安全保障輸出管理
輸出管理制度
輸出管理(安全保障輸出管理)とは、我が国を含む国際的な平和及び安全の維持を目的として、武器や軍事転用可能な技術や貨物が、我が国及び国際的な平和と安全を脅かすおそれのある国家やテロリスト等、懸念活動を行うおそれのある者に渡ることを防ぐため技術の提供や貨物の輸出の管理を行うことです。
大学(研究機関)にとっての「輸出管理」とは、平和利用のための自由な研究環境を確保するための基盤として、研究成果や研究資機材が大量破壊兵器等の懸念活動に利用されないように「貨物の輸出」や「技術の提供」を管理することです。
大学等では、技術提供の機会が多いため、「技術は一度提供されれば取り返しがつかない」との自覚を持ち、その管理には十分注意を払う必要があります。そこで、放送大学学園安全保障輸出管理規程において、本学教職員等が外国に対して技術の提供や貨物の輸出を行う際には、事前に申請を行った上で、所定の審査・手続きを経た後に取引を行うことと定めています。
規制の概要
外国為替及び外国貿易法(昭和24年法律第228号。以下「外為法」という。)に基づく輸出規制は、(1)リスト規制と(2)キャッチオール規制から構成されており、これらの規制に該当する技術の提供や貨物の輸出は、経済産業大臣の事前許可が必要となります。

①グループA:輸出管理を厳格に実施している国(輸出令別表第3)
アルゼンチン、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、ブルガリア、カナダ、チェコ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、イタリア、大韓民国、ルクセンブルク、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、スイス、英国、アメリカ合衆国の計27カ国
②国連武器禁輸国・地域(輸出令別表第3の2)
アフガニスタン、中央アフリカ、コンゴ民主共和国、イラク、レバノン、リビア、北朝鮮、ソマリア、南スーダン、スーダンの計10カ国
③一般国
上記①及び②以外の全ての国
例えば、インド、ウクライナ、中国、トルコ、パキスタン、ロシア等
(1)リスト規制
武器及び大量破壊兵器等や通常兵器の開発等に用いられるおそれの高い技術や貨物に該当する場合には、輸出等の仕向地にかかわらず経済産業大臣の事前許可が必要になります。具体的には、品目が「輸出貿易管理令別表第1及び外国為替令別表の規定に基づき貨物又は技術を定める省令(平成3年通商産業省令第49号)」に規定されている仕様に該当すれば、リスト規制の対象になります。
※リスト規制一覧の中に電子計算機等とありますが、市販されているようなノートパソコンや携帯電話は、その大半がリスト規制非該当になります。但し、当該パソコン等の中に技術データが入っている場合、技術の提供とその取引が規制対象となります。
(2)キャッチオール規制
リスト規制対象以外の全ての技術や貨物(食品、木材等を除く)が規制対象となっており、提供技術や輸出貨物がリスト規制に該当しない場合であっても、用途、需要者等によって輸出許可申請が必要な場合があります。
①大量破壊兵器キャッチオール規制
相手先が輸出管理を厳格に実施している国(輸出令別表第3の地域)以外の地域である場合、提供技術や輸出貨物が核兵器等の開発に用いられるおそれがあると輸出者等が知った場合、または用いられるおそれがあるとして経済産業大臣から許可申請をすべき旨の通知(インフォーム通知)を受けた場合には経済産業大臣の事前許可が必要となります。
②通常兵器キャッチオール規制
相手先が国連武器禁輸国・地域(輸出令別表第3の2)の場合、提供技術や輸出貨物が通常兵器の開発等のために用いられるおそれがあると、輸出者等が知った場合、また用いられるおそれがあるとして経済産業大臣からインフォーム通知を受けた場合には、経済産業大臣の事前許可が必要となります。また、相手先が国連武器禁輸国・地域以外の「輸出令別表第3の地域を除く地域」である場合、通常兵器の開発等に用いられるおそれがあるとして経済産業大臣からインフォーム通知を受けた場合には、経済産業大臣の事前許可が必要となります。
外国ユーザーリストとは、経済産業省が大量破壊兵器等の開発等への関与が懸念される企業・組織を掲載し公表しているリストです。本リストに掲載されている企業などに輸出等を行う場合には、大量破壊兵器等の開発等に用いられないことが明らかな場合を除き、経済産業大臣の許可が必要になります。
関連リンク
規制対象となる技術の提供等
大学(研究機関)でよく見受けられる「技術の提供」や「貨物の輸出」の機会は、次のような例があります。

日常の研究活動における規制該当の可能性があるケースとしては、
- 海外の研究者との研究データ等のやり取り
- 海外への研究資機材等の持ち出し・送付
- 外国出張・一時帰国
- 外国からの研究者の訪問
- 講演会等における発表
などが想定されますが、これらで規制技術及び貨物が含まれる場合、外国において規制技術の提供を予定している場合、施設の見学や研究室での意見交換をする際に規制技術について説明をする場合、講演会・セミナー・国際会議・展示会等において発表する際にその内容に規制技術が含まれている場合などにおいて、相手先・参加者やその用途に大量破壊兵器等や通常兵器の開発等への関与が疑われる等の安全保障上の懸念がある場合には、事前に経済産業大臣の許可が必要となります。
そのため、これらの実施にあたっては、事前に事前確認シート(以下様式第1号①もしくは②)を作成・申請して確認を受ける必要があります。
本学における適用対象
本学に雇用されているすべての教職員、所属している学生等
教員
- 専任教員
- 学習センター所長
役員・職員
- 理事
- 常勤職員
- 期間業務職員
- 時間雇用職員
学生
- 全科履修生(卒業研究履修者のみ)
- 修士全科生
- 博士全科生
研究員等
- 特別研究員
- プロジェクト研究員
- 科研費を有する名誉教授等
様式
- 事案が生じた場合、様式第1号①もしくは②の事前確認シートを記入し、メールで安全保障輸出管理担当(anpo@ouj.ac.jp)へ提出してください。
- 様式第1号①②裏面の「安全保障輸出管理に関する自己判定チェック」のフローチャートに従って必要に応じ様式2、様式3、様式4を作成し、事前確認シートとともに提出してください。
様式第1号① 安全保障輸出管理 事前確認シート【技術の提供・貨物の輸出用
- 外国出張
- 海外の研究者との研究データ等のやり取り(メール、電話等)
- 海外への研究資機材等の持ち出し・送付
様式第1号① 安全保障輸出管理 事前確認シート【技術の提供・貨物の輸出用】
様式第1号② 安全保障輸出管理 事前確認シート【外国人の受入用】
- 外国から研究者等の訪問を受け入れる場合
様式第1号② 安全保障輸出管理 事前確認シート【外国人の受入用】
様式第2号 該非判定書
様式第3号 キャッチオール規制チェックシート
様式第4号① 取引審査票【技術の提供・貨物の輸出用】
様式第4号② 取引審査票【外国人の受入用】
用語について
貨物・技術の合体マトリクス表とは
- リスト規制品目とその仕様等をまとめた一覧表で、政令、省令、通達の該当箇所を一覧化したものとなります。Excel形式のため、検索機能の活用により効率的な確認が可能となります。
- 輸出・提供しようとする貨物・技術が規制に該当するか、「貨物・技術の合体マトリクス表」をキーワード検索し確認する必要があります。
(様式第1号①、及び様式第1号②裏面の「安全保障輸出管理に関する自己判定チェック」のフローチャートに従って確認) - 最新版の「貨物・技術の合体マトリクス表」及びその検索方法については、経済産業省ウェブサイトに掲載がありますので以下のURLを参照ください。
安全保障貿易管理「貨物・技術の合体マトリクス表」

特定類型とは
特定類型とは、日本国居住者であっても雇用契約や経済的利益等に基づき外国政府や外国法人(非居住者)の強い影響を受けている状態のことをいい、特定類型に該当する居住者への技術提供についてはみなし輸出管理の対象となります。
特定類型は、以下の①から③に分類され、それぞれ特定類型①、特定類型②、特定類型③と呼ばれます。また、特定類型に該当する者は自然人である居住者に限定されていますが、当該居住者の国籍を問いません。(すなわち、日本人であっても特定類型に該当し得ます。)
①外国法令に基づいて設立された法人その他の団体(以下「外国法人等」という。)又は外国の政府、外国の政府機関、外国の地方公共団体、外国の中央銀行並びに外国の政党その他の政治団体(以下「外国政府等」という。)との間で雇用契約、委任契約、請負契約その他の契約を締結しており、当該契約に基づき当該外国法人等若しくは当該外国政府等の指揮命令に服する又は当該外国法人等若しくは当該外国政府等に対して善管注意義務を負う者(次に掲げる場合を除く。)
(イ)当該者が本邦法人との間で雇用契約、委任契約、請負契約その他の契約を締結しており、当該契約に基づき当該本邦法人の指揮命令に服する又は当該本邦法人に対して善管注意義務を負う場合において、当該本邦法人又は当該者が、当該外国法人等又は当該外国政府等との間で、当該本邦法人による当該者に対する指揮命令又は当該本邦法人に対して当該者が負う善管注意義務が、当該外国法人等若しくは当該外国政府等による当該者に対する指揮命令又は当該外国法人等若しくは当該外国政府等に対して当該者が負う善管注意義務よりも優先すると合意している場合
(ロ)当該者が本邦法人との間で雇用契約、委任契約、請負契約その他の契約を締結しており、当該契約に基づき当該本邦法人の指揮命令に服する又は当該本邦法人に対して善管注意義務を負う場合において、グループ外国法人等(当該本邦法人の議決権の50%以上を直接若しくは間接に保有する外国法人等又は当該本邦法人により議決権の50%以上を直接若しくは間接に保有される外国法人等をいう。以下同じ。)との間で雇用契約、委任契約、請負契約その他の契約を締結しており、当該契約に基づき当該グループ外国法人等の指揮命令に服する又は当該グループ外国法人等に対して善管注意義務を負う場合
②外国政府等から多額の金銭その他の重大な利益(金銭換算する場合に当該者の年間所得のうち25%以上を占める金銭その他の利益をいう。)を得ている者又は得ることを約している者
③本邦における行動に関し外国政府等の指示又は依頼を受ける者
なお、特定類型①に該当する者には、いわゆる外資系企業の日本法人に雇用される者は該当しません。
特定類型①~③に該当する具体的なイメージは下図のとおりです。

教職員の方は原則採用時に特定類型該当性に関する誓約書について提出していただきます。
既に雇用されている教職員のうち新たに特定類型に該当することとなった場合は、総務課研究協力・産学連携係安全保障輸出管理担当(anpo@ouj.ac.jp)へご連絡ください。
提出および問合せ先
放送大学学園総務部総務課研究協力・産学連携係
〒261-8586 千葉市美浜区若葉2-11
電話 : 043-298-3008
FAX : 043-298-3629
Email : anpo@ouj.ac.jp(安全保障輸出管理担当)