
(1)消費経済論(拙著『消費資本主義のゆくえ』)
(2)日常景観論(同『失われた景観』『書庫を建てる』)
(3)社会経済学(同『経済政策』)
(4)経済思想 (同『経済思想入門』『ケインズとハイエク』)
(5)経済政策論(同『経済政策』)
4.指導方法
各自のテーマをレポートⅠⅡⅢに沿って追究していただく。ゼミは3~4週間に1度のペースで、オンラインにて指導学生全員で行い、そのたびに進捗状況の報告を求める。個人的に行き詰まった場合にはメールおよびオンラインで個人的に相談に応じる。
5.入学者に求めること(指導教員からのメッセージ)など
「論文の書き方」は必ず修得しておいて下さい。論文とはどんな形式を持つ文章か、どのようにしてデータや既存文献に当たりつつ主張を正当化するのかについての理解を前提して、議論を進めます。
1.指導方針
放送大学の修士課程で勉学を志す人は多様であるかと思います。現に働いている、あるいはかつて働いていた職場で遭遇した具体的な事例について、現状の法制がおかしいのではないかと疑問を持ち、研究をしてみようというのは、短期間のうちに成果を出しやすい、1つのかたちであると思います。他にもいろいろなかたちがあり得るかと思います。
論文の完成に至るまでには、法的な整理の仕方についてやり取りをするつもりです。かりに提示された整理の仕方が妥当でないものとの結論がでたとしても、それがなぜ妥当でないかを論文のなかに盛り込むことも重要であると考えています。
2.専門領域
わたくしの研究領域は、国際法です。そのなかでも、とくに国際法の歴史を主たる研究対象としてきました。一次史料に基づいた実証的な研究をしてきています。これ以外にも、法源論、領土、武力行使、海洋法などの領域をこれまで主な研究対象としてきました。
授業科目としては、「国際法」、「法学入門」などを担当しています。
3.指導可能領域
2で挙げました、国際法の諸分野に関心がある方は大歓迎ですが、国際法のそれ以外の分野、さらには、国際法以外の法律学の分野についても指導することは可能です。
4.指導方法
指導を受けたい学生さんたちと個別に相談しながら、決定していくことになろうかと思います。ゼミ形式での指導となります。場所は基本的に幕張の、わたくしの研究室です。コロナ禍のために対面での指導が難しい場合には、Zoomを使用した指導となります。
5.入学者に求めること(指導教員からのメッセージ)など
国際法、法律学は初学者にはなじみにくいもので、ましてその分野で修士論文を執筆するのは難しいと考えておられる学生さんが多いかと思いますが、日常の生活のなかに数多くの法律問題が存在しています。法律学は体系的に勉強しないと正確に理解するのは難しい学問分野ですが、まずはそうしたかたちで、日常生活のなかの法律問題に関心を持ってもらうのが第一歩かと思います。そのうえで、法律、とくに民法について事前に勉強しておいてもらうのが望ましいと考えています。
1.指導方針
修士論文は基本的には、高度な専門知識(それには研究・調査の方法論も含まれる)に基づいて書かれる学術的著作の一種です。修士論文は、このような著作を書く第一歩であり、指導教員の務めはそうした一歩を踏み出すことの補助にあると思います。
ただし放送大学の修士論文は、単なる専門知識だけではなく、高度な教養にも基づくことになっており、そのような教養には、院生が実際に生活や仕事を通じて獲得されてきた経験や知恵の昇華されたものも含まれます。したがって、いかにしてこの「昇華」を学問的に達成できるかが、院生の第一の課題だと考えています。
論文は、どんなものであれ、明晰に書かれるべきです。つまりそれは独りよがりなものではなく、他者、それも一般的な他者だけでなく、意見を異にする他者にも了解可能で、説得的なものでなければなりません。指導では、院生がそのような文章を書けるようになることを目指します。
2.専門領域
規範的な政治理論の研究と、西洋の政治思想の歴史的研究。
-
「自由」や「正義」といった政治的(価値)概念の研究や、政治における理論と現実の関係や、政治的規範の哲学的根拠といった、政治の「理論化」に関する理論的・方法論的研究。
-
現代のリベラリズムの研究と、リベラリズムの思想史的研究。
-
ジョン・ロックをはじめとする、イギリス政治思想史の研究。
-
社会科学の哲学を中心とした、社会科学の方法論の研究。
3.指導可能領域
政治(広い意味での政治)に関する理論的、歴史的研究。
主たる研究方法は文献資料の調査と、文献、特に理論的著作の批判的読解。
4.指導方法
対面指導に関しては、基本的には幕張本部で、ゼミもしくは個人指導を行います。院生の学習状況に応じて、ゼミにするか個人指導にするかを適宜に決めます。ただし、院生の人数や論文テーマの内容にもよりますが、論文指導の中心は個人指導にあると考えています。したがって、指導の頻度も、各人の研究の進捗状況によって変わります。各研究レポートの提出後には、必ず対面での指導をします(遠方に住んでいる方の場合は相談により他の方法を考えます)が、それ以外ではe-mailを中心に個人指導をしつつ、必要に応じて対面指導をしていきます。
5.入学者に求めること(指導教員からのメッセージ)など
大学院は学部ではありません。大学院に入ってから初めて学んだことで論文を書くのではなく、すでにある程度学んだことを、さらに昇華させて論文にすることが、大学院での学びです。大学院で学びたいテーマがあれば、まずは最低限度、学部レベルで基礎的な知識をそのテーマについて学習しておいてください。できれば、より高度な専門書にもあたり、自分自身で学問的にそのテーマについて検討し、自分なりの問い(課題)と、それに対する仮説(意見)を明確にしておいてください。どうすればそのような問いや仮説を立てられるかわからないとすれば、その疑問や課題こそが、大学院で探究し解決すべきことなのです。
いきなり学術論文という文章を書くことは、かなり難しいことです。どんな仕方であれ、学術的な文章を書く経験を(学部の卒業研究等で)してください。自分が興味あるテーマに関して、すでにどんな学術研究があるのかを調べ、実際に著作や論文を読んでみてください。そこで、いったいどのような仕方で叙述がなされているか、どんな証拠が論拠になっているのか、どんな仕方で論証がなされているのか、等などを学んでください。
1.指導方針
修士論文は、修士課程の大学院生が、あるテーマについて、適切な先行研究をレビューした上で、学問的・社会的意義のある課題を提起し、科学的手法により多角的な考察を展開し、論理的に記述し、課題に対する結論を示したものであり、最終的な研究成果として位置付けられます。
基本的な指導方針は、理論と実務との融合を図る視点に立って、修士論文を執筆することを通じて、課題の設定、文献の調査、論点の整理、論理的考察、論文の作成といった一連の過程における基礎的な方法をしっかり身につけ、修了後も自分自身で研究を進めることができること、そして、法的なものの見方を涵養し、現実社会の中で直面するさまざまな問題を適切に解決するための能力を育むことです。
私自身の通信教育による学習経験を生かし、放送大学の通信制という特性を踏まえ、一人ひとりの学生の個性と目的志向に合わせて、合理的な学習方法、スケジュールの設定と管理、モチベーションの維持などを適切に指導・サポートします。
2.専門領域
専門領域は商法です。主に保険法を研究していますが、保険業法、民法(債権、親族、相続等)、民事執行法、破産法、個人情報保護法、特定取引法、消費者契約法等の法律にも及んでいます。
授業科目としては、「法律学文献購読」、「保険法」などを担当しています。
3.指導可能領域
専門領域は上記2に記載したとおりですが、それ以外に民事法学を中心とする法律分野に関するテーマについても指導することが可能です。
研究方法として、常に理論と実務の両視点に立脚し、問題点の所在を取り上げ、それに関する法律の立法変遷の追跡、立法・改正の背景と過程の確認によって立法趣旨を正しく理解し、学説の議論、重要な判例・裁判例、さらに比較法的見地から欧米その他の国の立法例を俯瞰したうえ、解釈論的・立法論的な理論構成を明らかにするとともに、問題の解決を試みるよう努め、残された課題を指摘します。時にはアンケート調査などの社会学的手法を用いる場合もあります。
4.指導方法
指導の形式は、直接対面か双方向通信手段による個別指導とゼミ形式による集団指導の組み合わせです。通信手段による個別指導は、e-mail、Web会議システム、Skype、郵便、FAXといった多様な手段を用いて適宜に対応します。そして、ゼミ形式による集団指導は、來生・李共同ゼミとして、約2か月に1回放送大学本部(幕張)で行います。
論文提出までの大まかなスケジュールについて、次のように提案します。1年目の4~5月は、文献の収集、先行研究のレビュー、テーマの絞り込み、論文骨子の構成、原稿執筆計画表の作成。同年6~7月は、研究レポートⅠの執筆・提出、同年8月~2年目の2月までは、研究レポートⅡの執筆・提出、2年目の3月~7月は、研究レポートⅢの執筆・提出、同年8月~11月は、助言を踏まえた論文の推敲と修正。同年12月中旬に、論文の完成・提出。論文の分量は、4万字(パソコンを用いる場合は1000字詰で40枚、原稿用紙を用いる場合は400字詰では100枚)以上を目安とします。
5.入学者に求めること(指導教員からのメッセージ)など
パソコンの基本的な操作やインターネットの利用に慣れるとともに、研究テーマに関する授業科目の履修などにより、基礎的知識、予備的知識を習得しておくことが望まれます。特に民法は最も基本的なルールを定めており、すべての法律の基礎とも言われていますので、ぜひ履修しておいてください。 多忙な仕事や日常生活を送りながら研究活動を行うことは容易ではありませんが、良い論文の完成を目指す皆さんには、次の4つの心構えをお願いします。①最後まで諦めない強靭な精神、②時間を確保する強い意志、③緻密で丹念な研究、④効率よく取り組む要領。
1.指導方針
職場や日常生活で疑問に感じた点を学術的な観点から整理し、分析し、可能であれば社会に向けて発信して頂きたいと考えています。指導教員の役割はそのためのサポートをすることであるというスタンスで指導を行います。
2.専門領域
専門領域:管理会計論とくに業績評価会計論
研究方法:情報経済学的アプローチ(例えば、組織の経済学、ゲーム理論、契約理論、リスクと情報の経済学等による)
3.指導可能領域
研究の専門は管理会計であるが、指導の方は会計学全般を対象とします。考えられる領域をあげると以下のようになります。
- ①企業会計関係
簿記論、財務諸表論、会計監査論、税務会計論、国際会計論 - ②管理会計関係
原価計算論、意思決定会計論、業績評価会計論、会計情報システム論 - ③その他
会計学に関する史的研究、環境会計、自治体会計、経営分析、内部監査、財務管理論ないし企業財務論等
テーマを選定する際に、社会経営科学プログラムは学際的な色彩が強いので、必ずしも会計プロパーの問題ではないが会計の問題が大なり小なり絡んでいるといった場合があるかもしれません。そのすべてに対してではありませんが学際的な対応もある程度考えていますので、迷っているときは相談して下さい。会計の扱う領域は案外広いのです。
4.指導方法
入学者の状況(居住地、仕事の有無等)に応じて、柔軟に対応しています。
毎年、9月頃に1泊2日のゼミ合宿を行っています。
5.入学者に求めること(指導教員からのメッセージ)など
少なくとも2年間は問題解決したいとモチベーションを維持できるテーマ選定をして下さい。
1.指導方針
修士課程の学びはその全てが修士論文をいかに書き上げるかに繋がっています。学術的な問題設定を行って数万字の文章を書き切るのは一朝一夕にできることではありません。指導に際して、テーマ設定は各自の興味関心を尊重しますが、加除修正をすれば主要な学会誌等に投稿できる水準を求めます。
2.専門領域
学問分野としては国際政治学と日本政治外交史にまたがる形で研究をしてきました。具体的には、第二次世界大戦後の日本外交を中心に、外交文書を主史料に用いた歴史的なアプローチに基づく著書・論文を発表しています。史料館での調査や文献資料が基本ですが、関係者へのインタビューも積極的に実施している他、日記等の未公刊史料の翻刻や公刊も手掛けています。現在は、主要国首脳会議(サミット)やエネルギーをめぐる国際政治についても研究を行っています。
3.指導可能領域
日本の政治外交や国際政治だけでなく、比較政治や行政学などの隣接領域や公文書管理、エネルギー安全保障、オーラル・ヒストリーなどを専門とする学生も歓迎します。政治(広い意味の政治)を研究したい学生は受け入れ可能です。
4.指導方法
学生の事情もふまえつつ、年間10回程度の全体ゼミ(年に3回程度は東京文京学習センターもしくは本部で対面、それ以外はZoom)と月1回程度のチュートリアル(基本的にZoom)を組み合わせる形で指導します。修士課程1年次の夏までは全体ゼミ、それ以降は自由参加の全体ゼミでの指導を基本にしつつ、電話やZoom等も用いて随時チュートリアルを行います。通信制大学ということもあり、学生の側の自主性を前提としますので、学生の側が教員を上手く利用するよう心掛けてください。
5.入学者に求めること(指導教員からのメッセージ)など
一定数の学術論文を読まなければ自らが書く修士論文のイメージを掴むことはできません。また、国際政治や外交史を専門とする場合は英語(及び研究対象地域の言語)の読解能力が不可欠です。そして学術論文を読むためには大学で使われている教科書をそれなりに読んで政治学や国際政治学の基本的な知識を習得している必要があります。大学院入試に出願する前の段階で、久米郁男・川出良枝・古城佳子・田中愛治・真渕勝『政治学 補訂版』(有斐閣、2011年)、中西寛・石田淳・田所昌幸『国際政治学』(有斐閣、2013年)といった定評ある教科書や各自の研究テーマに関する教科書ないし通史に目を通しておくこと、『国際政治』『年報政治学』『国際安全保障』といった学会誌に掲載されている論文をある程度チェックしておくことを強く推奨します。大学院ゼミでもしっかりと指導しますし、各自が割ける時間次第ではありますが、通信制ということもあり、一定の事前学習と単位習得を済ませておかなければ2年間で修士論文を書き上げるのは難しいと考えてください。
1.指導方針
当然のことですが,修士課程では各自の関心に応じて,自由に課題を設定し,それについて研究していってほしいと思います.ただし,学術的な探究ですので,ひとりよがりではなく,既存の研究を参考にしながら,自分なりに考えていくということになります.そのためには,まず自分が疑問に思うことが,既存の学問分野や学術研究のどこに位置づくのか,どこまでが明らかにされており,自分はそこに何を付け加えるのかを考えていくことになります.指導の方針としては,皆さんがそのようなことができるようになるように,適切なアドバイスや既存研究の紹介ができればと思っています.かといって,私もすべての学問に詳しいわけではありませんので,比較的詳しい専門領域は,次の通りです.
2.専門領域
私自身の専門は社会学で,都市社会学や地域社会学という都市生活や地域生活の領域の社会学的な研究を中心にしています.具体的に言うと,自治会・町内会や市民活動団体などの住民生活に関する諸活動を通して,人々が都市やコミュニティの課題にどのように取り組んでおり,それらの活動が地方自治体の政策とどのように絡み合っているかについて,実証的な調査研究によって明らかにするということをやってきました.
3.指導可能領域
上のような専門ですので,都市や地域における住民生活や地域生活に関する研究が中心になりますが,広く社会学全般の研究領域や研究方法を専門としていますので,政治や経済の制度的な側面だけでなく,人が人と関わりながら生活している社会的な世界を対象とした研究ならば,都市や地域以外の課題領域についても,何らかのお手伝いができるのではないかと考えています.
4.指導方法
月1回程度開催するゼミで各自の研究の中間報告をしていただいたり,課題となる文献や資料について一緒に読んだり,分析をしながら,基本的には各自が自分の関心にそった修士論文の作成に取り組んでいくかたちで指導をしていくつもりです.各自の居住地や都合に応じて曜日や時間は調整し,オンラインもしくは対面でゼミを行っていきます.必要に応じてメールでの対応や個別指導も行います.
5.入学者に求めること(指導教員からのメッセージ)など
修士課程は各自の問題関心に応じて自ら課題を設定し,それに向けて既存研究を参考にしながら,必要に応じて自分で調査をしたり,データを分析することで,オリジナルな主張を修士論文としてとりまとめることを目標としています.したがって,単に与えられた教材について学ぶだけではなく,自分自身の関心に応じて,自ら参考になるものを探し出したり,独自の調査によってデータを収集しながら,考察を深めていくことが求められます.同時に,ひとりよがりの主張を行うのではなく,適切な学問分野の既存研究を十分に理解した上で,そこに自らの主張を織り交ぜていくことができなければなりません.その意味でまさに自分自身で学問研究を進めていくことが必要です.探求したい学問的課題,理解し改善の方向を見いだしたい問題などが見つかったときに,放送大学の修士課程へのチャレンジを考えてみてください.
1.指導方針
修士論文は、卒業論文とは異なり、高度な専門的知識にもとづく学術論文です。ここで「高度な専門的知識にもとづく」とは、テーマに関する先行研究の蓄積を十分に踏まえたうえで、先行研究に多少とも新しい知見を付け加えられるかどうかが重要な判断基準となります。そのため、テーマに応じて日本語以外で書かれた著作・論文を含めた十分な文献・資料の渉猟が研究の必須条件となります。もちろん、文献渉猟を含め、限られた時間で研究を前進させていくためには、卒業論文以上に、院生自身の主体的・計画的な取り組みが不可欠です。この点、くれぐれもご理解いただくようお願いします。
定期的に研究の進捗について発表していただきます。指導教員は、研究テーマの妥当性、文献の収集と読解・分析、論文の論理構成、学術的な文章表現についてその都度、指導・助言を行います。場合によっては、テーマそのものについて変更や見直しを求める場合もあるので、その点を予めご了解ください。
2.専門領域
これまで、経済思想、社会思想、環境思想を横断するような形で研究してきました。人間の経済は、人間同士の社会関係に閉じられたものではなく、物質やエネルギーの採取から、廃棄物の廃棄にいたる自然生態系との相互作用・物質代謝の上に成り立ちますが、近代の経済学はごく少数の例外はあれ、このような事実に十分な注意を払ってきませんでした。私自身は、この問題に思想史や概念史の方法をつうじて、つまり近代以後の経済学を中心とする社会科学の展開において「自然」や「環境」はどのように学問的認識の対象とされてきたのかを再検討するという観点からアプローチしています(『経済的思考の転回』以文社、『人新世の経済思想史』青土社など)。また、現代の環境危機と科学技術をめぐる思想・倫理学的な研究にも関心をもっています(『未来の環境倫理学』勁草書房、『科学技術社会論の挑戦』東京大学出版会など)。
3.指導可能領域
経済・社会・環境をめぐる思想・歴史・理論的研究。環境倫理学や科学技術社会論などもテーマによっては指導可能です。いずれにしても、文献の批判的読解が中心となるので、粘り強く文献渉猟に取り組める方を歓迎します。
4.指導方法
月に1回程度オンライン会議システムなどを活用して、個別指導(院生の研究進捗によってはゼミ・集団指導)を行う予定です。可能な範囲で学習センターでの対面指導の実施も検討します。テーマに関する先行研究の渉猟、レジュメ作成と報告を繰り返しながら、論文の構成作成・執筆へと進めていただきます。
5.入学者に求めること(指導教員からのメッセージ)など
修士論文のような長い学術論文を短期間で仕上げていくのはかなり困難です。卒業論文を書かれた方も含め学術論文の書き方に関する本を最低一冊は読み、学術論文執筆の下地を十分につくっておいてください。また関心のあるテーマについて日ごろから広く文献についての情報を集めることが不可欠です。まずは自分が研究したいと考えるテーマに関する入門書や概説書にできるだけ広く眼を通し、基本的な概念や用語に触れて、研究に必要な基礎体力を十分つけておいてください。その後、より専門的な学術書や学術論文を複数読み進め、テーマに関して自分自身が何を「問い」として立て、それにどのような「主張」(仮説)を提出できるかを明確にしていってください。学術書や学術論文については、書かれている内容すべてを一気に理解しようとするのではなく、論述のスタイルや文章の構造とともに、テーマについて何が問題とされてきた/いるのかを大きく掴んでいくことが大切です。
人文学プログラム
1.指導方針
修士論文は、自分で設定した研究テーマについて、1年半以上かけて研究した上でまとめていくもので、自分の研究成果を専門的に深めるために非常に重要です。
関心を持ったテーマに関して、これまでどのようなことが言われ、考えられてきたのかを、十分に知ることで、自分の視野を拡げ、考えを深めていく。 古典とされるものでも、思った以上に、新たな発見がいろいろあるもので、著者が作品を生み出していく上で格闘していたことも分かってくると楽しいものです。 1年半以上集中して考え、長い分量の論文をまとめることを通して、自分なりの 物の見方と表現が出来てくるとよいと思います。そうした作業のお手伝いをしたいと思います。
2.専門領域
日本思想・実存哲学が専門です。大学院科目『道を極める─日本人の心の歴史('16)』だけでなく、学部導入科目『哲学・思想を今考える-歴史の中で('18)』、学部専門科目『文学・芸術・武道からみる日本文化('19)』も御覧いただければ幸いです。
主な研究方法;特定の思想家を問題とする場合には、時代背景とその人物の生き方を史料批判した上で諸資料を 用いることによって明らかにし、その主著を正確に解釈・理解した上で、自分なりの問題関心に即して論じ、さらに 大きな思想史の流れの中でどのように位置づけられるかを考えています。
3.指導可能領域
日本思想、実存哲学などを中心に指導します。 他分野の場合には、相談の上、別の専門の先生に研究指導をお願いすることも可能です。
4.指導方法
最初に研究テーマを決定する。テーマに関連する書籍は数十冊あるでしょうが、自分の研究テーマ に合った、優れた研究の成果が書かれた書籍を数冊選んで精読し、内容を理解した上で、批判的な眼を持ちながら考えてみる。思想家を研究する場合には、中心となるテキストの内容をまず正確に理解する。原書・原典を読むのが望ましいが、訳書や現代語訳を使って内容を知った上で、引用する箇所などは原書・原典を見てみる努力をしてほしい。並行して研究書や論文を複数読んで参考にする。演習を2ヶ月に1度のペースで、文京学習センターもしくは幕張・本部で行う。その都度、自分の研究の進展について、1枚程度の要旨を作成して、10~15分で発表し、それに対して、私や教務補佐員(他大学教員)、修了生、参加者から質問があり、質疑応答の中で研究の進め方に関して考えて下さい。研究レポートⅠ、Ⅱ、Ⅲにはコメントを記すので、その都度段階的に論文の構成、内容を固めていく。修士論文は400字X100枚を標準とする。
5.入学者に求めること(指導教員からのメッセージ)など
日頃から思想的な事柄、社会的なことに関心を持ち、物事をよく考える姿勢を持っていてほしい。自分とは異なる他人の意見を理解して、自分の考えを柔軟に見直すことも大事です。絶えず視野を拡げるように努めながら、自分の専門とする事柄に関してより深めていってほしいと思います。 必須条件とはしませんが、学部の哲学領域の科目を履修していることが望ましいです。
1.指導方針
調べたことを自分の言葉でまとめ、そのまとめに対して考察を行う、という卒業論文で必要なことに加え、修士論文では独自の視点をもって論述することが必要だと考えています。研究テーマを自分でみつけ、そのテーマに関連する文献を自分で探し、明らかにしたいと思う点についての証拠(文献から得たもの/独自に集めたもの、質的/量的なデーター)を自分で集め、分析に必要な観点を自分で見出し、結論を自分で導き出して論述する、というのが修士論文の然るべき在り方だと思います。この形に近づくようにアドバイスしたいと思いますが、自分の専門分野からずれるものについては効果的なアドバイスができない可能性もあります。あくまで基本は執筆者本人の責任で調べ、考え、論じるものなのだという姿勢で取り組んで頂きたいですし、私自身もそのような姿勢で臨みます。
2.専門領域
専門分野は異文化間コミュニケーションです。現在開講中の大学院科目「異文化との出会い」では異文化間コミュニケーション分野で使われる理論である「コミュニケーション調節理論」について詳しく論じています。以前開講していた科目では英語教育や言語政策に入るような内容を扱ったり社会言語学の分野に踏み込んだりしていました。
3.指導可能領域
異文化間コミュニケーションが最も得意な分野ですが、コミュニケーション学で扱われる対人コミュニケーションに関わる内容であれば対応できるものが多いと思います。社会言語学的な内容や英語教育に関わる内容にも興味があります。以前は量的な研究をやっていましたが、今は質的な研究にも関心があります。
4.指導方法
個人指導とゼミとを織り交ぜてやっています。ゼミでも個人指導でも、お住まいの地域にかかわらず基本的にウェブ会議システムを通して参加して頂くことをお願いしています。ゼミの日程はこちらで決めさせて頂きますが、個人指導の日程はその都度調整しています。3か月間でゼミ1回と個人指導1回程度という頻度で考えています。
5.入学者に求めること(指導教員からのメッセージ)など
「教わる」「勉強する」ではなく、「研究する」という姿勢をきちんと持って出願して下さい。入学後はウェブ会議システムやメールを使うことが多いので、遠方にお住いの方はそれが可能な程度のコンピューターリテラシーがあることが望ましいです。また、修士課程に入学される前にコミュニケーション学か異文化間コミュニケーションの授業を履修するか、この分野の入門書を読んでおいて頂きたいです。
1.指導方針
修士論文は、一つのテーマについて、これまでの研究の歴史に基づきつつ、自ら行った調査を主軸に、一貫した論理で掘り下げて考察することで、これまでにない新たなパースペクティヴを拓くことが求められます。そのためには、これまでの研究の歴史と調査の現場での経験に基づいて問いを立て、実証的なデータを検証可能なかたちで集積し、そのデータを精密に分析する必要があります。とくに文化人類学では、文献調査あるいは社会の現場での観察や聞き取りで自ら調べあげた資料を整理して考察し、その考察から導き出した主張を一貫した論理のもとで説得力をもって記述することが求められるため、具体性に基づいた論理的な思考を鍛え上げることが不可欠です。また、ひとりよがりの見方や論理に陥らないために、文献による先行研究の理解も重要です。自らの調査で得た資料を先行研究で行われている議論につきあわせることで新たな発見や視点を見出し、それらを説得力のある論理的な議論として展開する意志をもった学生諸君が参加してくれることを望みます。
2.専門領域
私自身は、北米先住民、とくにカナダ極北圏のイヌイトを主なフィールドに、イヌイトの言語、知識(在来知)、生業(狩猟・漁撈・罠猟・採集)、世界観(存在論)、芸術、子どもの社会化過程、グローバリゼーションや地球環境変動に対する先住諸民族の対応などを研究してきました。また、そのフィールド調査に基づいて「人類はどこから来て、何者であり、どこに行こうとしているのか」という問いを追求し、人類の社会性や学習能力の進化史的基盤を探究するとともに、人類の宇宙進出にともなう人類の変容などについて考察しています。
放送大学の授業では、「「人新世」時代の文化人類学」(学部TV:2020年度より開講)と「文化人類学の最前線」(大学院OL:2021年度より開講予定)を担当しています。
3.指導可能領域
もっとも得意な地域は北米、とくに極北圏で、もっとも得意な分野は認知人類学、先住民研究、生業研究、芸術人類学ですが、文化人類学の視点からの研究であれば、どのような地域や分野でも指導対象とします。
4.指導方法
年間10回前後、ゼミを幕張の本部で開催し、ゼミ形式の指導を行います。まず、研究テーマの概要、研究計画、参考文献一覧を提出していただき、ゼミにおいて、テーマの絞り込みをした上で、個別のテーマに応じた指導をしていきます。
5.入学者に求めること(指導教員からのメッセージ)など
修士論文に取り組むにあたっては、先人が蓄積してきた知恵と自らの調査に基づいて、自らが立てた問いを深く掘り下げて探究し、その考察から自らの主張を論理的に展開することが求められます。そのためには、先行研究の地道な読解、粘り強い調査、日常生活のなかで抱く素朴な疑問を問いにまで磨き上げる忍耐力、論理的な飛躍を徹底して避けながらあくまでも論理的に問いを探究する粘り強さが必要であり、何よりも地道な努力と不屈の精神が欠かせません。遠隔型教育において、修士論文を書き上げることには心理的にも難しいところがあると思いますが、焦らず、粘り強く、頑張りましょう。
なお、出願にあたっては、文化人類学の基礎知識を身につけておく必要があります。また、「「人新世」時代の文化人類学」(学部テレビ:2020年度より開講)と「フィールドワークと民族誌」(学部オンライン)と「総合人類学としてのヒト学」(学部ラジオ)を履修しておいてください。
1.指導方針
修士論文は、研究者として学術研究の重要な出発点となるものです。外国史の研究は、研究対象国(地域)の言語の習得という課題があり、可能な限り現地の国の言葉を学びながら研究に取り組んでいただくことが理想です。同時に、日本史、外国史を問わず、歴史学の論文を書くためには、歴史学の方法論(史料の読み方や研究史の把握、文献の利用の仕方等)を踏まえて、自身の研究課題に対して史料に基づいて考えていくことが求められます。
私のゼミでは、学期ごとに1~2回の演習を東京(文京学習センター)か幕張(大学本部研究室)で行い、可能な限り参加していただいて、各自の研究テーマについて学期レポート作成のための報告を行っていただきながら、質疑応答を通してそれぞれの研究テーマに関する知見を深めていけるように指導したいと思っています。
2.専門領域
私の専門は、ヨーロッパ中世・ルネサンス期の都市史、社会史です。特にネーデルラント(ベルギー、オランダ)の都市社会における様々な団体に所属した人々の相互の絆の在り方を研究しています。ヨーロッパの歴史を都市史の視点から見直すことをめざしています。
3.指導可能領域
専門はヨーロッパ中世史ですが、修士論文では、広くヨーロッパ史一般(アメリカ史を含む)、ヨーロッパ文化史、宗教史に関するテーマで修士論文を書くことを希望されている方を中心にご相談に応じます。外国史を対象としていますので、最低限英語は学んで、論文を読めるようにしておくことが求められます。
4.指導方法
修士課程の指導は、ゼミ(東京文京学習センターないし幕張の大学本部)を基本としていますが、遠隔地の学生さんがおられることと、コロナ禍の遷延する状況に鑑み、当面はZoomによるオンライン形式でゼミを開催します。ゼミは、各学期2回程度のペースで、学期レポート作成を目的として、各自の修士論文のテーマについての準備報告と質疑を中心に行います。ゼミ以外では、随時メールによる個別指導を行います。
5.入学者に求めること(指導教員からのメッセージ)など
ゼミの参加者は、外国史(ヨーロッパ・アメリカ史)をテーマとされる方が中心となるので、研究対象に応じて英語の他に、必要な外国語を可能な限り習得していただきたいと思います。放送大学の外国文学、外国語科目、外国文化研究(人類学等)の科目も広く受講しておいてください。
1.指導方針
修士論文は、研究史の中に自らを位置づける一歩です。この一歩が確固としたものになるように、修士課程においては、学術研究の基礎を培うことが求められます。歴史学においては、①研究対象とその背景の先行研究を通じた理解 ②史料を読解し自力で過去のあり様に近づく力 の2つが主に必要となります。この基礎を育て、修士論文執筆を遂行できるように、指導・討論などを通じて手助けをしていきたいと思います。
東洋史という分野は、外国史として対象地域の「(歴史的)文脈」にどれだけ寄り添えるか、が大切になります。ぜひ、対象地域とその歴史・社会・文化に近づき、親しんでください。そして、「なぜこの歴史を研究するのか」を、考えてみてください。
2.専門領域
私は、近世中国史(11世紀宋代~19世紀清朝)を中心に、とりわけ宋代以降現在に至るまで編纂が伝統的に続いている「地方志」(ある地方を描く総合的書物)について研究を行ってきました。近年は地方志の影響を受けた東アジアの類似の書物、そして世界的に存在する「地方を歴史中心に描く書物」を比較検討すべく「地方史誌学」という研究枠組を提唱しています。また、地方志が編まれる場となった「「歴史都市」杭州」についても関心を持っています。
3.指導可能領域
近世中国史・東アジア交流史に加え、地方史誌の比較検討・学術交流により、「歴史の歴史」史学史としての視座からの指導が可能です。また、「東洋史」担当教員として、アジア領域全域の問題について対応したいと思います(但し、非漢字文化圏の研究をされる方は、事前に充分な相談と検討をお勧めします)。
4.指導方法
基本はゼミと個別指導を併用し、Zoomで行う形式です。偶数月はゼミ(参加者が各20分ぐらい進捗を報告し討論する)、奇数月は個別指導(自身の研究進捗と計画を報告する)を開催しています。共に、博士後期課程・修士課程・卒業研究の合同で運用しています。また、論文執筆などは随時教員とメールなどで討論・検討を行い、また適宜見学などイベントを開催する予定です。
5.入学者に求めること(指導教員からのメッセージ)など
先行研究・史料を読むための必要な語学の訓練を各自行ってください。また基礎を培うために、さまざまな(歴史学に限らず)授業を取ってみてください。その最初の一歩...ですが、人文学プログラムの他の先生の文章も、ぜひ読んでみてください。
1.指導方針
歴史を楽しむ方法は好き好きでいいと思いますが、一歩踏み込んで学問として研究するというのであれば、史料に基づいて立論するという方法が必要になりますし、また歴史学に限ったことではないのですけれども、学問という形式によって著述を行うのであれば、先行研究を踏まえて課題を設定することが大切になります。論文を書くというのは、このような学問の手続きを実際に踏まえるということですね。この経験をすることによって、本当に自分自身の学問をしているのだという実感を得られると思います。実際に自分で論文を書くという経験をみなさんにしていただくために、研究史の検討、史料の分析、得られた知見にもとづく考察、論文の執筆というそれぞれの段階を進める上での助言を、みなさんご自身の具体的な研究課題に沿って行います。
2.専門領域
日本史学は古代・中世・近世・近現代という4 つの時代ごとの領域に分かれており、それぞれ別のコミュニティを形成しているのですが、私は中世史のコミュニティに属しています。自分自身の研究の中心は鎌倉時代の政治史、制度史で、古文書の残り方から古文書を残した制度の実態を明らかにし、制度の変化から政治の動きを読み取るという方法を主要に用いています。2016 年4 月に本学に着任するまでの34 年間は、東京大学史料編纂所において『大日本史料』第五編(1221-1333)の編纂に従事していました。本学に着任してからは、『日本史史料を読む(’21)』『歴史のなかの人間(’22)』『古代中世の日本(’23)』などを担当しています。また面接授業では、鎌倉幕府の裁許状(判決書)を読む授業をライブWeb、東京文京、東京足立、神奈川、千葉で継続して行っています。
3.指導可能領域
日本史学は杉森哲也教授(近世史)と2 人で担当します。したがって中世以前を対象として研究することを希望される方の指導を担当させていただきます。
4.指導方法
ゼミと個別指導を併用いたします。
ゼミは卒業研究、修士課程、博士後期課程合同で行います。修士2年目で論文の執筆に進んでいる人や博論の準備をしている人の話を聞くのは得難い機会ですし、また逆に2年目に入って、1年目の人や卒業研究の人に話を聞いてもらうことも大切です。
ゼミはオンラインで行っています。
5.入学者に求めること(指導教員からのメッセージ)など
先行研究をきちんと読むことがまずは大切です。一つの論文を読むことで、そこに引用されている別の論文への手がかりが得られますし、論文から論文へと芋づる式に関係論文を渉猟していきながら、ご自身の研究テーマについて、どのような史料を用いて、どのようなことが論じられているかがわかってきます。それによってご自身の研究テーマもより具体的になり、考察の焦点もしぼられてきます。
なお、本学開講科目のうち大学院科目の『日本史史料を読む(’21)』はぜひ受講してください。また学部導入科目『歴史のなかの人間(’22)』、学部専門科目『古代中世の日本(’23)』、ライブWeb、東京文京、東京足立、千葉で継続して行っている鎌倉幕府の裁許状(判決書)を読む面接授業を受講されることもお勧めします。
1.指導方針
修士論文の執筆は、研究テーマと課題を設定し、それを論証して、結論を導くという一連の作業です。私はこの一連の作業の進め方について指導するのが、教員の基本的な役割であると考えています。 修士論文では、適切な研究テーマと課題を設定することが、何よりも大切です。またどんなに興味深い研究テーマと課題であっても、それを論証する史料が存在しなければ、論文として成立しません。さらに史料が存在しても、それを正確に読解する能力がなければ、正しい結論に到達することはできません。このように考えると、修士論文を執筆するということは、決して容易なことではないと分かるでしょう。しかしその一方で、こうした大変な困難を乗り越えて修士論文を完成させた際の喜びと達成感は、何物に代えがたい素晴らしい経験になります。私は、皆様がそうした経験ができるよう、お手伝をしたいと考えています。
2.専門領域
広くは日本近世史、より限定すると近世の都市社会史が専門ということになります。これまでの具体的な研究成果については、"researchmap"をご参照下さい。
3.指導可能領域
指導可能な領域は、日本近世史すなわち16世紀後半から19世紀後半までの日本史の諸テーマです。研究方法としては、古文書・古記録などの文字史料を用いて歴史を探究する文献史学です。このため時代は近世であっても、文字以外の史料を用いる研究、すなわち考古学や民俗学などに関するテーマは、方法的に専門範囲外ということになります。
4.指導方法
指導形式: ゼミ形式
指導場所: 東京文京学習センターまたは大学本部
指導の頻度: 1~2ヶ月に1度
遠方に住んでいる学生への対応方法: 学生の居住地周辺に研究指導をお願いできる教員がいる場合は、その方に研究指導を依頼します。
5.入学者に求めること(指導教員からのメッセージ)など
日本史学では、古文書・古記録などの文献史料を丁寧に読み解きながら、研究を進めることが基本となります。そして修士論文の執筆では、文献史料を読み、それを正確に解釈する能力が必要となります。入学前に、各地の博物館が開催している古文書講座を受講したり、出版されている古文書の自習書などを用いて、文献史料を読む学習を進めておいて下さい。
1.指導方針
研究とは"何となく"するものではありません。研究には方法があり、自分で立てた問いがあり、自分で出す答えがあります。その間をつなぐ根拠となる材料も必要です。それらを体系的に組み合わせたプロセスが研究です。
研究とは複合的な営みです。自分が対象とする分野についての十分な専門的理解がベースとなります。すでになされている先行研究を適切に評価することも必要です。その上で、自分で調査などをデザインして実行することが大きな部分となります。調査結果を検討し、先行研究とも突き合わせながら考察して結論を導きます。
指導教員とは、その長距離走を伴走しながら、要所要所でアドバイスをし、ランナーの走りを見届けるためにいます。そのよき立会人でありたいと思っています。
2.専門領域
言語学、とりわけ日本語学が大きな括りとなります。
言語の構造や体系それ自体よりは、その機能や使用の側面への関心が強いです。
話し手の意図や聞き手の解釈、人に作用する言葉の力といったことを扱う語用論が専門で、なかでも言葉の対人的な働きに関するポライトネス論を中心に研究をしています。日本語の敬語なども研究対象となります。
3.指導可能領域
研究主体は学生自身で、指導教員は"伴走者・立会人"だと考えていますので、修士レベルであれば、言語学が対象とする領域の多くの部分について指導の受け入れが可能です。
ただし、統語論のとりわけ生成文法的アプローチや、高度に形式性の強い形式意味論などは不得手です。
音声・音韻関係も、院生時代の専門だった領域なので指導可能です。
全般的に、語用論的アプローチの方が指導しやすいということはありますが、特にそれを押し付けることはしません。
4.指導方法
月1回の指導を定例とし、個別指導と集合ゼミを月単位で交互に行います。
平時においては、おおむね首都圏在住の学生は(リアル)対面指導を多く取り入れますが、遠隔地の学生はオンライン(Zoomなど)を基本とします(機会をとらえて教員が赴くケースもあります)。
これら以外にも、メールのやりとり等は随時行います。
5.入学者に求めること(指導教員からのメッセージ)など
知識を得、方法を知り、他人の研究から刺激を受けながら、自分自身がどんどん変わっていくことを楽しんでほしいと思います。(逆に、出来上がった自分を表現するために研究をしたいと思うと、研究の可能性を初めから狭めてしまうことになりがちです。)
好奇心とは、自分が変われることを面白がることができる気持ちの持ち方でもあると思います。
1.指導方針
論文の作成には作法があります。文体や構成などの形式を適切に整えることはもちろんですが、自分の論考が、分野におけるこれまでの研究の流れの中にどのように位置づけられ、これからの研究の流れにいかに寄与するのかを示すことがたいへん重要です。そのために直近までの先行研究の動向を読み取り、適切なデータを十分に集め、実証的な議論を組み立て、文章・図表を使って正確に伝える工夫が必要です。険しい道のりではありますが、志望される方にはそのための補助をします。
2.専門領域
中央アンデス地域における独自な文明のなりたちについて、とくに工芸品や自然環境などの物質的側面から研究しています。放送大学においては博物館学関連科目を担当します。主としてコレクションを分析する立場から博物館と関わってきましたが、その過程で展示公開や情報発信などの実験・実践を積んできました。
3.指導可能領域
物質文化の研究について指導できます。たとえば伝統工芸品の変遷など、とくに通時的な視点からの分析は自身の専門に近いです。モノじたいについて掘り下げるのみならず、社会的な意味を問う視点を求めます。博物館に関する研究、とくに資料論、資料保存論、展示論、情報・メディア論の分野は指導可能です。教育、政策、地域連携といったテーマは必ずしもカバーできないかと思います。なお専門とするアンデス文明論については、一次資料がないためレビュー論文に限ります。多数のスペイン語・英語文献の精読が必須となります。
4.指導方法
年間10回前後、ゼミ形式の指導を行います。まず研究テーマの概要、研究計画、参考文献一覧を作成していただき、テーマの絞り込みをした上で、個別のテーマに応じた指導をしていきます。必要に応じてEメール、オンライン会議や面接による指導を行います。
5.入学者に求めること(指導教員からのメッセージ)など
モノに関心を寄せるきっかけとして、新書や個人ウェブサイトなど多くの入り口が身近にあります。しかしモノを研究対象として論文を書くためには、多くの学術出版物にあたって確かな情報を必要なだけ集め、さらに学術的な論理展開を学びとって自分なりに構築することになります。例えば大学図書館を活用するなどして、参考文献リストを備えた学術出版物にたどりつき、そこからさらに文献をたぐっていくことに務めて下さい。
1.指導方針
修士号取得に値する論文とは、少なくとも以下の3つの条件を満たすものであろうと考えています。
第1に、明確なテーマを設定し、それに関する考察を全体としてまとまりのある記述のうちに展開する論文。つまり、単に「研究ノート」や「注釈」を積み重ねるだけでは修士論文にはなりません。人文学の論文の場合、いうなれば一個の「ストーリー」を描き出すものであってほしいのです。
第2に、そこでの考察にオリジナリティがあること。自分の取り組むテーマに関する先人たちの研究を広く調べたうえで、そこにはまだ示されていない発見や見解を示すのでなければ、いかにささやかな事柄であろうとも、それが自分のオリジナルな論であると主張することはできないでしょう。先行研究への敬意と、そこに謙虚に学ぶ姿勢が重要です。
そして第3に、論文の文章自体が明晰でスムーズに読めるものになっていること。修士論文は本来、広く一般に向けて学問の成果を伝える意味をもつはずです。必ずしも専門家ではない読者に向けても開かれた、風通しのいい文章で書かれた論文を目指してください。
以上の3点を基本的な目標として指導します。
2.専門領域
狭義の専門はフランスの文学、とりわけ 19 世紀のロマン主義、および現代小説です。またフランス小説の翻訳にも力を注ぎ、18 世紀から 21 世紀まで、幅広い作品を紹介してきました。そこから、日本文学における翻訳文学の位置や、海外文学の影響といった問題にも関心が広がり、谷崎潤一郎、井伏鱒二、大江健三郎らに関して考察を試みました。
同時に映画および映画史にも専門的な関心を抱き、フランスの映画批評家アンドレ・バザンの仕事に注目してそのリアリズム論を研究するかたわら、ジャン・ルノワールや香港映画に関し著作を発表してきました。文学作品の映画化、アダプテーションの問題にも関心を寄せています。おおまかにいって、文学・翻訳・映画の三領域のあいだを揺れ動きながら研究を続けています。
3.指導可能領域
狭くはフランス文学・フランス映画、広くは世界の文学や映画、そして翻訳に関わる研究に関して指導が可能です。
4.指導方法
月一回、Zoomを用いたゼミ形式で行います。また必要に応じ随時メールで個人指導を行います。
5.入学者に求めること(指導教員からのメッセージ)など
文学その他、芸術全般に関心を抱き、広く親しんでいることを望みます。「作品」と真摯に対峙する姿勢が研究の基盤となるからです。また日本語だけではなく、外国語の文献を読む力をぜひ、養っていただきたいと思います。
1.指導方針
修士論文は、大学の学部で学んだ成果を基盤としながら、大学院においてさらにそれを応用・発展させ、より専門的な見地から考察し論述するものです。学術研究の出発点に位置付けられます。
大学の学部で執筆する卒業論文(卒業研究)と同様に、論文を執筆するとは、テーマを自分で設定し、資料を収集して研究史を丹念に把握し、自らの問題提起に沿って調査して、明確な論述を組み立て、結論を導きだすということです。当然ながら、小説や随筆、感想文とは異なりますし、各講義で課されて勉学の内容をまとめるレポートとも異なります。従って形式・内容ともに守るべき約束事、手続きがいくつもあります。さらに、修士論文では、問題提起や対象とする作品や史料、また考察手順や視点といった要素に、何らかの新しさが盛り込まれることが望ましいです。それは時として厳しく、また煩雑で困難な道のりと感じられることがあるかも知れません。しかし、粘り強く論文作法を身につけ、先行研究を正しく理解し、従来とは異なる新しさを目指しながら論理的に思考し、文章を鍛錬することを通じてしか得られない、学問的な深い理解と喜びがあります。ぜひ経験していただきたいと思います。
2.専門領域
美術史を専門としています。狭い意味での専門領域は、18世紀フランス美術史です。方法論としては、様式・図像学的分析による作品研究、また当時の文書をはじめとする史料の実証的調査、そして作品をとりまく芸術批評や作品所蔵者の趣味等を対象とした受容史研究をはじめ、複数のアプローチから研究を行っています。
3.指導可能領域
専門は西洋美術史ですが、広く美術史全般のテーマの指導を担当いたします。また、美術史と関連のある文化史のテーマを希望される方からのご相談にも応じます。西洋美術をテーマとされる場合には、英語の文献を読めることが望ましいです。
4.指導方法
毎月1回程度を目安として、本部あるいは東京文京学習センター等に全員集まっての対面形式、もしくはZoomによるオンライン形式での指導を行います。ゼミ形式をとり、各々の受講生が発表を行い、意見を交わしながら進めます。発表は各自、自分が選んだテーマについて、参考文献を読んで研究史をまとめたり、論文の原稿を報告したりする形で行います。自分の調査研究を他者にわかりやすく伝える力を養うとともに、他の受講生の発表内容や、自分の研究に対する意見、指導の内容をよく聞き、理解することもとても重要です。
5.入学者に求めること(指導教員からのメッセージ)など
人文学の研究は、時間も手間もかかりますが、様々な文献を読み、考察を重ねながら文章を練り上げてゆくプロセス自体が楽しいものです。
卒業論文(卒業研究)と同様に修士論文もまた、先行研究の成果をしっかりと理解することがとりわけ重要です。優れた参考文献を読むことを通じて、知識が広がるばかりでなく、他者の思考の道筋をたどることで、方法論や論述法をあわせて学ぶことができるのです。先人が長い年月をかけて積み重ねてきた研究成果に敬意を払いつつ正確に理解した上で、さらに対象に応じて批判的読解も試みてください。
また、日頃から積極的に芸術作品に親しみ、それらについての書物をお読みになり、そして他者の意見にも柔軟な姿勢で向き合い吸収しながら、興味関心を広げていただきたいと思います。あわせて、ご自身のご関心や研究テーマと関連のある放送大学の哲学、歴史といった人文学の科目、また英語をはじめとする外国語の科目も履修しておくことが望ましいです。
また、以下の書物をあらかじめ入手して、少なくとも序章から第4章までを4月までにお読みになってください。人文科学の分野で論文を書くことがどういうことであるか、その意義と方法論が詳しく説明された優れた書物です。
斉藤孝・西岡達裕著、『学術論文の技法:新訂版』、日本エディタースクール出版部、2005年(1977年初版)
美術史特有の専門的な論文作法につきましては、ゼミで具体的にご説明いたします。
1.指導方針
修士論文はこれまでの読書・学習の延長線上に位置しつつも、それがあくまで論文であるために、そこには何らかの学問的"新しさ"が求められるものであると考えています。その"新しさ"とは、(1)結論の新しさ、(2)用いる資料の新しさ、(3)(たとえ結論は先行研究と同じであっても)論証方法・過程の新しさ、のいずれかではないでしょうか。このような条件を満たした修士論文をまとめるためには、まず研究対象についての先行研究を十分に踏まえ、現時点で何がどの程度まで明らかになっているかを正確に把握する必要があるでしょう。
言うまでもなく、研究対象は各人がそれぞれの興味に従い決めていくべきものですが、その興味を修士論文として結実させるためには、上に述べたような基本的手続きを踏むことが大切です。そのための助言を与えていくこと、これが私の指導方針です。
2.専門領域
私の専門は文献学的手法による古代中国語の音韻体系の研究です。資料としては主に『説文解字』・各種韻書(発音字典)などの伝世文献と、近年、考古学的発掘によって得られた出土文献資料を扱っています。
3.指導可能領域
主として中国語音韻史・音韻学史および出土文献資料。または中国語学全般。あるいは中国の言語文化に関わる諸問題等。
4.指導方法
指導は基本的にゼミ形式で行っています(長期休暇中を除き概ね1回/月。場所は大学本部もしくは東京文京学習センター)。
遠方の方については、従来通信による指導の他、各学期に1度程度、私から居住地の学習センターに出向く等の手段により直接の指導を心がけてきました。今後もこの方針で臨みたいと考えています。
5.入学者に求めること(指導教員からのメッセージ)など
中国語を研究対象とするには、やはり中国語(特に現代中国語)の読解力を備えておく必要があります。また言語 研究の一環としての中国語研究には、ある程度の言語学的知識も求められます。入学前にある程度、これらについての学習を進めておくことが望ましいでしょう。
また入学前にはある程度研究テーマを定め、それに関する文献を読み進めることが、入学後スムーズに研究を進めるためにも重要だろうと思います。
1.指導方針
Open-mindednessを旨とします。履修者の関心・問題意識に対して開かれ心で接したいと思います。指導教員とは異なる研究領域、異なる着想、異なるアプローチ、異なる立場を歓迎します。
同様に履修者は、他の履修者や指導教員からのフィードバックに開かれた態度で接してください。
2.専門領域
最も狭い意味での専門領域は、20世紀アメリカ文学ということになります。現在では、アメリカ合衆国のモダニズム文化およびポストモダニズム文化について、文学だけではなく映画・写真・絵画・音楽・建築などを幅広く扱う、学際的な研究を行っています。
研究方法という点では、新歴史主義に基づく歴史資料の調査・読解を基本とした、カルチュラル・スタディーズを行なっています。
以上から明らかなように、専門領域に閉ざされた研究よりも、他の領域に開かれた研究を心がけてきました。
3.指導可能領域
専門知識に基づく指導が可能な領域は、アメリカ文学研究、アメリカ文化研究、映画研究、文化理論です。
学際的な文化研究という立場から、英語圏文学研究、アメリカ研究、大衆文化論、比較文学研究、グローバル文化論、近現代文化論、近現代文学研究、メディア論、教育論など、文学・文化に関する研究を幅広く指導します。
4.指導方法
下記を実施します。
・論文の書き方セミナー 論の立て方、アウトラインの作成、パラグラフ・ライティング、情報検索の方法、注・参考文献リストの作成、序論・本論・結論の執筆方法などについて、マニュアルを配布するとともに、Zoomによるセミナーを4月から7月に毎週開催します。
・修論ゼミ 修士論文の途中原稿等の発表と質疑応答を中心とするゼミを月に1回Zoomにより開催します。ゼミ生のみによる交換の場もあわせて設けます。
・研究レポートの個人指導 提出された研究レポートについては、Zoomによる個人面談を行います。またこれ以外にもZoomによる個人面談は随時受付けます。
・添削指導 論文の途中原稿については、メール添付による添削指導を行います。
5.入学者に求めること(指導教員からのメッセージ)など
まとまった結果が出たところで指導を受けようとすると、多くの場合指導を受ける機会を失することになります。むしろ進展がない時にZoomによる個人指導を受けるよう心がけてください。
情報学プログラム
1.指導方針
修士論文研究にあたっては、おそらく皆さんが入学前、あるいは入学当初考えていた方向性とは違った方向に行く可能性があります。それは、論文執筆前に漠然としていたテーマが徐々に具体化するにあたって、削っていく部分があるととともに、深堀していく部分がしばしばあるからです。修士論文はライフワークではありませんので、2年、正確には1年半で修士論文としてまとめられるように、シャープなレンズでもって、リサーチクエスチョンを導き出し、そのリサーチクエスチョンに対して、信頼性・妥当性のある答えをみつけることができるよう指導していきたいと思っています。
2.専門領域
自身の長年の研究を通していつも根底にあるものは、新しい情報通信技術(ICT)がもたらす影響やその効果的な活用方法です。もちろん、ICT そのもののある程度の理解は必要ですが、ICT の技術そのものよりも、それらと人間や社会との関わり合いに興味を持ってきました。技術はあくまでも中立的なツールであり、それを使う人間や社会が、技術にどのような可能性や意味合いを持たせるのかを決定するのであると考えます。そういう観点から、ICTと人との関わり合いのあらゆる側面を研究してきました。最近では、教育分野でのICT の活用に関する研究が主となってきましたが、以前は、大学生の携帯電話活用に関する研究や、インターネット上の商取引等の研究も行いました。米国で修士号・博士号と取得し、また、その後、米国の大学で10 年程の教員生活を過ごした後に帰国したため、文化的な差異に関しても大変興味があります。用いる研究手法としては、トライアンギュレーション(量的・質的手法の両方を用いること)を理想としていますし、最近では実践に即結びつくアクションリサーチも行っています。
3.指導可能領域
指導可能な研究領域としては、情報通信技術(ICT)や情報メディアと人や社会に関する社会・人文科学的アプローチ全般にあります。例えば、次のようなトピックが挙げられます。
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ICT や情報メディアが個人の生活や人間関係に及ぼす影響
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ICT の教育・ビジネス・コミュニティにおける活用
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ICT や情報メディアが社会(教育・ビジネス・コミュニティ等)に与える影響
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ソーシャルメディアの活用・影響
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教育(特に高等教育)のデジタル化に関する研究
研究に用いる手法は、定量的な実証研究から、質的な研究まで、あらゆる手法を使います。リサーチクエスチョンの答えを見出すためにどういった手法をとるのが一番適切であるのか、それを選定するのも研究プロセスにおける重要な要素の一つであると考えます。
4.指導方法
放送大学の学生は、多忙な有職者で、居住地も全国に散在している場合が多いため、できるだけ学生が移動等に費やす時間や費用を最小限に抑える形で指導を行いたいと思いますので、指導方法は、遠隔で非同期に行える方法を基本とします。即ち、メールやメッセージといった個人指導と、卒業生も含むFacebookグループを活用したグループでのグループ指導を行いますが、学生同士の対面でのコミュニケーションも修士課程における学びの大切な場の一つであると思いますので、対面でのゼミを年に2回開催します。修士論文研究の時間は限られているため、出来るだけ効率よく行えるよう指導したいと思いますが、それには学生本人の自主性・自律性と自己管理も欠かせないことを忘れないようにしていただきたいと思います。
5.入学者に求めること(指導教員からのメッセージ)など
修士論文研究にあたって陥りやすい問題として、壮大な研究テーマを掲げすぎることが往々にしてあります。研究をするぞぉ~と意気込むと、どうしてもそうなりがちなのですが、修士論文研究にかけられる時間は限られていますし、学生として研究に使えるリソースも限られています。そういった制約の中で、現実的に論文といった形でまとめられるように、テーマを絞り込んでいくことが大切です。テーマを絞り込んで、明確なリサーチクエスチョンを提示できることが修士論文研究を成功させる大きな第一歩であると言っても過言ではないでしょう。また自分が考えている研究テーマに関して、今までどのような研究がなされ、どのようなことが明らかになっているのかの先行研究情報を事前に収集しておき、自分の研究の位置づけを明確にしておくとよいと思います。
1.指導方針
放送大学の学生は、様々な人生経験があり、それゆえに非常にユニークなテーマを題材にする学生もいます。しかし、通信制の大学なので、普段から頻繁に会っているわけではなく、ともすると「何かやらなければならないけれど、どうして良いかわからない」という状態で、考えているうちにあっという間に時間が過ぎてしまうということもあります。そこで、指導にあたっては、Web 会議などでの進捗報告を元に、「次に何をしたら良いのか」ということを見つけてもらう、そのためのお手伝いができるようにと考えています。
2.専門領域
数理工学を専攻し、その中で脳のモデルについて研究をしてきました。脳において情報がどのように表現されているのか、どのように学習が行われているのかということについて、計算機シミュレーションを行いながら研究を行ってきました。また、放送大学に来てからは、放送大学における情報基盤の整備に取り組んできました。こうしたことから教育におけるICTの活用や、データマイニングといったデータの分析の分野に関心を持っています。
3.指導可能領域
データから情報を取り出すといった手法ということを主な対象としますが、放送大学における情報化の仕事をしてきましたので、e ラーニングなどに関することも対象としたいと思います。また、自然環境プログラムを兼任しており、自然環境プログラムの中で情報系の分野に興味がある場合には情報プログラムの教員との橋渡しを行っています。
4.指導方法
場所は東京の学習センターを利用し、大学院生を交えて月に 1 度ゼミを行っています。遠方から参加される学生に関しては、Web 会議にて参加してもらっています。その他、eポートフォリオなどを用いて近況報告などを行う環境づくりをしています。
5.入学者に求めること(指導教員からのメッセージ)など
連絡にあたっては、Email などを利用しますので、インターネットに接続したパソコンを使いこなすことができることを希望します。また、修士論文は教員から与えられた課題を行うものではなく、また、興味のある分野について教えてもらうというものでもありません。自ら積極的に学んで、学んだことを形にしょうという気持ちが大切です。
1.指導方針
これまでに培ってきた知識と専門性を活かし、自らが打ち立てた研究課題に取り組んでいただきます。研究課題に取り組んでいただく中で生じる問題の解決を通して、研究の進め方を習得します。研究指導では主体性を尊重し、研究課題の設定、先行研究や課題解決に必要な知識の習得、手法の選択や評価の設計、結果の考察など、学術的取り組みを実践するための支援を行います。元々の発想や素朴な疑問を大切にしつつ、困難に直面しながらも研究の面白さを見出すことができるようにしたいと考えています。
2.専門領域
マルチメディア情報やセンサからの情報を活用し、機械学習等の手法を取り入れて、人間の動作を推定するシステムや人間の情報処理特性に整合したインタフェースについて研究しています。これまで、筋電信号による手形状の推定、拡張現実感や触知感覚を利用したインタフェースの開発、没入型ディスプレイやホログラフィによる3Dインタラクション、キーワード提示による遠隔コミュニケーション支援などに取り組んできました。修士プログラムではオンライン授業「データの科学」を担当しています。
3.指導可能領域
映像や音声、テキストなど、マルチメディア情報の処理、特にイメージメディアに関わる領域、音の認識や文章の意味理解に関わる知識情報処理や機械学習・深層学習を応用した領域を指導可能です。また、データを収集、分析して、その特徴や特性を抽出し、モデル化したり分類したりするような取り組みは広く扱うことができます。
4.指導方法
指導は電子メールで個別に行う他、月一回程度、Web会議もしくは対面での個別指導やゼミを実施し、研究の進捗状況を報告してもらったり、学生さん同士の情報交換の場を設けたりします。年数回程度、他の先生方とその学生さんとの合同ゼミを実施し、研究について楽しく議論します。遠方の方はWeb会議を使っていただければと思います。対面での指導は必要に応じて随時検討します。
5.入学者に求めること(指導教員からのメッセージ)など
研究計画をしっかり練ることが研究の成功に大きくつながります。研究計画を作るとき、背景、目的、手法、実装・実験、予想される結果が含まれるようにします。修士プログラムの期間は意外と短いですから、研究テーマを絞り、具体的な研究目的を考えるとよいです。そして、研究を円滑に進めるためにも、コンピュータを扱うための基本的なスキルを習得しておくことを望みます。
1.指導方針
修士論文は、一般の学術論文と同様に、学術的意義と新規性が求められます。そのために、その研究テーマがなぜ重要で 、 過去に何がなされて ( 明らかにされて ) きて 、 何がなされて ( 明らかにされて ) おらず 、 それに対して自分はどのような方法でアプローチし 、 どのような成果が得られたか ( 何が明らかにされたか ) を明確にして、審査員や読者に説得的に伝える必要があります 。研究指導においては、学生の研究がこの要請を満たしたものになるよう、常にこれらの問を確認し、適切に研究を進められるよう助言します。
2.専門領域
専門は認知科学です 。これまで行ってきた研究テーマを含む領域は、ヒトにおける知覚(触覚、視聴覚相互作用、同時性、協和感、違和感)、推論(帰納、類推)、学習(技能学習)です 。これらの研究テーマには 、 純粋に科学的探究を目指したものも工学的応用を強く意識したものもあります 。研究のアプローチはヒトを対象とした心理実験と数理モデル構築(実験データの解析、理論構築、シミュレーション)です。用いる数理モデルは、主に統計モデルですが、微分方程式モデルやニューラルネットワークモデル等の機械学習を用いることもあります。
3.指導可能領域
私自身の研究テーマに近いほうが有効な指導を行えると思いますが 、 ヒトの認知の情報処理メカニズムを探る研究であれば 、 感覚 ・ 知覚から社会行動まで指導します 。また 、担当授業に関連する人工知能や数理モデルの応用に関する研究も指導します 。ただし 、研究テーマは 、 パーソナルコンピュータ 、 ビデオなど 、 学生が個人で用意できる装置で実施可能なものとします 。研究は 、 実験 、 モデル構築 、 自作あるいは既存のコンピュータプログラムによる計算のうちから 1 つ以上の方法をとることを想定しています 。
4.指導方法
研究指導は、月1回のWeb会議によるゼミを中心に、随時電子メールやWeb会議により個人単位で指導を行っています。また、必要があれば対面による指導を行うこともあります。
5.入学者に求めること(指導教員からのメッセージ)など
研究は大学院に入学して始めるのではなく、研究をしたいと思ったら直ちに始めるべきです。先行研究の調査、アルゴリズムやその基礎となる数学や統計学に関する知識やプログラミングスキルの習得等は、インターネット上の資源を利用すればかなりのことができます。もちろん、放送大学の講義や有料の研修講座を受講したり、書籍を利用したりするのも有効です。研究のスタートを早く切ることは、出願書類の質を高め、入学後に受ける指導もより効果的になり、ひいては修士論文提出時の研究の到達点をより高くすることになるでしょう。
1.指導方針
「学習とは何か」という問いに対しては様々な答えがあり、それを学習観といいます。一般的な学習観は「学習とは知識を増やすことだ」というものですが、私はそれに与しません。私は「学習とはコミュニティに参加してそこでのアイデンティティを確立していく過程である」という立場(正統的周辺参加論)をとっています。したがって、修士研究もゼミというコミュニティへの参加を重視して指導を進めて行きます。
可能であれば対面での参加が望ましいですが、それが難しい方もいらっしゃるでしょうから、遠隔の方にはウェブカメラを使ったテレビ会議システムを使ってゼミに参加していただきます。そしてゼミでは、学生同士が互いに建設的に批判し合うという雰囲気を大事にしたいと考えています。
連絡はTV会議システム、e-mail などを使いますし、修士論文はワープロで書いていただきますので、パソコンとインターネット環境は必須です。
2.専門領域
情報通信技術の教育活用に関する研究開発を行ってきました。簡単にいえば、コンピュータやインターネットを使って、教育の質を向上させる研究です。その中でも、特に協調学習(コンピュータを人間同士を結ぶメディアとして活用する研究)を中心にやってきています、これまでに行ってきた研究テーマの一部を挙げると
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プログラミング教育用のゲーム開発
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学習者の相互評価支援システム
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プロジェクト学習の支援システム
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ドリル教材の適応的問題選択アルゴリズム
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プレゼンテーション教育の支援方法
などがあります。
研究アプローチは、アンケートや計測値などの量的データと発話や自由記述などの質的データの両面から攻めるということを特長にしています。
3.指導可能領域
教育工学に関する研究テーマならばだいたい指導可能です。学習・教育は学校教育に留まらず、生涯学習やインフォーマル学習など広い意味に解釈していただいて結構です。ただし、思弁的な研究ではなく、実証研究であることを望みます。つまり、何か文献を読んで、それを考察するタイプの研究ではなく、何か自分で調査したり実験したりしてデータを得て、そのデータをもとに議論するようなタイプの研究です。必ずしもコンピュータやインターネットを活用する研究でなければならないということはありません。
4.指導方法
月に一度程度のペースで都内の学習センター(文京が主。4月は千葉)で行うゼミが主な指導の場になります。ゼミは対面とTV会議を併用します。まれに、TV会議のみのこともあります。スケジュールは、毎回、次の開催日程をメンバーの都合を聞いて決めます。
TV会議での出席も含め、ゼミへの出席は必須です。ゼミでは、全員が進捗の発表を行い、全員で問題点を検討します。自分の研究だけでなく、他のメンバーの研究についても親身になって検討することが非常に学習になりますので、そういう態度で参加してください。
その他には必要に応じてe-mailでの個人指導を行います。論文指導は原稿をe-mailに添付してもらい、それにコメントをつけて返すという方法で行っています。
5.入学者に求めること(指導教員からのメッセージ)など
修士ですから、入学時には学術的な文章が書けるレベルを期待しています。自信がない場合には、論文の書き方に関する書籍がいくつも出ていますので、あらかじめ学んでおいてください。
希望する修士論文のテーマについては、漠然としたものではなく、自分自身であらかじめ先行研究を調べて、その研究のどこがどう新しいのかを説明できるようになっていて欲しいと思います。特に研究期間が2年弱と短いので、自分の研究フィールドや卒業研究に割けるリソースをよく考えて、実現可能なテーマに絞り込んでください。
また、研究に必要な知識は紹介しますが、それを学ぶのは自律的に行うことを求めます。
1.指導方針
修士論文のテーマを決める時は、悩む方も多いのではと思います。初めのうちは、テーマを絞りきれず、つい大きなテーマになってしまいがちです。まずは、これまでの修士論文テーマの例を見てみましょう。具体的にテーマが絞られ、タイトルからだけでも内容をある程度予測できるものが多いと思います。このテーマの絞り方が研究のオリジナリティにつながります。これまで勉強してきたことを土台として、自分自身で考え出したオリジナルなアイデアを盛り込むこと、これが研究の醍醐味です。そして、研究で使用する素材を作り、十分に計画をたてて実験や調査を行い、得られた結果から何が言えるのか、と考えをめぐらす過程も研究の楽しみです。
この自分の考え出したアイデアや分析した結果を公開するのが研究です。この研究成果が、やがて他の人の研究に引用されるなどして、つぎの研究につながっていくことは、この上ない喜びになると思います。修士論文では、難解な言葉を使う必要はありません。わかりやすいグラフや表、わかりやすい文章の書き方、分析の方法なども身につけてください。
2.専門領域
専門領域は情報理工学、博物館情報学になります。これらの領域の中でも特に学習と関連した研究を行っています。学習には、人と人とのコミュニケーションがもちろん重要ですが、メディアによってさらにコミュニケーションの機会を増やしたり、学習の効率を高めたりすることが可能です。これらをめざして、バーチャルリアリティや複合現実感(ミクストリアリティ)という技術を展示に応用する研究を行ってきました。研究方法としては、できるだけ客観的なデータを分析して考察するために、学習者の操作や行動を記録するようにしています。アイトラッカー(視線計測装置)も使用しています。
3.指導可能領域
映像制作一般、デジタルコンテンツ開発、映像認知、博物館展示など、ご相談に応じます。
4.指導方法
基本的にMicrosoft Teamsを使用します。月1回のペースで進捗状況を報告していただき、コメントを加えることになります。月ごとの目標を定め、スモールステップで着実に進めていきたいと思います。進捗状況の報告は、大学本部(千葉)、東京文京学習センターなどでの面談も実施します。
5.入学者に求めること(指導教員からのメッセージ)など
最初から研究テーマを絞ることは難しいと思います。まずは、図書館のWebサイトにリンクされているCiNiiなどを利用して、ご自身の興味のある研究論文をいくつか探してみてください。そして、どんな方法で研究されているかを調べておいてください。それから、最も重要なことは、問題意識を明確にしておくことです。どのような問題を解決しようとしているかを常に自問自答していると、明確になってきます。
1.指導方針
修士論文作成において重要なことは、まずご自身が明らかにしたいテーマを明確にすることです。ライフワークにするような大きなテーマをお持ちかもしれませんが、修士論文ですべてを明らかにするのは難しいので、本格的研究への一里塚だとお考えになって、自分のもつリソースと時間を考えてテーマを決めてください。なるべく、ご自身の業務や趣味に結び付けたテーマがよいと思います。その上で、ゴールを明確に定め、これまでの研究とどこが違うのかという「新規性」、どのような方法で研究をするかという「リサーチメソッドの妥当性」、結果を得るためにどのような分析をするかという「分析の信頼性」、誰にとって役に立つかという「結果の有用性」を意識して研究を進めてください。
2.専門領域
メディアやシステム、ネットワークと教育とのかかわりを専門としています。特に、コンピュータやモバイルを利用したオンライン学習やコンテンツの評価に関するシステムの開発やその評価に関する研究を行っています。最近では映像教材のような時間軸をもったメディアに対する学習者、受け手からの反応をフィードバックするシステムの研究開発を行っています。研究開発だけにとどまらず、実際に開発した e ラーニングや Web アンケートのシステムの運用、オンライン授業の運営を行っていて、放送大学の提供する e ラーニングの運用にもかかわっています。また学習者のメディアリテラシーにも興味をもっています。リメディアル教育や学習者コミュニティに関する研究も行っています。
3.指導可能領域
私自身は、メディアやシステム、ネットワークと教育とのかかわりを専門としていますが、教育に限らず、広くこられと人との関わりについての研究であれば、指導可能ですし、実際受け入れた修士学生のテーマも幅広いものになっています。
4.指導方法
ゼミ形式を基本としますが、希望に応じて個人指導も実施します。ゼミは基本的に東京文京学習センターで行います。特に修士論文の提出時期の近い方は、個人指導に加え、メールやクラウドによるファイル共有およびフィードバックによる指導を行います。遠隔地の場合は必要に応じて会議システムを利用したり、こちらから現地へ出向くこともあります。
5.入学者に求めること(指導教員からのメッセージ)など
私自身も社会人大学院で学位を取得しました。そのため、有職者が研究を進めるための環境を維持していくことの大変さはよく理解しています。入学後は修士論文を完成させることを第一義に、その期間は、仕事やプライベートな生活を多少犠牲にしても、できるだけ円滑に研究に費やす時間を確保できるように、周りの人の理解を得ることが重要です。
1.指導方針
まず" 勉強" と" 研究"の違いについて考えてみましょう。一般に" 研究"では、新規性・オリジナリティといったものが必要になります。いきなり、大研究をしようというわけではありませんが、何らかの新規性が見つけられるような研究テーマで研究が進んでいけばと思います。修士論文の作成にはそれなりの時間がかかりますので、日程や締め切りに注意しましょう。
2.専門領域
計算機科学
放送大学では、
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データ構造とプログラミング(学部 テレビ)
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アルゴリズムとプログラミング(学部 ラジオ)
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POV-Rayプログラミング(面接授業)
などを担当しています。
3.指導可能領域
計算機科学全般を扱いますが、特に2次元画像処理や3次元コンピュータグラフィックス関連。ただし、履修者のみなさんが、本当にやりたいと思っている研究テーマを設定するのが一番良いと考えています。近年は、機械学習などに関連したテーマが増えています。以下は、修士論文・博士論文のテーマの例です。
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論文検索情報から歴史を見るためのデータ整理方法の検討
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3次元環境下における深層強化学習の新たなモデルの提案
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ZDDを用いた極大集合列挙アルゴリズム
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画像計測による特徴点抽出に関する研究 -利休茶道具の美しさの規則性について-
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掃除ロボットの研究
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DQN開発環境における学習性能を向上させるモデルの改良案
4.指導方法
インターネットを利用したWeb会議システムやE-Mailの利用を考えています。 年数回程度の対面授業、ゼミ発表、他の修士ゼミとの合同発表会等(千葉市・幕張あるいは東京都内・文京学習センター)を行う予定です。
5.入学者に求めること(指導教員からのメッセージ)など
必須ではありませんが、コンピュータプログラミング、統計ソフトウェア、科学計算ソフトウェア等に関する簡単な知識があると良いでしょう。
1.指導方針
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基礎的な原理原則がどこにどのように現れているかを理解し、説明する。
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原理原則に基づいて仮説を立て、何かを作成して使用し、それを評価することによって有用性を確認する。
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なお、「基礎科学的な真理の探求」は修士2年間では短過ぎます。(博士課程で行なうのがよい。)
2.専門領域
情報科学におけるさまざまな事象の数学的な側面と、情報教育、情報セキュリティ、情報倫理学に興味を持っています。
3.指導可能領域
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情報数学と情報科学(数理論理学、定理自動証明、コンピュータサイエンス、プログラミング、アルゴリズム)。
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情報システムと情報セキュリティ(サーバの運用、ネットワークインフラ、データ改変対策、セキュリティポリシー)。
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情報倫理、情報倫理の教育法(ジレンマ、情報社会などの学習法)、情報科教育法、情報フルーエンシー。
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教育における情報機器の活用(学校Webサイト、発達障害児教育での情報機器活用、数学教育・音楽教育における情報機器活用)。
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未来の情報環境、未来の情報教育、コンピュータの歴史、論理学の歴史。
4.指導方法
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原則として毎月1回、遠隔ゼミ(Zoom)を行います。パソコンは、各自で用意して下さい。
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それ以外は、学習管理システムを利用して情報交換や進捗報告を行なって下さい。
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1年に1回以上(できれば、年2回)、学会や研究会などで発表を行なうことが期待されます。
5.入学者に求めること(指導教員からのメッセージ)など
詳細は、 https://qed.ouj.ac.jp/ を御覧ください。
1.指導方針
大学教育において、研究は重要です。なぜなら、学生の皆さんが自ら本や文献を用いて背景を調べ、現状の問題点を洗い出し、解決するための仮説を立て、必要に応じてシステム開発を行い、評価実験によって効果を検証する、といった主体的な活動が求められる数少ない機会だからです。研究には授業のように明確な目標や解答がある訳ではないので、研究を進めることは簡単ではありません。従って、論文提出までには様々な苦労や困難があることも多いです。
研究において、私は 2 点、大切と感じていることがあります。1つ目は、「自分の好きなことを研究テーマにする」という点です。上で述べたように研究を進めるには主体的な努力が求められますので、自分自身が常日頃から興味を持っていること、知りたいこと、明らかにしたいことに関するテーマを設定することが、推進させる力に繋がると私は思います。もちろんどんなテーマでも良いという訳ではなく、研究テーマには新規性や実現可能性が重要ですので、話し合いながら決める必要があります。
もう 1 つは、「対話を大事にする」という点です。「主体的な学習活動」と何度も書いていますが、研究において、指導教官や別の教員、ゼミ生など様々な人と自身の研究に関する議論をすることで、新しい考え方やアプローチに気づいたり、知らなかった情報や文献を教わったりといったことが多々あります。「主体的な活動」という言葉の中には、「色々な人と対話をする」という意味合いも含まれていると私は考えています。
研究は困難もありますが楽しいものでもありますので、一緒に作り上げていけたらと思います。
2.専門領域
私の専門分野は教育工学です。「教育工学」とは、あまり馴染みの無い言葉かもしれませんが平たく言うと、「どうすれば教育や学習がより効果的・効率的になるか、又はおもしろくなるか」ということをなるべく科学的・工学的な分析手法を用いて明らかにしていく、比較的新しい研究領域です。教育工学では、教育現場における複雑な状況を扱うために、情報工学、心理学、学習科学、統計学など他のさまざまな学問分野のやり方を時に大胆に借りることがあります。特に最近では、ICT(情報コミュニケーション技術)を用いて教育を支援する研究が増えてきています。
私自身の研究でも、教育利用のための検索システムの開発や、学習システム及びコンテンツの開発及び実践研究を行っています。ICT の技術面だけではなく、ICT が人の学びや振る舞いにどのような影響を及ぼすか、と言う点にも興味を持っています。
3.指導可能領域
2.で述べた領域の他に、教育工学、Web、音楽教育に関する研究全般。
4.指導方法
日常的なやり取りは主に電子メールを用います。それに加えて月に一度程度の定期的な打ち合わせまたはゼミを行いながら研究指導致します。関東ではない学習センター所属の学生の方については、テレビ会議やビデオチャットを用いてゼミに参加して頂いても構いません。ゼミについては、研究室内のゼミに加えて、情報学プログラムの複数の教員が参加する合同のゼミにも併せて参加して頂く予定です。
5.入学者に求めること(指導教員からのメッセージ)など
基本的なコンピュータリテラシーは必須です。その他に情報学、教育学、心理学、統計学に関連する知識があるに超したことはありませんが、必須ではありません。
1.指導方針
初等中等教育の教育現場やそれに関するところに籍を置いていたり、興味をお持ちの方で、さらに自身の興味関心を高めたいと思っている方を特に応援しています。また、自身の修士論文が、初等中等教育にどのように還元できるかをぜひ念頭においていただきたいと思います。
2.専門領域
主な研究テーマとしては、初等中等教育におけるICT 活用やメディア教育、情報教育に関心をもっています。また、デジタル教材等の開発についてもテーマとなります。
3.指導可能領域
初等中等教育におけるICT 活用やメディア教育、情報教育に関する内容になります。特に電子黒板や情報端末などの機器活用、デジタル教科書・教材の活用、情報教育におけるカリキュラム、さらに情報モラルなどについての実践的研究や調査研究について。
4.指導方法
指導はE-mail によるものが中心となりますが、個別あるいはグループ指導を行います。できるだけ面接指導も入れながら進めていきたいと考えています。
5.入学者に求めること(指導教員からのメッセージ)など
自ら積極的に課題をもち、調べ、考えを形にしていくことが重要です。そのために、研究テーマに関連する文献をレビューしておくことをおすすめします。
1.指導方針
ソフトウェア工学は、開発を工学的に行うための研究分野です。「工学的に行う」とは、開発活動をツールなどによって支援することで、活動の生産性を高め、成果物の品質を高めることをめざし、活動を観察し評価し、改善を行うことを意味します。同様に、要求工学は、要求仕様書という成果物の開発を工学的に行うための手法、ツールに関する研究分野です。
修士研究では、ソフトウェア開発において興味のある、あるいは解決したい課題を解決するために、これまでに蓄積された研究成果を調査し、知識を増やします。それに並行して、課題の背景を理解し、様々な解決策の中から適切な解決策を創出していきます。解決策は、それを適用したことによってどの程度課題が解決できたかを定量的に、あるいは定性的に示していく必要があります。
ソフトウェアの開発現場では課題が山積していると言われています。まず、課題を定義することから指導を始め、ディスカッションによって課題を具体化し、解決策を発見していきます。解決策の有効性は、実証実験などを介して行うことが多いですが、有効性の示し方は解決策によって異なります。研究の解は未知です。未知を既知の事柄にするために、修士研究を進められるように指導します。
2.専門領域
私はソフトウェア工学、特に、オブジェクト指向分析手法、モデル化技術、要求抽出に関心を持っています。たとえば、オブジェクト指向分析手法は、ビジネスを分析し、可視化する技術として応用することができます。ビジネスやプロジェクトを分析することで、ビジネス活動やプロジェクト管理を支援するための要求を発見することも可能となります。これまで、要求を抽出するためにRODANと名付けたビジネス領域の分析手法を開発しました。
ここで、要求抽出技術に関する課題を紹介しましょう。企業におけるソフトウェア開発プロジェクトを失敗させる原因の中に、要求抽出や獲得の失敗が挙げられています。しかし、これまで要求獲得がどのように行われ、どのような要求の変更がどのような時期に生じていたのかは、あまり調査されてきませんでした。また、ソフトウェアの開発では、アジャイル開発と呼ばれる繰り返し開発が提唱されるようになっています。しかし、要求獲得をプロジェクトの初期に完了させるように開発計画が立案されているプロジェクトは少なくありません。この問題を解決するために、実際のソフトウェア開発プロジェクトの議事録を解析することで、要求獲得プロセスを可視化する研究を行いました。要求獲得プロセスの可視化がツールでも支援されるようになれば、要求獲得プロセスを計画し、予実管理することも可能となります。要求獲得には、概念モデルの適用も有効です。概念モデルを作成することで、そこから自動的に抽出できる要求もあります。これには、Traverserというツールを開発して実現しました。
3.指導可能領域
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モデル化技術
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要求獲得、要求の仕様化、シナリオ分析、ゴール指向分析
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プロジェクト計画、遂行、管理に関する手法
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支援ツールの開発
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レビューの計画、実行、管理に関する手法
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ソフトウェア工学、要求工学の教育技術
4.指導方法
指導形式は、グループによるゼミ形式での討論が中心となります。修士研究のための知識を増強するために書籍を読む必要がある場合、輪講(数名で書籍を読み、理解を深めるゼミ)も行います。
指導場所は、学生の居住地域が幕張に近いか遠いかに依存せず、全員がネットワークを介した電子会議に出席してゼミを行います。研究会での発表や論文執筆の指導など、必要に応じて対面式のゼミを行うことがあります。この場合の指導場所は随時検討いたします。
指導の頻度は、月二回を原則としています。曜日、時間は、出席者の都合によって変動します。
5.入学者に求めること(指導教員からのメッセージ)など
必須ではありませんが、Java、C++、その他のオブジェクト指向プログラミング言語のうち、いずれか一つの使用経験を期待します。UMLに関する知識も基礎知識となります。また、以下の書籍を読んで、課題に取り組むための基礎知識を身につけておいてください。放送大学大学院科目「情報学の技術('18)」「ソフトウェア工学('19)」の履修を強く推奨いたします。
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(全員)マーチン・ファウラー著、UMLモデリングのエッセンス第3版, 翔泳社、2005.
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(プロジェクト管理の課題に取り組む場合)マネジメント知識体系ガイド,PMI,第4版以降
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(要求工学の課題に取り組む場合)情報サービス産業協会編,要求工学知識体系,近代科学社,2011.
1.指導方針
修士課程という限られた時間のなかで取り組める研究内容には、おのずと限界があります。大きな視野をもちつつ、実現性のある研究テーマに絞り込み、実証的なデータをとって研究をまとめることが重要と考えます。そうした研究テーマの整理や実験・調査の実施を指導・支援します。自分が意欲を持って取り組める新規性・有用性のある研究テーマを設定し、自律的に研究を進めることを期待しています。
2.専門領域
情報環境学とは、<物質>、<エネルギー>の概念に<情報>を加え、これらが有機的に一体化したものとして環境を捉える発想の枠組のもとに構成される学際的な学問領域です。化学反応によって情報処理を行う脳のなかでは、物質と情報とが同じ作用をもつ場合があり、特定の物質の投与や欠乏で引き起こされる反応が、特定の情報の投与や欠乏によって同様に引き起こされる事例が知られはじめました。つまり、ある種の情報は、物質と同じように脳に作用する可能性があるわけです。こうした観点から現代社会の健康・快適・安全・安心への取り組みをみると、物質・エネルギー領域での対策が成熟しているのに対して、情報領域の対策は立ち遅れを否めません。とくに、ビタミンのように人間の健康な生存になくてはならない<必須栄養素>に相当する<必須情報>については、その存在可能性すらこれまで本格的に検討された形跡をみることができません。
私はこのような問題意識を共有する研究グループの一員として、メディアを介して伝達される音響や映像などのメディア情報が人間に及ぼす影響を、脳科学や生理学・心理学の手法で捉える研究をしています。そのなかで、森林 の自然環境音やある種の楽器音などに含まれている人間の可聴域上限をこえる高複雑性超高周波をともなう音が、中脳・視床・視床下部を含む脳の最高中枢<基幹脳>の活動を劇的に高め、環境適応や生体防御を司り健康と深く 関わる<自律神経系・内分泌系・免疫系>、そして美しさ快さを司り感性や芸術と深く関わる脳の<報酬系>の活 動を連携して向上させるポジティブな効果を持つことを見出しました。複数の指標で統計的有意に見出されたこれらの効果を総称して、<ハイパーソニック・エフェクト>と呼びます。一方、都市環境音や多くのデジタルメディアの音には、こうした効果をもつ超高周波成分がほとんど含まれていないこともわかりました。そこで、可聴域をこえる超高周波の基幹脳活性化効果を応用し、都市環境やメディア情報環境の改善をはかり、<脳にやさしい情報環境>を実現するための研究にも取り組んでいます。
大学院授業科目「音楽・情報・脳('17)」の主任講師を担当しています。
3.指導可能領域
ハイパーソニック・エフェクトや音・音楽に関連するテーマが指導可能です。情報環境と人間とのかかわりに関連する研究関心にも、できるだけ対応したいと考えています。視聴覚環境情報の計測・分析、生理・心理学の手法を用いた実験など、実証的な一次データを自ら収集・分析することが重要になります。
4.指導方法
当初は、首都圏の学習センターでの対面指導と電子メールを活用した遠隔指導を併用し、研究のテーマや方法を絞り込みます。それを踏まえておこなう各種の計測・分析や実験は、その内容に応じて適切な設備のある場所で実施することになります。情報コースの複数の教員が運営する年数回の合同ゼミに参加し、研究の進捗を発表します。
5.入学者に求めること(指導教員からのメッセージ)など
調査・実験計画の立案やその結果の分析には、統計の知識が必要になります。入学に先立って基礎的な知識を得ておくことをお勧めします。
1.指導方針
大学院修士の研究は、これまで培ってきた知識や経験を踏まえ、研究テーマに主体的に取り組む学びです。自ら考え、アドバイスをもとに不足する知識を文献などで補いながら取り組む姿勢が大切です。第三者に理解できるように議論しながら論点を絞っていき、修士課程という限られた期限内で完結するテーマとなるように指導しています。
強制ではありませんが、ある程度のレベルに達したと判断できる場合は関連する学会の研究会での発表を勧め、成功体験を積み重ねて頂くとともに、修了後の継続した研究につなげて頂きたいと考えています。
2.専門領域
情報工学を基盤としつつ、応用として教育工学の領域での研究開発を進めています。「コンピュータの動作と管理」「身近なネットワークサービス」といった学部の放送授業で紹介しているように、情報技術はさまざまな領域で用いられています。
専門領域は、ユビキタスコンピューティングやクラウドコンピューティング、IoT(Internet of Things、モノのインターネット)を意識した、モバイル端末やデジタル家電など新しい技術を使った学習環境の構築です。近年では、モノとなるコンピュータに蓄積されるさまざまなデータを解析し、統計解析や機械学習などの手法を用いた改善や予測に関心があります。特に教育への応用として、システム設計や教材の提示方法による利用者の体験の変化を踏まえた、サーバーログの解析による学習解析に取り組んでいます。統計解析や機械学習、人工知能などを組み合わせて用い、分析基盤や情報共有基盤としてオープンソースソフトウエアを用いたシステム構築を進めており、コンピュータやネットワークの仮想化技術を用います。
このほか、面接授業においてアクティブラーニングによるBYOD (Bring Your Own Device)による端末活用、データに基づいた改善を考慮した放送授業やオンライン授業の教材制作や教育改善を実践的に進めています。
3.指導可能領域
情報工学の領域としてコンピュータやネットワークに関するアルゴリズムやシステムの開発に関する研究だけでなく、教育工学の領域において学習支援のためのシステムや、アクティブラーニングによるモバイルやPCといった端末の活用、プログラミング教育の授業設計、学習解析(LA: Learning Analytics)などの指導が可能です。
クラウドコンピューティングやIoT (Internet of Things)の技術をいかに教育に適応させるかという、教育や心理学の知見を踏まえたシステム開発や環境作りにも対応します。コンピュータやネットワークはさまざまな領域に応用されていますので、人工知能や自動運転のような最新の話題を含め、社会のさまざまな領域に関連するテーマにも対応できると考えています。
4.指導方法
学生によってそれぞれ異なる研究テーマを持っていますので、月1回の個人指導を基本としています。対面での指導がベストだと考えていますが、お住まいの場所や仕事などの事情で、Web会議システムでの実施も多くあります。E-mailやコミュニケーションツールによる質問は随時受け付けています。
修士論文の発表形式に慣れ、さまざまな意見による気づきを得ることを通して議論に慣れるという観点から、年に2回、交流会の意味も込めて東京文京学習センターや放送大学本部に集まり、OBも交えた発表形式によるゼミを実施しています。このほか、研究の進捗に応じて学会発表を勧めています。
修士課程の研究成果は、最終的に修士論文としてまとめますが、期間が来たら自動的に書けるものではありません。日々の積み重ねが論文につながります。このため、毎回のミーティングでは進捗を文章の形でまとめたレポートを提出いただき、レポートに基づいて指導することで修士論文につなげるようにしています。
5.入学者に求めること(指導教員からのメッセージ)など
指導教員は研究を進めるアドバイザーです。ミーティングのコメントを踏まえて自分で考え、自分で進めていくことが基本となります。進捗に応じて必要となる知識や技術を自分で習得する努力ができる方を希望します。研究テーマによってシステム構築が必要となる場合は、関連するプログラミング開発やさまざまなツールの操作を習得していることが望ましいといえます。このほか、特に人を対象とした研究テーマの場合は、あらかじめ評価できる環境を確保できていることが望ましいです。
1.指導方針
大学院で学ぶことの醍醐味は、決まった解き方を覚え、正解を導きだすことではありません。「なせ?」「どうして?」という「問いかける」探究心こそ、一番大切なことだと思います。そこで、テーマを設定し、関連分野の先行研究の文献を読み込み、何がわかっていて何がわからないのか、今、何が問題の核なのかを見極め、一歩一歩研究を深めていく過程こそが、学びの喜びだと思います。
修士論文では、新しい概念や知識の創出が必要です。今まで積み上げられた知識というレンガに、自分なりの新しいオリジナルな知見というレンガを一つ積み上げる行為だと思います。
山に登るには、地図が必要です。どのあたりにベースキャンプを作るか、どういうスケジュールで登っていくか。教員は、登山者を支えるサポート隊。ルートやペース配分、落ち込みやすいクレパスのありかなどを、経験者としてアドバイスはしますが、一歩一歩進んでいくのは学生自身です。
2.専門領域
どんな研究にも、社会・歴史的な観点を大切にします。
私自身、文化人類学をベースに、先端生殖技術の社会的問題や、メディアを活用したマイノリティ(障がい者、外国人、高齢者など)支援、高度化する情報社会と人間のかかわり等、幅広い関心をもっています。
修士の指導にあたっては、メディアを多面的に見る複眼的能力を養い、人間、社会という視点を大切にしたいと考えております。
TV授業「情報社会のユニバーサルデザイン」('19) br/ TV授業「教育とICT活用」 他
3.指導可能領域
卒業研究のテーマとしては、メディア技術そのものではなく、メディアと社会・人間にかかわる領域の研究が考えられます。女性・高齢者・障がい者・留学生などマイノリティにかかわるテーマ、青少年の引きこもり等と情報社会の関係などにも関心をもっております。
4.指導方法
早い時期に、可能な限り対面または、オンラインによる個人面談を行います。それ以降は、以後はオンラインでの指導、E-mailでのやりとりに加え、年間数回の複数教員によるゼミを組み合わせて指導します。ゼミは情報コースの複数の教員と合同で行っております。仲間の発表を聞き、教員のアドバイスや仲間との討論を通して、学ぶことの喜び、奥深さを味わっていただきたいと思います。
5.入学者に求めること(指導教員からのメッセージ)など
テーマを決めるときに、どんな方法でどのような資料にあたるのか、どのような調査や実験なら可能なのか、現実にまとめられる可能性のあるものを見つけて下さい。
関連分野の学習とともに、論文をたくさん読んで、論文とは何かを学んでおいてください。
1.指導方針
受講者の自主性を重んじながら、研究としてまとめるための指導を行います。研究には能動的な思考と姿勢が重要ですが、同時に客観的に自身の研究を俯瞰することも大切です。これはデザインの基本でもあります。制作系と論文系に大別し、研究のプロセスに沿い、随時アドバイスを行いながら進めます。
2.専門領域
人と人をつなぐデザインの研究を実施し、具体的には、携帯情報端末を使用した観察鑑賞を支援するデザインなどの研究を行なってきました。日本デザイン学会、展示学会、日本図学会などに所属し、研究を進めています。産学協同で地域活性化につながるデザイン制作も実施しており、社会的活動では、各都市で都市景観アドバイザーや景観審議会、屋外広告物審議会などの委員を歴任してきました。
3.指導可能領域
デザインに関わる分野で研究を進めます。鑑賞支援、地域活性化、都市景観など、人と人をつなぐデザインを軸に、制作系と論文系のいずれもデザインの視点からアプローチします。
4.指導方法
指導形式:基本的には個人指導ですが、合同ゼミ(6ゼミ合同)も実施しています。
指導場所:個人指導は、メールや会議システムで実施します。合同ゼミは、文京学習センターや放送大学本部で実施しますが、Web参加も可能です。
指導頻度:個人指導は随時実施していますが、合同ゼミは年5回程度実施しています。
遠方に住んでいる学生への対応:個人指導は、メールや会議システムで実施しますので、特に問題はありません。合同ゼミもWeb参加が可能ですので、どこからでも参加できます。
5.入学者に求めること(指導教員からのメッセージ)など
まず、今までにどのような研究があるか興味のある関連研究を調べてみましょう。研究テーマの絞込みや研究プ ロセスの参考になります。また、卒業研究は、主にコンピュータを使用して成果をまとめるため、あらかじめ基本操作を習得しておいてください。
1.指導方針
放送大学の修士課程には熱意を持って入学される方がほとんどですが、初期の段階では、研究の進め方やゴールなどが漠然としていることも多くあります。決められた期間内で、テーマを具体化し、成果を出し、それを適切にまとめられるよう補助します。
特にシステム開発を行う研究などでは、論文としてまとめることが苦手な方が多いようです。論理的で説得力のある論文になるよう、指導を行います。
2.専門領域
ICTを活用した学習支援システムに関する研究開発が専門です。これまで、学習情報の検索手法、遠隔授業システム、eラーニング技術などに取り組んできました。
3.指導可能領域
ICTを活用した学習支援全般。または、学習とは直接関係がなくとも、Web、情報システム、情報検索などに関するテーマ。
これまでの在籍学生の過半は、学習とは直接関係のないテーマを選択しています。
4.指導方法
一ヶ月から一ヶ月半に一度、Web会議システムを使って、ゼミ形式で研究打ち合わせを行っています。そのほか、適宜電子メールや対面での指導も行います。
ただし、学生の生活、居住地、研究テーマなどに応じて柔軟に対応します。
5.入学者に求めること(指導教員からのメッセージ)など
システム開発(プログラミング)、データ処理などを行う予定であれば、学習に時間が取られないように、あらかじめ習得しておいてください。
1.指導方針
研究とは、自ら課題を設定し、その答えを導き出していくものです。研究指導では、このために必要な、研究の進め方や論文の書き方に対するアドバイスなどを随時行います。是非、主体的に取り組んで頂きたいと思います。
2.専門領域
情報工学、特に、音や画像、映像といったマルチメディア情報の処理を専門としています。
また、大規模データの処理、分析などに関する研究も行なっています。
3.指導可能領域
画像処理、映像処理、音声処理、テキスト処理、機械学習、人工知能等に関連のあるテーマについて、工学的な立場から扱うものを対象とします。
4.指導方法
月1回程度のE-mailによる指導や、必要に応じて、ゼミ形式での指導を行います。
5.入学者に求めること(指導教員からのメッセージ)など
基本的に、プログラミングに関する知識は必須と考えてください。
1.指導方針
大学院修士課程では、研究者として基礎的な能力(コンピテンス)を身につけます。具体的には、新たな問題とその解決策を見出すこと、これまでの先行研究をまとめ自身の独創性革新性を明らかにすること、実験・調査・シミュレーションなど適切な科学的方法を用いて実証することなどです。研究法として、心理学的実験・測定、実験計画法、統計学的な手法も利用します。またプログラム言語が 1 つ使えるほうが好ましいと思います(ただし、いずれも応募の要件とはしません)
修士論文では、こうした能力がどの程度身についたか評価します。博士論文では、まとまった研究成果をあげ学会で認められる(査読付き論文として採択される)必要がありますが、修士論文ではその能力がどの程度身についているかをまず確認し、研究成果は部分的でもよしとします。一方、先行研究や既存の事例報告の整理だけでは「卒業研究」にふさわしく、修士論文では独創性・革新性への努力が認められる必要があります。
また、生涯学習の観点からマルチキャリアをめざす方を応援したいと思います。特に、情報領域と(国際)ボランティアのデュアルキャリアをめざす方を歓迎します
2.専門領域
情報と人間、情報と教育の関わりを広く研究しています。応用情報学的アプローチ、特に、学習/学術コンテンツの開発・共有・流通・電子出版、情報教育・第 2 言語教育・教育の国際化・国際ボランティア活動・サイバーボランティア活動等における ICT 利用に関心があります。また、大規模公開オンラインコース(MOOC)やブレンディッドアプローチに関係して、個別学習の最適化や仮想空間を介した学習コミュニティのふるまいに注目しています。e-Learningのエコシステムを実現するための国際標準化活動に参画し、デジタルバッジ・クレデンシャルや学習解析(Learning Analytics)の研究も行います。現在の研究活動については、ウェブサイト(https://yamada-labo.com/)を参照ください。
3.指導可能領域
上記2.の範囲です。しかし、情報学の扱う研究領域は広く本プログラムには多才な教員がいますので、以下の領域を優先的に採択します。
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ボランティア活動や社会貢献活動を情報通信技術(ICT)や人工知能(AI)によって改善する研究(シビックテック的アプローチ)、サイバー空間で新たに生じるボランティア活動や社会貢献活動(サイバーボランティア)に関する研究
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エコシステムとして教育・学習支援システムを構築する際に必要な国際標準に関わる研究
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外国語や第2言語の学習や教育にICTを活用する研究
4.指導方法
個別指導(面接あるいは遠隔)と、セミナー(「ゼミ」、1-2 か月に 1 回、面接あるいは遠隔)を併用して実施します。スケジュールや指導手段については、配属後、個別に相談して決定します。
5.入学者に求めること(指導教員からのメッセージ)など
修士課程では、限られた時間内に、まとまった分量の修士論文を仕上げないといけません。何を研究したいかがあやふやだと、あっという間に夏がきてしまいます。また、文献研究や調査・実験をおこない論文にまとめていくのには、まとまった時間も必要です。このため、学部の卒業研究などを活用し、事前に十分な予備研究をおこない、出願にあたっては、教員にも相談し、なにを研究したいか明確な目的意識をもつともに、研究に時間を確保する堅い意思と準備ができたとき、応募するのが理想です。
自然環境科学プログラム
1.指導方針
修士論文は、
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今までにどこにも発表されていない研究成果を纏めること。
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既存の数学的内容を理解して、優れた解説論文を作成すること。
のいずれかを期待しています。
1.では、a) 未解決問題の解決(部分的なものも含む)など新しい結果が含まれていること、または新領域の開拓などの新規性(オリジナリティ-)が求められます。勿論、研究成果は、b) 数学的に正しいことを証明することが必要です。また、個人の感覚では無く、c) 当該分野の研究者に興味を持たれることの、a), b), c)が求められます。どこにも発表はされていなくても、専門領域の研究者は誰でも知っている内容では、興味の対象になりませんから注意しましょう。
2.では、必ずしも研究成果としての新規性(オリジナリティ-)を要求することはありません。まとめる過程で、 既知の定理やその性質を可視化することや、定理の主張を如実に表す例が構成できれば、 修士論文は優れた解説書となります。単なる、教科書や学術論文の写しや直訳では修士論文としては不十分と考えています。
2.専門領域
複素函数論と函数方程式論が主たる専門領域です。 特に、1変数函数論における複素平面での整函数論・有理型函数論(Wiman-Valiron理論 単葉函数論・Nevanlinna理論)の精密化、一意化定理や差分化が前者の中心課題です。
後者については、線形方程式の複素振動、複素領域での代数的微分方程式、超越的有理関数の増大度、差分方程式、q-差分方程式、合成型方程式、離散函数方程式と連続函数方程式の関係、解析学における代数的な考察として、超・超越性やFermat型などの函数方程式などにも取り組んでします。
また、数理モデルを利用した数理現象の考察や、反復合成による複素力学系と自励系函数方程式も取り扱っています。 大学院講義の、数理科学('15)や学部専門科目の微分方程式('17)は研究内容と関係があります。
3.指導可能領域
項目1.の 1)の研究できる領域は、A) 複素函数論(1変数)、特に複素平面上での整函数論・有理型函数論(Wiman-Valiron理論・単葉函数論・Nevanlinna理論)、B) 函数方程式論、特に、複素領域での微分方程式や差分方程式、q-差分方程式、合成型方程式、Fermat型などの函数方程式です。また、数理モデルを利用した数理現象の考察や、反復合成による複素力学系と自励系函数方程式についても取り扱っています。
項目1.の 2)の研究できる領域は、解析学一般です。広めに領域をあげますと、函数論、函数方程式論、関数解析学、実函数論、数理統計学などです。微分幾何学的な内容も一緒に読み進める形で対応します。また、数学教育の内容など実践を含む教育法も研究できます。
4.指導方法
基本的に、毎月行われる数理科学セミナーで講演・聴講をしていただく中で研究を進めていきます。会場は放送大学本部(幕張)になります。
希望に応じて、数理科学セミナーに加えて個別に電子メールなどを利用して, 研究の進捗状況の確認と指導を行います。お仕事の関係やお住まいなどの理由で、毎月、数理科学セミナーに参加できない場合は併用の形も可能です。
5.入学者に求めること(指導教員からのメッセージ)など
大学院修士課程の場合は、筆記試験と面接試験があります。基本的な、微分積分学と線型代数学の知識は必要です。更に、解析系の研究をしたい志したい場合は、放送大学の学部科目では、入門微分積分('16)、微分方程式('17)、解析入門('18)を履修していることが望ましいといえます。
数学に限らず, 「なぜだろう」と理由を希求する力を, ここでは, 希求力と呼ぶことにしましょう。難しい問題にぶつかっても, 希求力があれば直ぐにあきらめるのではなく, 大変だけど追い求めてみようという忍耐力が備わるはずです。この忍耐力があれば、反省をし, 新たな方法を見いだせるでしょう。そして, 自分自信を涵養・陶冶していく力になるでしょう。これらの総合的な力が, 新たな希求力を創造し, プラスのスパイラルを生み出すことになるのです。基本となる数学的知識と理論の応用力も大事ですが、 興味を持つ情熱を忘れなければ修士課程の中で自分を高めていくことが可能であると考えています。
1.指導方針
自然と環境について様々に学んできた内容を踏まえ、独自の調査・研究により新たな知見を追加して修士論文としてまとめることを目指します。調べてみたい、研究してみたい、という意欲と、具体的な対象をお持ちであることを希望します。
通信制の大学院であることから、現場での調査を実地にて反復指導する、ということが極めて困難です。野外での調査を通じて修士論文にまとめるべきデータを得ることをお考えの場合は、現にご自身で一通りの調査を行えることが前提となります。特に、生物の種の識別(同定)については、少なくとも基礎的な部分はご自身で可能であることが求められると、お考えください。
2.専門領域
ある場所に生息、生育する生物の種組成や種多様性が、生物を取り巻く環境のあり方に応じてどのように変化しているのかを、人間の活動に特に注目して研究してきました。
従来の研究の多くは、生物にとっての環境条件として、生物が生息・生育しているその場所におけるものだけを、専ら取り上げていました。それだけでなく、その周囲における状況もまた、生物に影響していることがわかってきており、景観生態学と呼ばれる研究領域が作られています。私自身の研究では、この景観生態学的な側面を常に意識するようにしています。 いずれの場合も、調査はまず、設定された対象地においてどのような生物がどれだけ生きているかを調べることから始まります。現地での生物調査が基本ですが、特別な場合として、既に行われた生物調査結果のデータを対象にして解析を行うこともあります。調査対象地としては、都市緑地や農耕地、河川、ため池、植林地、二次林など、人間の影響が何らかの形で加わっている生物生息地を取り上げることが多いです。
対象とする生物は、鳥類、維管束植物(植物群落、植生)、淡水域の付着珪藻類、河川の底生無脊椎動物です。植物群落は、研究対象としてのみならず、動物にとっての環境を構成する存在としても重視しています。調査結果の分析において、多変量解析を初めとするデータの数値解析を多く用いることも特徴です。その一部については、オンライン授業「生物の種組成データの分析法('16)」で紹介しています。
Researchmapに、これまで行ってきた研究成果が掲出されておりますので、それをご覧いただければ、私の専門領域について、より具体的にご理解いただけるでしょう。
3.指導可能領域
2.に示した内容に関連するテーマであることが望ましいです。個体より大きなものが主体となる生物現象、すなわち個体、個体群、生物群集、生態系、ランドスケープに関わる現象に関するテーマであれば、指導は可能ですが、テーマによっては私自身も勉強、研究しながらになることもあります。
野外での調査には、時に危険が伴います。また、技術を要する場合もあります。それぞれのかたの状況に応じて、調査対象やテーマをご希望のものから変更することがあるかもしれませんが、あらかじめご承知おきください。
現場での調査は行わず、既存の文献、資料等の内容に基づいて論考する、あるいは未分析の状態で公表されている調査データ等を集めて分析する、等のアプローチも考えられます。
4.指導方法
入学時に、Eメールのやりとりを通じて研究テーマの相談や準備状況の確認をします。新入生向けのオリエンテーションで幕張キャンパスにお越しいただいた際に、個別の面談を実施して当面の研究の進め方を決めます。その後は、メールにより指導しますが、状況によっては面談、Web会議などの方法も用います。また、オンラインでの研究資料(特に、論文の書き方に関するもの)の提供も随時行います。学生同士で、読んだ論文の要旨を報告し合う活動も、(まだ活発とは言えませんが)オンライン上で行っています。
3回ある研究レポート提出後には、その都度レポート報告会を開催します。出席は義務ではありませんが、数少ない対面での議論の場ですので、できるだけ出席いただくことを希望します。報告会に先立ち、レポートの内容についてコメントを送りますので、報告会ではそのコメントを踏まえて修正した内容を発表していただくことになります。
調査方法の指導や調査対象地の選定などで、特に必要な場合には、私が現地に赴く場合もあります。それぞれの学生の状況に応じて指導方法の細部は変更します。
5.入学者に求めること(指導教員からのメッセージ)など
基礎的な知識として、生態学の基本的な内容は理解しておいていただけるとよいでしょう。本学の学部授業科目「初歩からの生物学」「生物環境の科学」については、履修していただくか、あるいは印刷教材をご一読いただくことを希望します。大学院入学後は、「現代生物科学」「生物の種組成データの分析法」「野外生物調査法」といった関連科目を、必要に応じて受講してください。2020年度開講予定の「アカデミック・スキルズ」は、論文を書くために必要な文章作成法、情報収集法、及び論文の読解のしかたを学ぶ授業です。できるだけ受講するようにしてください。
研究の資料を電子メールによりやりとりしますので、添付ファイルが利用可能なメールアカウントをお持ちであるか、またはファイル転送サービスが利用可能な情報端末のご利用が可能であることが望ましいです。
研究テーマ例は、Researchmapの業績リストをご覧ください。
1.指導方針
科学研究は「探究のサイクル(Inquiry Cycle)」と呼ばれる流れに沿って進められます。具体的には① 問いを立てる、②背景を調査する、③仮説を立てる、④ 解析・実験をデザインする、⑤仮説を試す、⑥結論を導く、⑦研究報告を準備する、⑧批判を仰ぐ、⑨新たな問いが生まれる、となります。これが研究の1サイクルです。特に出だしの「問いの立て方」が重要で、これが研究の成否を分けるといっても良いでしょう。初めて研究の世界に漕ぎ出す学生さんにとって、最大の難関がこの「テーマ選び」でしょう。放送大学の修士論文研究では、基本的に学生さんが自分で研究テーマを決めることになっています。そこでまずは、皆さんがご自分の興味関心に基づいて設定されたテーマを上記の科学的方法論のサイクルにうまく載せるサポートから始めます。また、「修士論文」は必須要素としてイントロダクション、研究方法、結果、考察、結論、引用文献を含まねばなりません。以上の点を踏まえ、テーマ設定の段階で十分議論し、その後の順調な船出をサポートするように心がけます。もうひとつ、科学研究は孤独に進めるものではありません。「対話」を通して思い込みや些細な誤り、思考の停滞を取り除くことが極めて重要です。以上の点を踏まえて、様々な方法で皆さんの研究活動をサポートしたいと思います。
2.専門領域
物質は、膨大な数の原子核と電子から構成されています。物質中でほぼ定位置を占める原子核に対し、その約1800 分の 1 の質量しか持たない電子はふわふわと身軽に動き回り、外部からの刺激に対して敏感に応答します。電子は、物質の機能を決める前衛部隊といえます。個々の電子はマイナスの電気を帯びているだけでなく、極微の磁石としての性質(スピン)を併せ持っています。ここで重要になるのが「個々の電子は単純であるが、これらが膨大な数集まることによって予想もつかない全体的性質を現す」という発想で、創発性(emergence)と呼ばれる考え方です。私はこれまで、電子集団の創発性が、物質の電気的、磁気的性質にどう現れるか、という問題に興味を持って研究してきました。現在の研究目標は、カイラル磁性体と呼ばれる一群の結晶を舞台としてスピントロニクスという新しい電子技術の基礎理論を確立することです。研究に用いる方法は、力学、電磁気学、統計力学、量子力学といった物理学の基本的体系に加えて、場の量子論や数理物理的な手法も併用しています。コンピュータを使うのが苦手なので、研究道具は基本的に「紙と鉛筆」です。
3.指導可能領域
自然科学を理解したいと望まれる方として次の三つのグループを想定しています。①日々の仕事は直接科学と関係しないが、自然現象の仕組みや科学技術の実態を自ら理解したいと望んでいる方、②理科教員、科学館職員など広い意味の科学教育を職業としており、自然科学の体系をより高い立場から俯瞰したいと望んでいる方、③産業界のエンジニアとして研究開発に携わっている(いた)が、専門領域内での行き詰まりを打破するために基礎的な科学理論を学ぶ必要性を感じている方、以上 3 グループです。例えば「地球温暖化や自然災害と実生活との折り合い」、「効果的な教育方法の開発」、「技術革新へのブレイクスルー」といった問題意識をお持ちの方々が、科学の方法論を学んでご自分の人生を豊かにするサポートが出来ればと思います。この意味で、私自身の専門研究分野には拘りません。また、私自身の守備範囲を越えるテーマについては、私自身も勉強したり、また適切な専門家を紹介するなどして対応します。
4.指導方法
学生さん個々人の事情(居住地域、生活スタイルなど)を考慮の上、面接や電子メールなどの方法を臨機応変に組み合わせて対応したいと思います。特に、「指導方針」の項で述べた科学的探究のサイクルの各段階で、皆さんの研究が順調に進んでいるかを確認しあいながら指導を進めます。
5.入学者に求めること(指導教員からのメッセージ)など
科学研究の原動力は、自然に対する感受性です。他人にとってはどうでもよい自然現象が自分には気になって仕方がない。だから追求せざるを得ない、というのが研究のベースだと思います。自分が執着した問題に自信を持ってまっすぐ立ち向かいましょう。もちろん基礎的な物理学(力学、電磁気学、統計力学、量子力学)と数学(線形代数、解析学)の知識があるに越したことはありません。しかし、「良いテーマ」が設定できれば研究の手法は後からついてくるものです。ともに対話を重ねながら実りある研究生活を体験していただければと思います。
1.指導方針
1冊の本を精読し、内容を正確に理解し、それをなるべく自分の言葉で表現し、論文として著すことは、簡単なことではありません。このことを習得し、論理的思考を養うことは、数学を研究する上で重要であり、修士論文の目的でもあります。 その上で、余裕があれば、自分で考えたこと、研究した成果を、論文に付け加えることができれば、さらに良いです。
2.専門領域
専門は、数学基礎論、数理論理学、特に帰納的関数論、計算可能性理論といった分野です。計算とは何か、様々な対象の計算可能性の可否、計算の複雑さ、相対的な計算可能性、またはその階層構造の解明です。また数学基礎論の他分野への応用として、情報科学や経済学等にも興味を持っています。
3.指導可能領域
上記専門分野、またその他の数学的分野を指導します。また算数、数学教育にも興味を持っており、その分野の研究も受け入れます。
4.指導方法
指導形式は、月1回程度のゼミ形式で指導します。指導場所は、本部幕張となります。 毎回参加できなくても結構です。都合によりゼミに参加できない学生には、メール等により指導もします。
5.入学者に求めること(指導教員からのメッセージ)など
特になし。
1.指導方針
学部で身につけた幅広い教養に基づき、関心を持つことができた研究分野で専門性を高めることが第一義的に重要である。それに加えて、独自の視点から研究テーマを見つけ、指導教員と共に研究を進めていくことである。
2.専門領域
銀河天文学、観測的宇宙論が専門分野である。キーワードとしては、銀河の誕生と進化、超大質量ブラックホールの誕生と進化、超大質量ブラックホールを起源とする銀河中心核の活動性、宇宙の大規模構造、ダークマターなどがある。
3.指導可能領域
放送大学の大学院で天文学の研究を志す方々の中には銀河天文学や観測的宇宙論のみならず、太陽系天文学から恒星天文学、あるいは古天文学まで幅広い興味をもたれる大学院生も多い。そのため、可能な限り大学院生が興味を持つ分野の研究も指導するように心がけている。
4.指導方法
放送大学の学部および大学院で天文学を勉強・研究をされている方々と天文学の基礎から応用まで学べるように、月一回のペースで天文学ゼミあるいは宇宙ゼミを行ってきている。これはメンバーの情報交換や研究交流を行うことも目的としている。
また、もちろんニーズに応じて個別指導も行う。その際、大学院生が所属している学習センターで行うこともある。
5.入学者に求めること(指導教員からのメッセージ)など
「好きこそ物の上手なれ」この格言のとおり、自分の興味のある問題について勉強・研究を進めることが最も効率的である。そのため、まずは自分が何をやりたいか冷静に見つめて、研究テーマを見つけ、研鑽を積んでいただければ良いと考えています。頑張ってください。
1.指導方針
テーマの設定から、論文の執筆まで、主体的に行う姿勢が望まれます。その中で、新しい知見や結論を導けるよう努力することが大切です。したがって、小さなことでもよいので仮説を立て、実験や解析を行って得られた結果、あるいは、原著論文のデータに基づいて考えた新しい解釈、新規な解析方法の提案などを、自分の言葉で論文にまとめることを基本とします。
修士論文はレポートとは異なります。専門書や学術論文を調べてまとめるだけ、あるいは実験や解析の結果まとめるだけでは不十分です。それらの情報をまとめ、科学的に解釈し、考察し、他人を説得できる論理で、自己の主張を展開する必要があります。
2.専門領域
専門領域は、生物情報学、進化学、遺伝学です。DNAやRNA、タンパク質といった分子マーカーを用いて、生物の集団から遺伝子までのさまざまなレベルにおける、進化、多様性、あるいは相互作用について実験、理論的解析の両面から行っています。
3.指導可能領域
上に挙げた分野と関連するテーマであることがもっとも望ましい。生物に関わるテーマであれば、一緒に研究を進めながら指導可能です。本学には、実験研究を行う設備も施設も不十分なので、実験による研究を希望したとしても、そのサポートはできない点に留意してください。
4.指導方法
随時、面談、Web 会議、E-mail により指導を行います。また、研究レポートの報告会を4月と10月に幕張で行っています。ただし、レポート報告会への出席は必須ではありません。
5.入学者に求めること(指導教員からのメッセージ)など
自ら積極的に研究を進めましょう。指導を待っているだけでは研究は進みません。
生物学全般の知識を必要とします。古典的なことから最先端の分野まで関連する分野の文章を幅広く読んでおきましょう。さらに、対象とする生物や現象に精通する必要があります。
1.指導方針
研究に取り組むことで、 (1)問題を発掘、発見し課題を設定する力、 (2)知識、技術を活用して課題解決に繋げる力、(3)結果を論理的に記述、発表する力を養います。問題意識を持つこと、先行研究を学び、周囲の言葉に耳を傾けることが必要です。仕事や地域貢献活動を通じて見出した課題、大学の学びを深める課題もよいと思います。教員とよくコミュニケーションをとりながら、主体的、能動的に課題に取り組む力を高めましょう。我流でなく、読んでもらうものを書く力、伝える力を養うことも重視しています。
2.専門領域
学部では、かたちの化学 ー化学の考え方入門ー、現代を生きるための化学、量子化学、物理と化学のための数学を、大学院では計算で紐解く物質科学・環境科学を担当しています。教材、講義の中にも研究の種があると思います。
分子とその集合系の構造、機能、反応の理論研究が専門です。
量子力学、統計力学などに基づく、分子理論開発と分子計算、コンピューターシミュレーションを行っています。 材料、医療、環境に関わる課題の鍵となる分子過程の解明、課題解決に必要な分子設計、分子技術開発に理論と計算を応用します。
理論と計算を専門としますが、国内外の実験家とも協力、共同しています。
3.指導可能領域
量子化学、分子分光学の理解を深める課題、理論計算を活用して化学、特に分子の構造、反応、機能を解明する課題、原子、分子の理論や計算手法を開発する課題が専門分野とよくマッチします。放送大学で始めた分野で共同研究的になりますが、科学史、化学の関係する社会問題の理解、解決策を探る課題、科学教育、教材開発の課題等も指導可能領域とします。仕事などに関連して研究素材をお持ちの方の研究力、研究のまとめ方、論理的な記述力の向上の指導もしてきました。環境分析を仕事とされている方がその結果や手法を使う研究や、ご自分でされた科学的、工学的な実験をまとめる研究、環境問題を通じた地域貢献の研究などが具体例です。
4.指導方法
インターネットを活用します。普段の指導は、 zoomでの個別指導とグループディスカッションが中心です。事情が許せば、幕張本部や学習センターでの対面指導にも応じます。研究室全体への連絡や学生同士の交流はグループウェアを使います。
半年に1回、集まって行うレポート発表会(研究発表、討論)があります。場所は原則幕張本部です(文京SCなどに代わること、zoom等を利用することがあります。)4回目のレポート発表会にあたる、修士論文の口頭試問は必須です。計算規模にもよりますが、必要なら、分子計算他、研究用の計算、シミュレーションに研究室のコンピューターを使うことができます。ネットワークを通じて利用します。ご自宅で使われるコンピューターは、ご用意いただきます。
5.入学者に求めること(指導教員からのメッセージ)など
私の専門に近い課題に挑戦される方は、講義や印刷教材をご覧になって、予習してください。インターネットで研究内容を具体的に知ることもできます。 (1)実践を通じて学びを深めたい方、 (2)分子計算を体験、活用したい方、(3)化学が関連する材料、医療、環境等の課題に取り組みたい方、(4)教材開発や調査研究をしたい方、(5)環境や化学に関連する地域貢献の課題に取り組みたい方を想定しています。よくコミュニケーションすること、進んで学ぶことを心がけてください。
研究計画を立てる際は、答えたい問と予想される答えを言葉にしてみましょう。描く図や表を考えることも役立つでしょう。
1.指導方針
修士論文では、研究内容のオリジナルな成果は要求しませんが、少なくとも1編のオリジナル論文を読んで、その内容を自分で理解したことを書くようにしてください。日本語訳があればそれを読んでも構いません。また、教科書等の説明を参考にするのは構いませんが、修士論文ではオリジナル論文を理解することが必要です。教科書等を参考にした場合は、それを引用するようにしてください。自分で考案した実験をする場合は、その実験の物理的意味をよく理解するようにしてください。
修士課程の研究では、自分にあった研究テーマを決めることが非常に大事です。その際、放送大学で放映されている番組を含め、色々な解説記事を参考にして希望を出される場合が多いですが、提案された研究内容が学生のこれまでの学習状況を見て良いテーマかどうか私の経験を通してアドバイスします。その場合、研究テーマの変更を指導する場合があります。希望する研究テーマについて私が指導できない場合、或は、内容についてより日常的にアドバイスを求められる適当な専門家がいる場合は、該当する学生と専門家の同意のもとに指導教員をお願いすることも可能です。
2.専門領域
私はこれまで核物理(Nuclear Physics)の領域で専門的な研究を行ってきました。特に、高エネルギーの原子核衝突によって「高温」或は「高密度」の物質の極限状態を再現する実験が行われてきましたが、その実験でできる物質の状態やその時空的な発展を物理学の基礎知識(熱力学、量子力学、場の量子論、統計力学、流体力学、運動論)の様々な手法を使って理論的に記述し、どのような物理量を見れば良いか研究してきました。私の発表した研究論文は全て英語で書かれています。必要があれば適宜紹介します。放送大学では、「物理の世界」(導入科目)、「力と運動の物理」(専門科目)、「現代物理の展望」(大学院ラジオ科目)が現在放映されています。
3.指導可能領域
原子核・ハドロン物理や素粒子の標準模型やその実験と関係する問題であれば、基本的にアドバイスします。その際、最先端の研究テーマにたどり着くには、多くの論文を読み、研究の流れを理解する必要がありますが、2年でそれを行うのは難しいと思います。ある程度、過去の研究で既に明らかにされたことを、理解するのが修士論文の目標になると思います。私自身は実験をしません(できません)が、実験結果の理論的解釈についてはアドバイスします。物理学史(近代、現代)についても興味を持っており、元論文は読めませんが、多少アドバイスできます。
4.指導方法
現在、岸根先生と一緒に、全物理修士課程の学生を対象に、場の量子論のゼミを行っています。テキストは、J. J. SakuraiのAdvanced Quantum Mechanicsです。1967年に書かれた英文のテキストですが、量子電気力学(QED)の基本を勉強するには良い教科書です。私の学生で場の量子論を使わない研究や、このテキストには書かれていないより発展した内容を研究している学生には、個別に研究指導を行います。その場合、研究レポートの発表やメールを利用して基本的なアドバイスを行い、必要に応じて直接会って研究指導を行います。
5.入学者に求めること(指導教員からのメッセージ)など
放送大学は、通学制の大学と違って、日常的に会う機会がないのが色々な制限を与えます。私自身の経験でも、学生間の交流を通して学ぶことが多かったように思います。特に研究テーマの設定では、先輩も含め多くの人の意見を聞くのがいいと思いますが、入学した後はできる限りそのギャプを埋めるよう努力したいと思います。放送大学には、若い時に勉強したくても色々な事情でそれができなかったことを、時間の余裕ができて、もう一度やり直したいという、研究動機の高い人が少なからずいらっしゃいます。専門的な研究をするには、数学や語学(英語)を含め、多くの専門的な知識や技術をマスターする必要があります。自分にあった現実的な目標を設定するようにしてください。
1.指導方針
修士修了者に対して期待される能力として、自らのナイーブな問題意識を科学研究のプロセスに合致した適切な問題として設定する力、問題解決に必要な新しいデータを得るための技能、得られた結果をもとに主張を構成する力を挙げることができると思います。これらをバランスよく身に付けるために、研究指導においては、研究内容の見目麗しさよりも正しく丁寧に論証を行うことを重視します。
2.専門領域
専門は物理化学、理論分子科学で、幅広く原子分子集団の示す物性および動的現象の理解を進めています。特に、集団となることで生じる個別原子や分子とは異なるふるまい、その発現機構に興味を持ち、それら原子分子集団と光の相互作用について幅広く研究を行っています。手法としては、電子状態理論、量子波束動力学、古典分子動力学法などの計算機シミュレーションを用います。
3.指導可能領域
量子化学計算をはじめとする計算化学的手法を用いる研究であれば、実力に応じた幅広いテーマでの指導が可能です。この場合、分子が関わる多くの現象が対象となります。分子の視点が関係しそうなテーマであれば、計算化学的手法で何かできそうかどうか、検討してみてください。また、純理論的なテーマについても歓迎します。
上記のような理論分子科学以外の化学分野についてもできる限り対応します。これまでにも水質をはじめとする環境調査、理科教育における教材開発、化学を中心とした科学史などのテーマで指導を行ってきました。なお、実験を伴う研究テーマについては、ご自宅で可能な実験の場合、もしくはすでに実験環境が確保できている場合についてのみ指導可能であることにご留意ください。
4.指導方法
大学院生の皆さんの研究テーマは多岐に渡るため、日常的な研究指導は、随時、個人単位でメールをベースに行います。研究開始にあたっては幕張本部で面談を行いますが、この際、居住地近くの学習センターに出向くことも可能です。また、研究発表の技法については、半年に一度、幕張本部もしくは東京文京学習センターで開催するレポート発表会において、ゼミ形式の指導を行います。
5.入学者に求めること(指導教員からのメッセージ)など
実際の研究において必要な知識はその都度学べば十分ですが、基礎的な化学もしくは物理(放送大学の教材で言えば「初歩からの化学('18)」もしくは「初歩からの物理('16)」)の内容は入学前におさえておくことが望ましいです。計算機シミュレーションにチャレンジしたい方は、パソコンの取り扱いに慣れておくとスムーズに研究が開始できます。
1.指導方針
教養とは、論理的な思考とそれを支える背景の知識を兼ね備えた能力のことであると考えています。地球惑星科学が対象とする時間や空間のスケールは、一見、日々の生活とはかけ離れています。しかし、情報を主体的に収集し、解析し、複雑なシステムの仕組みを明らかにする、という研究内容は、現代社会が必要とする「教養力」に通じる分野です。このような点を理解していただき、データと論理的な思考に基づき自然界の出来事を明らかにしてゆく過程を、研究と論文作成を通して学ぶことを目標に指導します。したがって、研究内容には必ずしも新規性や革新性を求めませんが、データや論理に基づかない内容を合格とすることはありません。これまでの研究成果を勉強しまとめ直すレビュー的研究テーマも可能ですが、論理的な切り口によるまとめを求めます。学生が希望する研究テーマと各々の実力を勘案して、外部の研究者に指導を依頼する場合があります。
2.専門領域
地球が生命の住む惑星になった原因を、主に、岩石と大気・海洋の境界や、プレートの沈み込む場所で起きる化学反応に注目して研究しています。これらの場所で起きる化学反応は、地表とマントル間の物質循環を支配し、100 万年以上の時間スケールにおける表層環境変化に強く関っています。野外調査、岩石・鉱物の観察と分析、相平衡 熱力学計算による鉱物の生成・脱水・脱ガス反応の解析、モデル計算などが主な研究方法です。地球で得た知見は、 火星や金星、さらに、地球型惑星一般の生命存在可能性の議論に発展させることができると考えています。
3.指導可能領域
上記の専門分野に、何かしら関連した領域を希望します。ただし、研究設備には限りがあり、受け入れできないテーマもあります。野外調査や分析のほかに、ソフトウェアの開発、文献調査による過去の研究の総合化、文献値のデータ解析による研究も可能です。1で述べたように、外部の研究者に指導を依頼する場合がありますが、原則として、依頼先の研究レベルに適応できる実力を持つことが前提となります。入学後に、相談の上、研究テーマを変更する場合があります。
4.指導方法
主に電子メール、希望すれば個別面談(研究室またはweb会議)も可能です。論理的に文章を書く練習として、電子メールの利用を勧めています。必要に応じて、皆さんの居住地の学習センターなどにうかがい、集中的に指導する場合があります。また、ほぼ毎月1回(主に土日祝に開催)、Web会議で地球科学ゼミを開催しています。参加は必須ではありませんが、様々な方の話を聞き、発表の手法や議論のしかたを学ぶ重要な機会と考えています。
5.入学者に求めること(指導教員からのメッセージ)など
地球科学関連の学部を卒業している必要はありませんが、放送大学教養学部・自然と環境コースの導入科目程度の基礎を持つことが望まれます。最近では「研究」の多くの過程をAIが行うことも可能になりつつありますが、楽しんだり苦しんだりしながら研究する、ということは、まだ、人間の特権といえるでしょう。その過程をめんどうがらずに、熱意を持って研究に臨んで下さい。