Vol.23 ソフトウェア開発を支える技術の研究

中谷多哉子教授(情報コース・情報学プログラム)

2016年6月15日

ソフトウェア開発を支える技術の研究
国際会議で発表をするのも研究の楽しさの一つです。(スペイン、アビラにて)

最近、コンピュータが囲碁の世界チャンピオンに勝ったというニュースが報道されました。囲碁をはじめとしたゲームの問題空間は「閉じている」と言いますが、私たちが生活している現実世界の問題空間は「開いて」います。つまり、問題や課題は際限なく発生し、目標は次々と高くなっていくという意味です。

私が研究を続けてきた「要求工学」という学問領域では、開いた問題空間から、ソフトウェアが解決すべき「閉じた」問題空間を切り出すための方法や、切り出した問題空間を文書化する技術が研究されています。たとえば、ソフトウェアを開発しているときに問題空間が広がってしまうことも少なくありません。問題空間が広がると、ソフトウェアを作り直すための経費が必要になることもあります。要求工学では、このような状況を回避するための技術を研究されています。ここ数年は、問題空間を切り出すプロセスを観察し、予実管理をするためのツール開発を行っています。

私は2015年4月に筑波大学から放送大学に移って来ました。これまでの私の研究室では、要求工学における研究の他に、品質改善の方法などを研究してきましたが、ソフトウェア開発と成果物の品質を向上させるための研究テーマは多種多様です。放送大学の修士の学生さんとは2016年4月から活動を始めました。これからも学生の皆さんと共に、ソフトウェア開発の課題を解決していきたいと考えています。