野田文香

紹介
独立行政法人 大学改革支援・学位授与機構 (NIAD-QE) 研究開発部教授。
専門は高等教育および国際比較教育。米国ジョージワシントン大学にて博士号(教育学)を取得。立命館大学講師、大学評価・学位授与機構准教授、フランス国立社会科学高等研究院(EHESS)客員研究員、東北大学准教授を経て現職。
現在、大学改革支援・学位授与機構にて大学認証評価や国際質保証連携の実務や研究を担当し、ユネスコ規約(東京規約・世界規約)に基づく国際モビリティ、生涯学習、リカレント教育等を促進するための資格枠組み(NQF)やマイクロクレデンシャルの質保証に関する研究に従事し、「日本の教育資格枠組み(JEQF)」構築にかかわる。
中央教育審議会生涯学習分科会臨時委員、厚生労働省委託事業 「外国人労働者の技能評価・活用に関する調査検討委員会」座長、文部科学省「専修学校の質の保証・向上に関する調査研究協力者会議」委員、専門職大学認証評価委員等を務める。
発表タイトル
日本の高等教育におけるマイクロクレデンシャルの制度的展開と質保証
発表要旨
日本では現在、少子高齢化、デジタル化、労働市場の要請といった構造変化を背景に、政府や大学がリカレント教育・リスキリングを進める新たな仕組みを模索している。その中で、特定の知識・スキルの習得に焦点を当てた短期学習の証明である「マイクロクレデンシャル」への関心が高まりつつある。こうした取り組みは確実に進展している一方、マイクロクレデンシャルを可視化するデジタルバッジを含め、日本のアプローチは形成途上にあり、制度的強みを持ちながらも、今後の発展に向けた課題を抱えている。
本講演では、証明書がデジタル化される前の学習成果としての「マイクロクレデンシャル」の動向と課題について日本の事例を中心に紹介し、(1)日本が直面する社会的課題と政策・制度設計、(2)マイクロクレデンシャルの開発、(3)日本の大学におけるマイクロクレデンシャルの実装、(4)通用性・信頼性を高める質保証、を取り上げる。日本の労働市場におけるマイクロクレデンシャルの活用状況、高等教育における学位への積み上げという視点から、2025年に文部科学省により認められた「教育資格枠組み(JEQF: Japanese Educational Qualifications Framework)」の役割を位置づけ、日本のマイクロクレデンシャル・エコシステムの現状と今後の方向性を展望する。