研究倫理審査に関するQ&A

目次

1.倫理審査の申請について

2.インフォームド・コンセントについて

3.倫理審査申請用研究計画書の書き方について

研究の実施体制と方法・期間

個人情報の取り扱いと研究対象者の利益・リスク

研究情報の保管と研究の公開・登録

問い合わせへの対応と将来の研究への転用

4.利益相反について

5.研究倫理審査の期間

6.審査コメント

7.審査の承認後

Q&A

1.倫理審査の申請について

Q1.そもそも何のために研究倫理審査をする必要があるのでしょうか?
A1.「人を対象とする生命科学・医学系人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針ガイダンス」の134~138ページを参照してください。
人を対象とする研究の研究責任者は、研究対象者の人権擁護のため、研究の倫理的妥当性及び科学的合理性が確保されるように研究計画書を作成し、研究機関の長の許可を受け、計画に即して研究を遂行する必要があります。その研究計画の審査を行うのが研究倫理審査です。
Q2.すでに調査を始めてしまっていますが、研究倫理審査に申請できますか?
A2.研究倫理審査は研究計画に対して行うものです。研究が進んでしまっている場合に遡及して審査をすることはできませんのでご注意ください。
Q3.私の研究は「生命科学・医学系研究」ではありません。審査の必要がないということで良いでしょうか?
A3.「人を対象とする生命科学・医学系人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針ガイダンス」の4ページにある「人を対象とする生命科学・医学系研究」の定義に即して該当しないと判断できる場合は、必ずしも研究倫理審査を必要としない場合もあります。
Q4.どのような場合に研究倫理審査を必要としないのでしょうか?
A4.
「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針ガイダンス」の4~6ページを参照してください。例えば以下のようなケースは必ずしも審査の承認を得る必要はありません(ただし対外的に研究成果を公表する場合は必要になるケースもあります)。
  • 社内のストレスチェックの結果を集計し社内におけるストレス対策を立案する

  • ある患者へのセラピー(あるいはケア)内容について振り返り整理したケースレポートを作成する

  • 政府統計の結果を使用して市町村単位での分析を行なう

  • 完全に個人を識別できない形に加工された二次データを用いて分析を行う

など。
また、「人を対象とする生命科学・医学系研究」以外で倫理審査の要・不要の判断が難しい境界領域の研究の場合、投稿や発表を考えている学会が審査通過を課しているかどうかを参考にする必要があると思います。また症例報告、診療目的、教育目的の調査は必ずしも倫理審査の必要はありません(ただしその場合も倫理的人道的配慮、個人情報保護法に基づく対応は必要です)。なお、研究を遂行した後、学会等の発表段階で審査が必要と分かった場合、事後の倫理審査はできませんので必ず研究実施前に審査の必要の有無をご判断ください。
Q5.迅速審査とは何でしょうか?
A5.「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針ガイダンス」の141~142ページを参照してください。
計画の軽微な変更や、介入を伴わない研究の場合に該当します。委員が書面審査を行い、できる限り早く審査結果を提示するものです。
Q6.「介入」とはどういうことでしょうか?
A6.研究目的で、人の健康に関する様々な事象に影響を与える要因の有無又は程度を制御する行為(意図的に変化させ、又は変化しないようにすること)をいいます。予防や診断や治療のための投薬や検査を含む行為のほか、心理療法、看護ケア、生活指導、栄養指導、食事療法、作業療法、健康教育等も含みます。
Q7.私の研究は患者の病いの経験に関するインタビューを行います。これは「侵襲」がある研究になるのでしょうか?
A7.人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針ガイダンス第2(2)(7~9ページ)を参照してください。侵襲とは、研究目的で行われる、穿刺、切開、薬物投与、放射線照射、心的外傷に触れる質問等によって、研究対象者の身体又は精神に傷害または負担が生じることをいいます。インタビュー内容が心の傷に深くかかわらない内容であれば、軽微な侵襲、あるいは、侵襲がない、と判断してかまわないでしょう。
Q8.「軽微な侵襲」と「侵襲がない」研究の違いを教えてください。
A8.人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針ガイダンス第2(2)(7~8ページ)を参照してください。研究対象者に生じる傷害及び負担が小さいと社会的に許容される種類のものをいいます。例えば、採血及び放射線照射に関して、労働安全衛生法に基づく一般健康診断で行われる採血や胸部単純X線撮影等と同程度(対象者の年齢・状態、行われる頻度等を含む。)であれば、「軽微な侵襲」を伴うと判断してよいとされます。なお、自然排泄される尿・便・喀痰、唾液・汗等の分泌物、抜け落ちた毛髪・体毛を研究目的で採取する場合や、表面筋電図や心電図の測定、超音波画像の撮像などを研究目的で行う場合については、「侵襲」を伴わないと判断してよいとされます。

2.インフォームド・コンセントについて

Q9.「オプトイン」・「オプトアウト」とは何でしょうか?
A9.「オプトイン」は、一般に何かの活動に参加・加入するという意味の用語です。「オプトアウト」は、一般に不参加・脱退という意味の用語です。研究でいう場合は、「オプトイン」は、説明後に同意を示すことで研究に参加する方式です。 「オプトアウト」は説明されたのちに非同意を示す場合に研究に不参加となる方式です。会議録や診療録など記録データを用いた研究の場合はこの「オプトアウト」による研究不参加の機会の保証が必要です。
詳細は「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針ガイダンス」第8(1)(69~72ページ)及び(2)(75~77ページ)を参照してください。
Q10.質問紙調査を行うのですが同意書は必要でしょうか?
A10.質問紙調査は基本的には人体に侵襲のない、介入を伴わない研究方法ですので同意書は不要です。ただし、研究計画に関して開示を行う説明文書の作成は必要で、研究対象者等が拒否できる機会を保障することも必要です。なお、要配慮個人情報を取得する場合は、「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針ガイダンス」91~95ページを参照してください。
Q11.対象者の中に中学校未修了の16歳未満の生徒・児童がいます。その場合のインフォームド・コンセントはどのようにする必要がありますか?
A11.
「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」では、こうした対象者(児)は十分な判断能力を有さない対象として位置付けています。そのため「代諾者」と呼ばれる人を選んで、その人に代わりに説明し、同意を得ることが必要になります。 代諾者になれる人は、以下のいずれかの方とされています。
  • (研究対象者が未成年者である場合)親権者又は未成年後見人

  • 研究対象者の配偶者、父母、兄弟姉妹、子・孫、祖父母、同居の親族又はそれら近親者に準ずると考えられる者(未成年者を除く。)

  • 研究対象者の代理人(代理権を付与された任意後見人を含む。)

また、代諾者へのインフォームド・コンセントに加えて、対象児が意向を表明できる能力があると考えられる場合は「インフォームド・アセント」という手続きを行うことが求められています。例えば、中学生や、小学校高学年の児童について、本人にわかりやすく研究について説明をし、参加の意向を確認することも必要です。(ただしこれは努力義務とされています。)
(人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針第9、人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針ガイダンス第9(109~114ページ)を参照)
インフォームド・アセントについては以下のリンクも参照してください。

文部科学省-ライフサイエンスの広場 子どもが参加する医学研究におけるインフォームド・アセントおよび実施方法(PDF)新規タブで開く

「インフォームド・アセントとは | 製薬業界 用語辞典 | Answers(アンサーズ)」新規タブで開く
Q12.署名でなく口頭での同意でもよいのはどのような場合でしょうか?
A12.「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針ガイダンス」第8(p66~)を参照してください。侵襲がない研究であれば介入研究であっても口頭での同意で構いません。(軽微なものも含む侵襲がある研究では書面での同意が必要です。)したがって、必ずしも個別・直接の対面でなく、説明会会場、電話等の通信手段、等での説明と同意取得も可能です。ただし口頭で同意を取るときは「同意の内容に関する記録」を作成する必要があります。これは、同意の日時、説明方法、説明者、同意事項等について記載する必要があります。
Q13.成人を対象とした研究で、研究対象者本人ではなく代諾者により同意を得る必要がある場合はどのような場合でしょうか?
A13.「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針ガイダンス」第9(109ページ~)を参照してください。典型的な例としては、傷病により意識不明になっている患者、昏睡状態になっている方、などです。認知症や精神疾患等の診断がなされていることのみをもって、代諾者による同意が必要と判断することはできません。研究の実施に関わらない第三者がみて同意が難しいと認められた時に判断されます。
Q14.勤務先の学校で学生を対象に調査を行おうとしています。この場合利益相反になり、調査を行うことはできないのでしょうか?
A14.
学生の教育に還元する研究を実施するためには学生・生徒を対象とした調査実施は必須です。しかし研究者と研究対象者が、例えば授業担当している教師(担当教師)と指導を受ける生徒という別の関係性と重なってしまう場合に自由意志で調査参加をしづらい状況になることが想定されます。授業中に調査を実施する場合は特にその関係性が大きくなります。こうして参加した対象者は意に沿わない調査参加となり負担がかかることになります。他方で研究者の立場からしてもこうした意に沿わない研究参加による調査回答自体が信頼しにくいものとなり、かえって研究の内的妥当性を下げる結果にもなりかねません。
こうした場合は、生徒・学生による研究参加の自発性の確保を行い、不利益なく参加拒否が可能であるように配慮する必要があります。調査実施前の口頭説明、あるいは文書説明において、本調査は学校の成績や指導関係には一切かかわりがないことを明確に説明し、研究者は立場を遵守するようにし、研究計画書に明記してください。
また、この場合匿名性が保証されることも重要になります。記名式で他の情報と紐づけをしたり、縦断調査(追跡研究)などで個人を追跡するために、完全に匿名化できないという場合は、その理由と対応表の管理の方法について研究計画書に記載してください。
無記名自記式質問紙の場合など匿名性がある方式の場合でも、以下に示す対応のうち複数を組み合わせて調査するようにしてください。
  • 集合方式の調査(教室で一同に会して実施する調査)を避け、宿題方式での調査(持ち帰り適宜回答する形式の調査)を行う

  • 集合調査の場合は、担当教員(研究者)は席を外し、直接の利害関係のない者(計画書で立場を説明)が立ち会いをする

  • 調査票の回収は担当教員(研究者)は直接集めず、直接の利害関係のない者(計画書で立場を説明)が回収を行う

  • 調査票の回収は回収ボックスを設置しそこに投函する形とする

  • 調査票は郵送回収とする

研究計画書の「4.研究の方法及び期間」のうち、「実験・調査の方法あるいはデータ収集の方法」に、詳しい対応方法を記載してください。
Q15.私はクリニックの看護師をしています。クリニックの通院患者を対象に持ち帰りの質問紙調査をする際、研究倫理審査にかける説明文書を作成するにあたって、患者が対象者の場合に一般市民が対象者である場合と異なる説明が必要ですか?
A15.患者であっても市民であっても同じ項目の説明が必要です。ただし以下の点について気を付けてください。
第一に患者の場合、疾患を有していることから疾患名や既往歴などの情報の回答をお願いすることがありえます。その場合、これは要配慮個人情報に相当するため、調査参加の際に説明書を読んだ・説明を聞いた証(チェックボックスにチェックを入れてもらう)を入れるなど、納得の上での調査参加になるような配慮をお願いします。
第二に、身体機能や精神的な機能が一般市民より低いケースが多いことに対する配慮をお願いします。質問紙への回答についても、一般市民よりもはるかに回答作業の身体的負担は大きいことが考えられます。また、精神疾患患者を対象とする場合は、質問紙への回答作業による症状の増幅などリスクが生じるケースも考えられます。こうした予測される身体的・精神的リスクとその対策を整理して、計画書の「9.研究対象者に生じる負担並びに予測される利益・リスクと対策」および説明書の「6.研究対象者に生じる負担並びに予測される利益・リスクと対策」に相当する箇所に記載してください。また、こうしたリスクへの対策としては、回答負担が強い場合は、「回答を中断して休憩し、場合によっては回答を終了しても良い」ことを説明する(計画書「4.研究の方法及び期間」における「研究中止基準」の部分にも記載)、相談窓口の電話番号やウェブサイトなどを案内する、などがあげられるでしょう。また、質問紙も字を大きくしたり、必要最低限の項目になるように調整したり、回答しやすいよう配慮することも必要でしょう。
第三に医療者と患者の関係は、昨今はさまざまなパターンが考えられますが、少なくとも専門的知識を鑑みれば概ね医療者>患者となります。こうした関係が知らず知らずのうちに研究参加を強要してしまうことにならないよう配慮(説明文書の中に、参加拒否できる権利があり、拒否しても不利益は被らない旨を含めて説明)してください。

3.倫理審査申請用研究計画書の書き方について

研究の実施体制と方法・期間

Q16.研究責任者は教員でないといけないのでしょうか?
A16.修士論文や博士論文の場合は院生でも構いません。卒業研究の場合は指導教員とよく相談をしてください。
Q17.指導教員は共同研究者なのでしょうか?
A17.共同研究者として研究計画内に位置付けることもできます。指導教員として指導・監督すると位置づけることもできます。指導教員が研究責任者であり、院生が分担研究者として位置づけることもできます。院生単独の研究ということで、一切位置づかないケースもあり得ます。いずれもケースによりますので、研究体制はよく指導教員と相談してください。
Q18.実験・調査の方法の書き方がよくわかりません。
A18.実験方法論・調査方法論に関する文献をよく参照して、自分の研究の方法がどのような方法に相当するのか明確にしてください。よくわからない場合は指導教員と相談してください。
Q19.私の研究は質的研究ですが、研究デザインの記載の仕方がよくわかりません。
A19.質的研究の場合は、研究領域によって研究デザインの呼称が様々です。指導教官に相談して確認するようにしましょう。例えば半構造化面接によるデータ収集を行いオープンコーディング、アクチュアルコーディングを行う研究の場合は、質的帰納的アプローチによる因子探索型研究と記載してかまいません。
Q20.実査のスケジュールは研究の期間と違うのでしょうか?
A20.異なります。実査のスケジュールはあくまでも研究のデータ収集のスケジュールを記載してください。研究の期間は、調査が完了し、学会誌での論文掲載や学会発表が終わるまでを指します。
Q21.研究終了期限は修論審査会の日ということでしょうか?
A21.研究の公表作業を含みます。公表作業は学会発表や学術誌の掲載を指します。修士論文審査会で研究作業が終わることはほとんどありませんので、投稿作業等も含めて計算して、設定するようにしてください。
Q22.設定していた研究終了期限を過ぎた後に、学会発表や学会誌への投稿をする場合、どうすればいいでしょうか?また、投稿してから採択されるまでにかなり時間を要することもありますが、研究終了期限までに投稿すればよいと判断していいでしょうか?
A22.期限終了後に研究を実施したい場合は研究計画の修正の申請をしてください。また、原則として公表作業(論文の投稿・修正作業など)も研究計画の中に含めるようにしてください。

個人情報の取り扱いと研究対象者の利益・リスク

Q23.匿名加工情報と仮名加工情報の違いはなんですか?
A23.匿名加工情報とは、個人情報を特定の個人を識別することができないように加工して得られる個人に関する情報であって、その情報を復元して特定の個人を再識別することができないようにしたものです。作成の元となった個人情報の復元につながる情報を保有してはならず、対応表は破棄しなければなりません。一方仮名加工情報とは、他の情報と照合しない限り特定の個人を識別することができないように加工された個人情報のことをいいます。本人識別目的での他の情報との照合、第三者への提供、元の個人情報に係る本人への連絡を行う目的での利用は禁止されています。対応表を作成するなど、個人を識別できる記述を削除や置き換えることにより加工した情報を使用する場合は、仮名加工情報となります。
Q24.面接調査をしようとしていますが、研究対象者に予測される利益が思い浮かびません。
A24.将来的に研究成果が社会に還元されることによる利益が考えられます。どの研究も何らかの形で社会に還元されるはずですので、それを明確に示してください。また、社会に還元する場合は研究を公表することが前提になります。きちんと研究成果を公表することについて(公表先の情報も含め)、該当箇所に併せて記載してください。
Q25.質問紙調査をしようとしていますが、研究対象者に生じる負担と予測されるリスクが思い浮かびません。
A25.例えば、過去の経験を尋ねる質問の場合は、回答上困惑するなど精神的な負担が生じる可能性があります。予測されるリスクとしてはデータ管理の不備により調査データが流出する恐れなどが考えられます。
Q26.質問紙調査をしようとしていますが、「対象者の負担やリスクを最小化する」必要はありますか?
A26.回答の際に困惑や困難を感じたときには無理に回答をしないように説明書に明記する、データの流出については、情報管理を徹底することについて明記する必要があるでしょう。

研究情報の保管と研究の公開・登録

Q27.研究資料とは何でしょうか?
A27.試料や標本、文書、数値データ、画像などを指します。研究ノートやメモ類も含みます。
Q28.研究資料の保管期間には決まりがあるのでしょうか?
A28.論文などの形で発表された研究成果のもととなった実験データ等の研究資料は、当該論文等の発表から原則として 10 年間の保存が必要です。試料や標本などの有体物については5年間とされています。また、臨床心理学プログラムでは個別の内規を有していますので指導教員に相談してください。
Q29.研究に関する情報公開先について、具体的な学会名を書かないといけないのでしょうか?
A29.できる限り具体的に記載してください。もしまだわからないという場合でも、例えば、理学療法学系の学会、産業衛生学系の学会、など○○学系の学会という形で明確に示してください。
Q30.介入研究を計画しています。「研究倫理指針」には研究を登録するようにと書いてありました。研究の登録とはどういうことでしょうか?
A30.
「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針ガイダンス」の第6(54ページ)を参照してください。介入研究を行う場合は、研究を登録することが求められています。これは、さまざまな理由がありますが、主に出版バイアスというバイアスを避けることが大きな目的になっています。研究を実施した結果、当初の計画通りのポジティブな結果が出ればそのまま報告に結びつきやすいですが、計画通りにいかなかった、予定外の結果が出た際(特にネガティブな結果が出た際)には研究を学会や雑誌で報告することが躊躇される傾向があります。医学系研究の場合、研究成果を集約したシステマティックレビューあるいは統計的に分析したメタアナリシスを実施することが求められますが、こうした傾向があることで誤った方向にエビデンスが構築されてしまう危険があります。それを避けるために研究計画の段階で登録し、第三者が研究実施を追跡できるようにすることが研究倫理的に求められています。
介入研究の登録についてはUMIN臨床試験登録システム新規タブで開くなどを参照してください。
Q31.すべての介入研究は登録しないといけないのでしょうか?
A31.人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針ガイダンス第6(p54ページ)を参照してください。「個人情報や知的財産の保護等の観点から非公開とすることが妥当であると倫理審査委員会の意見を受けて研究機関の長が許可した一部の内容については、登録を要しない」とされています。もしこうした条件に該当する場合は研究計画書の「13研究に関する情報公開(公表・登録含む)の方法」にその旨を記載してください。
また、介入研究の登録をした場合は、研究計画書の「13研究に関する情報公開(公表・登録含む)の方法」の部分に登録先について記載してください。

問い合わせへの対応と将来の研究への転用

Q32.研究対象者の問い合わせ先はe-mailだけで良いでしょうか?
A32.対象者と確実に連絡が取れる方法を示すことが必要です。もし確実に連絡を受け、回答できるというのであればかまいません。しかし、例えば、対象者の多くがパソコンに慣れていない、インターネットに接続にくい、e-mailの使用に慣れていない、などが予測される場合は、別の手段を取った方が良いでしょう。
Q33.今回の研究では用いませんが、将来的に他の目的の研究にこのデータを用いたい場合はどうすればよいのでしょうか?
A33.
「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針ガイダンス」第8の5説明事項の⑳(110ページ )を参照してください。想定される次の点について可能な限り計画書と対象者の説明書において説明をしてください。次に調査を行う時にも研究倫理審査を受ける必要はありますが、対象者に情報を通知・公開し拒否の機会を保証すればインフォームド・コンセントを行う手続きは必要ありません。
  • 研究機関の名称および研究責任者の氏名

  • 研究の目的・意義

  • 研究の方法(研究対象者から取得された試料・情報の利用目的も含む)および期間

  • 研究対象者に生じる負担並びに予想されるリスクおよび利益

  • 研究の資金源・利益相反について

4.利益相反について

Q34.利益相反とは何でしょうか。
A34.「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針ガイダンス」の62ページを参照してください。また、「厚生労働科学研究における利益相反(Conflict of Interest: COI)の管理に関する指針」(平成30年一部改正)では、次のように定義されています。「COI とは、具体的には、外部との経済的な利益関係等によって、公的研究で必要と される公正かつ適正な判断が損なわれる、又は損なわれるのではないかと第三者から 懸念が表明されかねない事態をいう」
研究者が、企業・営利を目的とした団体との産学連携活動等(共同研究、受託研究、寄付金等の受入)を行う上で、連携先との間に経済的な利益関係(役員就任や株式保有、あるいは多額の報酬等)が発生することがあります。しかし、研究を行う者と、営利追求を目的とした活動を行う企業・団体とは、その目的・役割を異にすることがしばしばです。研究者が企業・団体との関係で有する利益と、研究遂行上の責任とが衝突する状況が生じる場合があります。このような状況を利益相反(Conflict of Interest: COI)と呼ばれています。
Q35.利益相反はないので書類は提出しなくてよいでしょうか?
A35.利益相反がない場合も「なし」の部分にチェックを入れて提出してください。
Q36.利益相反状態にあるかもしれません。研究はできないのでしょうか?
A36.利益相反は産学連携による研究を進める上では日常的に生じる状況で、それ自体は批判されたり非難されたりするものではありません。法令に違反した状態である研究不正とは全く異なります。利益相反に関する情報を適切に開示し、研究対象者や社会全体に対し責任ある説明をすることが研究倫理上重要です。
Q37.研究倫理審査に提出する利益相反の申告は誰がするのでしょうか?
A37.「「研究責任者」は必ず申告してください。研究責任者は共同研究者の利益相反について責任をもって管理をしてください。

5.研究倫理審査の期間

Q38.実験の実施まで時間がありません。審査を早く終了していただけますか?
A38.倫理委員会では多数の研究審査の申請を受け付け、申請順に審査を行っております。特定の申請者に特別な配慮をすることはできません。
Q39.申請書類の修正をしたのに返事が来ません。どうなっているのでしょうか?
A39.再度事務局に確認をしてください。

6.審査コメント

Q40.審査コメントが返信されてきましたが納得いきません。
A40.修正後返信時にどの点について納得がいかないのか、回答書(様式自由)に明確に示したうえで、別の対策とその理由につき示してください。
Q41.提出後に審査コメントにない部分を修正しても良いのでしょうか。
A41.その旨を回答書(様式自由)に記し、修正箇所について、わかるようにアンダーラインないしは蛍光マーカー等でお示しください。

7.審査の承認後

Q42.論文の投稿先から審査の承認番号を記載するように言われましたが承認番号がわかりません。
A42.承認番号に相当する番号は結果通知書の右上にある「通知番号」です。 「西暦-番号」の形で記載されています。

お問い合わせ先

総務部総務課研究協力・産学連携係

Email : rinrishinsa@ouj.ac.jp

メールのお願い : ※メールの件名に【問い合わせ】等、倫理審査の申請と区別がつくよう記載願います。